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2020.09.04

その他のアジア【フィリピン】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/《フィリピン編》第10回「倒産手続」 NEW
【フィリピン】第10回「倒産手続」
◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。
 
《フィリピン編》 第10回「倒産手続」 

フィリピンにおいては、倒産手続及び再生手続に関する法令として、財務再生及び倒産に関する法律(Financial Rehabilitation and Insolvency Act. 以下「FRIA」といいます。)が施行されています。
そこで本稿では、FRIAの定める規律のうち、法人の倒産手続に係る規定について、その内容を簡単に紹介します。
 
1.清算の申立て
フィリピンにおける法人の倒産手続には、主として任意清算(Voluntary Liquidation)と強制清算(Involuntary Liquidation)があります。今回の任意清算・強制清算の手続は、前回ご紹介した会社法に基づく解散・清算の場合とは異なり、支払不能(insolvent)に陥った債務者を対象としているため、いずれも裁判所が関与する手続になっています。

任意清算の場合、支払不能に陥った債務者は、裁判所に申立書を提出することにより清算を申立てることができます。申立書には、(a)債務及び負債の一覧表(債権者の住所・債権額・担保に関するリストを含みます。)、(b)資産の一覧表(売掛金・第三者に対する債権に関するリストを含みます。)、(c)清算人候補者として少なくとも3名の氏名を、記載又は添付する必要があります。当該申立てが形式及び内容を充足する場合、裁判所は清算命令を発令します。

これに対し、強制清算では、3名以上の債権者が、合計して、少なくとも100万ペソ又は発行済み株式(若しくはパートナー持分)の25%に相当する額のいずれか高い金額の債権を有する場合、その支払不能に陥った債務者の清算を求めて裁判所に対して清算の申立てをすることができます。申立書には、(a)申立人の債権に係る事実上及び法律上の争いはなく、かつ、少なくとも180日間支払がなされていないか、債務者が一般的に支払義務を履行できない状況にあること、(b)債務者において財務再生の見込みがないことを記載する必要があります。当該申立てが形式及び内容を充足する場合、裁判所は、当該申立てを一般に流通している新聞により公告し、かつ、申立人以外の債権者及び債務者に対し、最後の公告日から15日以内に当該申立てに関する意見を提出するよう求める旨の命令を発令します。裁判所は、提出された意見を検討した後、当該清算の申立てに実体があると認める場合には、清算命令を発令します。
 
2.清算命令
裁判所が発する清算命令には、次の内容が含まれます。
(a)債務者の支払不能を宣言すること
(b)債務者の清算を命じること。法人債務者の場合は解散を命じること
(c)執行が免除され得る財産を除き、債務者の全ての財産の所有及び管理をするよう執行官に命じること
(d)一般に流通する新聞により当該申立てを公告するよう命じること
(e)債務者による支払及び財産の譲渡を禁止すること
(f)全ての債権者に対し所定の期間内に債権を届け出るよう命じること
(g)支払期限の到来した管理費用の支払を承認すること
(h)債務者及び申立人以外の債権者において、その他の清算人候補者の氏名を申し出ること
(i)清算人の選任及び任命に関する審尋期日を設定すること。ただし、当該期日は、最終の公告日から30日以上45日以内の日で設定されなければならないものとされています

(2)また、清算命令は、発令時において、以下の効力を有します。ただし、清算命令は、契約又は適用法に従い担保権を行使する一定の者の権利に影響を与えないものとされています
(a)法人債務者は解散したものとみなされます
(b)執行が免除され得る財産を除き、債務者の全資産の所有権及び管理権は、清算人に帰属します(ただし、清算人の選任前は裁判所に保留されます)
(c)債務者の一切の契約は、清算人がその就任の日から90日以内に別段の意思を宣言し、契約当事者が合意しない限り、終了及び/又は破棄されたものとみなされます
(d)無担保債権の回収に向けた個別の訴訟は許容されません。既に係争中の訴訟については清算人において受諾するか、和解するか、又は争うため、清算人にその地位が移転します
 
3.清算人の選任及びその権限
(1)裁判所によって設定された期限内に債権を届け出た債権者であって、かつ、その請求が消滅時効にかかっていない場合に限り、当該債権者は、清算人を選任するため投票をすることが認められます。担保権者はその担保権を放棄する等しない限り、投票することができません。投票権を有する債権者は、公開の法廷で清算人を選任します。なお、債権者が清算人選任の期日に出頭しない場合など、所定の場合には、裁判所が清算人を任命することができます。

(2)清算人は、債務者の財産価値を維持及び最大化しその財産を回収すること、債務者に対する請求を可能な限り履行し、清算を完了することを主たる義務とする、裁判所の官吏とみなされます。
清算人の権限、義務及び責任は、以下の内容を含みますが、これらに限定されません。
(a)債務者に帰属し又は債務者が負担する全ての資産、債務、請求について、訴訟を提起し、回収すること
(b)法律により執行が免除され得る財産を除く債務者の一切の財産を所有すること
(c)裁判所の承認を得た上で、債務者が所有又は管理する財産を売却すること
(d)裁判所の承認に従い、債務者及び債権者間の一切の精算を行うこと
(e)債務者によって詐欺的に譲渡された財産及びその価値を回復すること
(f)裁判所の承認を得た上で、清算人の職務を遂行するために必要かつ合理的な専門家を雇うこと

(3)清算人は、その就任の日から20日以内に、担保債権者及び無担保債権者の請求に係る予備登録簿を作成するものとされています。予備登録簿は債権者による異議申立てが可能であり、その後、登録の承認を受けるため、裁判所に提出されます。

(4)清算命令の発令前に発生した取引等については、取消又は無効とされることがあります。清算人は、債権者を詐害する目的で実行された取引を取消又は無効とすべく、訴訟を提起することができます。
 
4.清算計画及びその実施
(1)清算人は、その就任の日から3か月以内に、清算計画を裁判所に提出する必要があります。清算計画には、最低限、債務者の全ての資産と、その資産に係る清算スケジュール及び債務の弁済に関する事項が記載されなければなりません。

(2)清算人は、裁判所が承認した清算計画に従い、清算手続を実施します。
債権者に対する弁済は、当該清算計画に従って行われます。清算計画及びその実施は、優先する債権者がその優先権を自ら放棄しない限り、フィリピン民法及びその他の関連法規に定める債権の優先順位に従って行われます。
 
5.清算の終了
FRIA及び適用法に従い、清算が完了したと判断された場合、裁判所は、清算人の提出した報告書を承認する旨の命令を出し、証券取引委員会に対し、法人登録簿から当該債務者を抹消するよう求める命令を発令します。
証券取引委員会の法人登録簿から当該債務者を抹消したことを示す証拠を受領した場合、裁判所は、清算手続を終了する旨の命令を発令し、清算は終了します。
以上
 
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。   
   
第11回に続きます。
 
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【掲載元情報】
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル  作成

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