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2021.08.26

インドネシアインドネシア【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第70回「BKPM規則2021年4号の施行及び新OSSの導入」
【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第70回
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights128号(20218月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

◇インドネシア:BKPM規制2021年4号の施行及び新OSSの導入

(1) BKPM規則20214号の施行
 
インドネシアでは、2021年2月2日付けで施行されたリスクベース事業許認可実施に関する政令2021年5号(「本政令」)の細則として、同年6月2日より、リスクベース事業許認可及び投資ファシリティに関するガイドライン及び手続に関する投資調整庁(「BKPM」)規則2021年4号(「本規則」)が施行されています。本規則では、リスクベース事業許認可の発行に関する手続や最低資本金額及び最低投資総額に関する要件等が定められています。
以下のとおり、本規則の要点を簡単にご紹介します。
 
(a) 最低資本金額の引上げ
本規則により、外資企業(「PMA会社」)を対象とする最低資本金額が、従前の25億ルピア(現在の為替レートで約1,920万円)から100億ルピア(現在の為替レートで約7,680万円)へと4倍に引き上げられています。当該最低資本金額要件は、会社設立時に満たす必要があると考えられています。
本規則上、当該最低資本金額要件が既存のPMA会社に対しても遡って適用されるかは明記されていません。遡及適用される場合は、その旨法令で明示的に規定されることが一般的であることから、既存のPMA会社に対しては適用されないと整理することが合理的なように思われます。もっとも、今後の実務運用も注視する必要があります。
 
(b) 最低投資総額について
本規則上、PMA会社は、原則、最低投資総額として5桁のインドネシア標準産業分類番号(「KBLI番号」)ごとに100億ルピア(現在の為替レートで約7,680万円)を満たす必要があるとされています(例えば、同一企業において2つのKBLI番号に該当する事業を行っている場合には、原則として200億ルピア(現在の為替レートで約1億5,400万円)の最低投資総額を満たす必要があります。)。また、投資総額の算定に際しては、原則として、土地・建物への投資額を投資総額に含めることは認められていません。これらの点は従前からの変更はありません。
また、本政令では、卸売業、飲食業、建設サービス業、製造業に関してそれぞれ最低投資総額要件に関する例外規定が定められていたところ(詳細は本レター第124号(2021年4月号)をご参照ください。)、本規則により、新たに一部の不動産業(複合住宅開発事業)を営むPMA会社に対しては、保有する土地・建物への投資額を投資総額に含めることができる旨の例外が追加されています。
さらに、これまで上記最低投資総額は、事業許認可取得後1年以内に満たさなければならないとされていたところ、本規則上、1年の期間制限については削除されています。削除の理由は本規則の条文上必ずしも明らかではないですが、最低投資総額の実現までに1年以上の期間が認められる可能性もあり得るように思われます。
 
(2) OSSシステムの導入
 
従前、事業許認可の取得手続は、事業許認可統合電子サービス(許認可発行のプラットフォーム)であるOSS(Online Single Submission)ver1.1(「旧OSS」)上で行われていましたが、本政令によるリスクベース事業許認可制度の導入に伴い、同制度を前提とした新OSSが導入されることになりました。
新OSSについては、その運用開始が待たれていたところ、これまで複数回にわたり運用開始の延期がなされていました。しかし、今般、2021年8月9日に正式に運用が開始されています。BKPMによれば、旧OSSのアクセス権を有していた企業は、旧OSSのユーザー名及びパスワードで新OSSにもアクセスすることが可能とのことです。
なお、本政令では、インドネシアの全KBLI番号に対応する1,702事業のうち1,349事業についてのみ、そのリスクレベル・許認可取得要件等が規定されていたところ、それらについては既に新OSSのシステム上でも確認出来るようになっているようです。他方で、本政令での規定が漏れていたとされる残りの353事業(353個のKBLI番号)については、2021年8月末日までに別途細則等によって各リスクレベル・許認可取得要件等が規定され、その後、新OSSのシステム上に反映される予定であることが公表されています。
 
(ご参考)
本レター第124号(2021年4月号)
https://www.mhmjapan.com/content/files/00047945/20210420-125710.pdf

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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