2021.07.26
インド【インド】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第69回「ビデオ会議による取締役会開催時の決議禁止事項の撤廃」
- 【インド】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第69回
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このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights第127号(2021年7月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。
◇インド:ビデオ会議による取締役会開催時の決議禁止事項の撤廃
(1)インドの株式会社の取締役会開催の特色
インドの株式会社の取締役会は、開催に際して2人又は全取締役の3分の1のいずれか多い方の取締役の出席が必要とされています。加えて、取締役会には、取締役自らが出席する必要があり、取締役の代理人による出席は認められていません。
取締役会の開催方法に関しては、物理的に開催する方法と、ビデオ会議で開催する方法が認められています。その一方で、電話会議による開催は認められていません。
ビデオ会議による取締役会開催に関しては、取締役会及びその権限に関する2014年会社規則(Companies (Meeting of Board and its Power) Rules, 2014)(「本規則」)において、議長による各取締役の出席確認やビデオ会議の録画・保管等の手続が具体的に定められています。
(2)ビデオ会議による取締役会開催時の決議禁止事項
従前、インド会社法においては、本規則によって、取締役会決議事項のうち最も重要な以下の5つの決議事項については、ビデオ会議による取締役開催時には決議することが認められていませんでした。
(a) 年次財務書類の承認
(b) 取締役会報告事項の承認
(c) 目論見書の承認
(d) 財務書類精査のための監査委員会会議の実施
(e) 合併・分割・買収に関する事項の承認
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年3月19日付けの通知により、同年6月30日までの間、上記5つの決議事項もビデオ会議による取締役会開催時に決議することが暫定的に認められていました。その後、当該暫定措置の対象期間の延長が繰り返され、2021年6月30日まで伸長されていましたが、2021年6月15日付けの通知により、本規則から上記5つの決議禁止事項が削除され、正式に当該禁止が撤廃されました。
これにより、インドの株式会社の取締役を務める日本人が日本等、インド国外からビデオ会議による当該会社の取締役会に出席することが可能となりました。インドの株式会社のガバナンスに一定の柔軟性が認められることとなり、日本企業にとっては朗報といえると思われます。
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