国別情報一覧

HOME > 国別情報一覧 > その他のアジア > 詳細

国別情報一覧

2020.07.09

その他のアジア【フィリピン】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/《フィリピン編》第6回「不動産制度について」 NEW
【フィリピン】第6回「不動産制度について」
◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。
 
《フィリピン編》 第6回「不動産制度について」

第1 不動産制度の概要
フィリピンの不動産制度の概要は以下の通りです。

1 国有制度
フィリピン共和国憲法において、原則として全ての土地を国家が所有するという国有制度(Regalian Doctrine)が採用されています。そのため、フィリピン政府から私人に対して土地が譲渡される形態がとられています。

2 不動産の概念
土地と建物その他の付属物は別個の不動産として扱われます。そのため、土地建物の所有者が建物部分のみを譲渡することや賃貸することが可能です。

3 登記制度
トレンス・システム(Torrens System)が採用されています。トレンス・システムとは、一般に、登記上の権利者が真正な権利者であることを国が保障する制度です。そのため、権利証が発行された土地は原則として剥奪不可能であり、土地の所有権を時効により取得することができません。具体的な内容については第4において述べます。
 
第2 不動産所有における外資規制
1 土地
フィリピンにおいては、土地を所有することができる者がフィリピン国民に限定されています。1991年外国投資法によると、「フィリピン国民」とは、①フィリピン市民、②フィリピン国内でフィリピン市民により組成されるパートナーシップもしくは団体、③発行済株式および議決権の60%以上をフィリピン市民によって保有されるフィリピン法人、④受託者をフィリピン国民とし、受益者の60%以上がフィリピン市民である年金、退職金、離職給付等の信託ファンドです。そのため、株主に外国企業が入っている現地法人については、当該外国企業の出資割合が40%以下の場合に限り、土地を所有することが認められます。
 
2 建物
建物についての外資規制は無く、外国法人であっても建物を所有又は賃借することが可能です。コンドミニアムのユニットについても所有することができます。
もっとも、コンドミニアム法(Condominium Act)による制限は存在します。すなわち、フィリピンでは、同法により居住用ビルや商業用ビルの各ユニットに対する区分所有権が認められているが、外国人が所有できるユニットの床面積の合計は、当該コンドミニアムの総床面積の40%までに制限されています。
 
第3 賃貸借
1 土地
外国企業が株主である現地法人も土地を賃借することが可能です。但し、土地を所有することができない非フィリピン国民である現地法人については、外国人による長期の土地の賃借について規定する外国投資家リース法(Investors’Lease Act)が適用され、土地の賃借の期間は原則25年間とされ、工場の建設等一定の目的のための賃借の場合には、フィリピン貿易産業省における登録を行うことにより賃借期間を50年にまで延長することが可能です。

2 建物
外資規制は存在せず、外国企業が株主である現地法人や外国法人も建物を所有又は賃借することができます。
ただし、外国法人がフィリピンにおいて事業を行う場合、例えば、土地や建物を外国法人のオフィスとして使用する場合や、第三者に賃貸する場合などの事業を行う場合、フィリピン証券委員会から許可を取得した上で、現地法人の設立、支店の登録等が必要となるため,注意が必要です。
 
 
第4 登記制度
前述したとおり、フィリピンではトレンス・システムが採用されています。具体的な手続について、以下説明します。

1 未登記の土地の所有権登記
訴訟手続において登記申請者の当該土地に対する所有権を立証する必要があります。立証がなされた場合、裁判所が登記すべき旨の命令(Decree of Registration)を出し、土地登記局(Land Registration Authority)はこれに従って当初権利簿(Original Certificate of Title、以下「OCT」といいます。)の原本及び副本を発行します。これらのうち原本は管轄登記所において保管され、副本は所有者に交付されます。

2 譲渡された土地の所有権登記
最初に登記した者が土地を譲渡する場合、OCTに無効となった旨の記載がなされ、新たに譲受人名義の権原譲渡証書(Transfer Certificate of Title、以下「TCT」といいます。)が発行されます。

3 その他の権利の登記等
所有権以外の賃借権や担保権等についても、当該権利を根拠付ける契約書の原本等を登記所へ提出することにより登記することが可能です。
また、建物及び付属物については、土地とは独立した登記は存在しないため、当該土地のOCT又はTCTに記載されることにより登記されます。コンドミニアムの各ユニットは、区分所有権の対象となり、登記することも可能です。区分所有権については、登記が行われた場合、コンドミニアム権利証(Condominium Certificate of Title)が発行されます。
 
第5 担保権の設定
不動産に設定される担保権は、専ら抵当権です。抵当権は、抵当権設定者と抵当権者の合意により成立し、抵当権者は、抵当権の存在がOCT又はTCTに注記されることにより、第三者対抗要件を具備することになります。債務者が被担保債権について債務不履行になった場合には、抵当権者は、抵当権を実行することができます。抵当不動産は、抵当権実行手続により競売により処分され、その代価は原則として当該被担保債権の弁済に優先的に充当されます。また、当該実行により回収した金銭のみでは、被担保債権全額の弁済を得ることができない場合には、抵当権者は、当該不足分について、債務者に対して請求することが可能です。
 
以上
 
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。

第7回に続きます。


【関連記事】
《フィリピン編》第1回「外資規制」
《フィリピン編》第2回「投資優遇制度」
《フィリピン編》第3回「現地法人の運営」
《フィリピン編》第4回「拠点設置」
《フィリピン編》第5回「労働契約の終了」 
【掲載元情報】
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル  作成

前のページへ戻る

  • セミナー&商談会のご案内
  • アジアUPDATE
  • 国別情報一覧

PAGETOP