アジアUPDATE

HOME > アジアUPDATE

アジアUPDATE

2026.04.30

【中国】陳弁護士の法律事件簿/第98回『自宅の入り口に防犯カメラを設置する場合に他人のプライバシーを侵害しないようにするにはどうすればよいのか』NEW
【中国】陳弁護士の法律事件簿/第98回
『自宅の入り口に防犯カメラを設置する場合に他人のプライバシーを侵害しないようにするにはどうすればよいのか

張さんは大学を卒業した後、一人で借家に住んでいる。安全のために、借家の入り口に防犯カメラを取り付けた。この借家の入り口がエレベーターに面しているため、エレベーター利用者の移動経路はリアルタイムで張さんのスマホアプリに反映される。隣人の王さんは、張さんが設置した防犯カメラは自分と家族の出入りの様子を撮影できるので、家族と自分のプライバシーを侵害したとして、張さんに防犯カメラの撤去を求めた。

『分析』

『民法典』第1032条には、「自然人はプライバシーを享有する。いかなる組織も個人も、密偵、侵入、漏洩、開示などにより他人のプライバシーを侵害してはならない。」と規定している。『公共安全ビデオ画像情報システム管理条例』第33条には、「公共の場所以外に画像収集設備施設を設置する場合は、公共の安全を脅かしたり、他人の合法的権益を侵害したりしてはならず、公共の安全、プライバシー、個人情報に係るビデオ画像情報に対して不正な対外提供又は公開・伝播をしてはならない。」と規定している。従って、法律は、市民が自分の安全を守る合理的な需要に基づいて、公共の場所以外に防犯カメラを設置することを禁止していない。但し、防犯カメラを設置すると同時に他人のプライバシーを保護することも無視できない。
 
自宅の入り口に防犯カメラを設置するときに、法律規定に合致するとともに、他人のプライバシーを侵害しないようにするにはどうすればいいのか?
 
一、設置前に隣人と会話し、設置の目的を明確にし、隣人の同意または許可を得ておく。
 
 隣人を尊重すると同時に、今後のトラブルを避けるために、防犯カメラを設置する前に隣人に設置の目的を知らせ、設置の位置、撮影範囲、情報記憶処理などについて隣人と友好的なコミュニケーションを行い、相手の同意や許可を得ておいたほうがいい。隣人が最終的に同意するか否かにかかわらず、設置時に他人のプライベートエリアを撮影しないように積極的に措置を講じたことを証明するために、防犯カメラの撮影範囲の見取り図と位置調整記録を保存するべきである。
 
二、設置場所は公共の場所以外に限られる。
 
『公共安全ビデオ画像情報システム管理条例』第9条の規定によると、本条例第7条の所定範囲外の他の公共の場所に画像収集設備及び関連施設を設置する場合は、公共の安全を維持することを前提としなければならず、かつ当該場所に対して安全保障義務を負う組織又は個人にのみ設置を許可し、その他のいかなる組織も個人も無断で設置してはならない。従って、市民個人は公共の場所に画像収集設備を設置してはならない。住宅団地内の通路、自宅前の共用廊下、エレベーター入口など、不動産所有者全員の共有に属する公共エリアはすべてこの制限範囲内である。

三、撮影範囲は自宅前の必要な公共エリアに限られる。
 
市民は画像収集設備を設置する場合、合理的かつ必要な原則に従い撮影範囲を確定しなければならない。撮影は自宅前の必要な公共エリアをカバーするにとどめ、住宅団地内の通路、マンションの廊下、エレベーター入口など、不動産所有者全員の共有に属する公共エリアまで延びてはならず、隣家の門、窓、ベランダ、住宅内部など隣家に専属するプライベート空間をカバーしてはならない。他人が住宅団地の公共エリアや住宅に出入りする様子及び住宅内の活動情報は全て他人の人身・財産の安全、個人の生活習慣と密接に関連し、プライバシー属性を有する人格権益に属し、法による保護を受けるべきである。
 
四、データの処理方法
 
画像収集設備が公共の安全、他人のプライバシーと個人情報に係るビデオ画像情報を収集した場合、画像収集設備の設置者はプライバシー保護を厳格にしなければならず、関連情報に対して不正な対外提供、公開・伝播、漏洩をしてはならず、定期的に記録内容を削除しなければならない。
 
要するに、自宅の入り口に防犯カメラなどの画像収集設備や関連機器を設置する際に、自分の安全を保障すると同時に他人のプライバシーを十分に尊重してこそ、トラブルや矛盾を有効に避けることができる。 


【直近記事】
陳弁護士の法律事件簿第95回「長沙のある同窓会の動 画事件からネットワーク伝播の合法性と違法性の境界線を検討」
陳弁護士の法律事件簿第96回「飲酒後に車両を自動運転にする場合も飲酒運転になるか」
陳弁護士の法律事件簿第97回「インターネット不正競争典型事例を基に 2025 年「不正競争防止法」第 13 条を解説」
【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。

[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

前のページへ戻る

  • セミナー&商談会のご案内
  • アジアUPDATE
  • 国別情報一覧

PAGETOP