2026.03.09
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿/第97回『インターネット不正競争典型事例を基に 2025 年「不正競争防止法」第 13 条を解説』- 【中国】陳弁護士の法律事件簿/第97回
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『インターネット不正競争典型事例を基に 2025 年「不正競争防止法」第 13 条を解説』
2025 年に改正された『中華人民共和国不正競争防止法』は正式に施行されてお り、インターネット分野で発生した新問題について、インターネット上の不正競争を 規制する中核的条項である第 13 条を整備した。最近、国家市場監督管理総局が 公表した 8 件のインターネット上の不正競争典型事例は、新法を適用するための権 威あるガイドラインとなり、デジタル経済時代における競争行為の法的境界線を明 確にした。
『分析』
1、典型事例と改正条項を一対一で対応付ける
(一)データ不正クローリング(注:ウェブページを自動的に巡回し、データを取得 する技術を指す)事件――
新規追加された「データスクレイピング(注:ウェブサイト からデータを自動的に抽出する技術を指す)」の禁止条項
九江銀美科技有限公司は「データ移行」ソフトウェアを開発・販売し、EC プラットフ ォームの技術的保護措置を回避し、販売業者の商品データを一括スクレイピングし、 複数プラットフォーム間の移行サービスを提供し、プラットフォームのトラフィックとビ 2 ジネスチャンスを分散させた。当該行為は第 13 条で新規追加されたデータスクレイ ピング禁止条項に違反したので、違法行為の停止及び関連ソフトウェアの販売停 止を命令され、過料 12 万元を科された。
(二)虚偽取引及び虚偽宣伝事件──
「プラットフォーム規則濫用」の禁止条項 アモイ市天頂星科技有限公司は「爆単俠」というウェブサイトを作り、越境 EC 業 者に対して「刷単(注:ネットショップが購入履歴や消費者レビューを不正に取得す ることを指し、以下同じ)」サービスを提供したので、過料 20 万元を科された。空間 智慧裝飾有限公司は虚偽の「探店(注:実際の消費体験を通じて消費者にアドバイ スを提供すると同時に、店舗に顧客を引き付けることを指し、以下同じ)」により消費 者を誤解させたので、過料 1 万元を科された。上述の 2 つの事件は全て第 13 条第 3 項の「プラットフォーム規則の濫用・虚偽取引もしくは虚偽宣伝」の禁止規定に違 反した。
2、2025 年『不正競争防止法』第 13 条の改正ポイント
今回の改正では、データ、アルゴリズム、技術、プラットフォーム規則などのデジ タル要素を規制範囲に組み入れ、2 種の禁止条項を新規追加するとともに、規則を 細分化し、違法行為に関するコストを引き上げた。具体的には、①デジタルツール の使用禁止を明確化し、事業者が技術の名目を借りて不正競争を行うことを途絶さ せる。②データコンプライアンスの基準線を設定し、不正な方法による他者の合法 的なデータの取得・利用を禁止する。仮に公開したデータであっても、許可を得ずに 技術手段でスクレイピングする場合は違法となる。③プラットフォーム規則の濫用に 関する規制を細分化し、他者に虚偽取引を指示することを禁止し、「刷単」の組織者、 委託者、関与者はいずれも責任を負う必要がある。④違法行為に関するコストを引 き上げ、過料の上限を大幅に引き上げ、法律執行の抑止力を強化する。
3、異なる主体に対するコンプライアンスガイドライン
(一)企業コンプライアンスの要点
データコンプライアンスにおいて、他者の承認を得ていないデータに対してスクレ イピング・利用を禁止する。データを公開する場合は、データの取得方法の合法性 を確認する必要があり、クローラー(注:検索エンジンが Web 上のページを自動的に 巡回し、情報を収集するプログラムを指す)によりプラットフォームの保護措置を回 3 避することを厳禁する。技術コンプライアンスにおいて、他者のサービスを妨害する ツールの開発・使用を禁止し、強制リダイレクト、ユーザーへのミスリードまたはア ルゴリズムを用いた不正競争を行ってはならない。プラットフォームコンプライアンス において、規則を濫用して強力な手段でライバルを抑圧したり、「刷単」を放任したり せず、監督管理メカニズムを確立し、不正競争行為を適時対処する。
(二)インターネットユーザーの行動規範
インターネットユーザーは不正行為に関与する場合、責任を負う必要がある。「刷 単炒信(注:不正な手段で高評価口コミを増やすことを指す)」、虚偽評価などに関 与することを厳禁する。虚偽の「探店」、誤解を招く情報の拡散、悪意のある注文な ど、プラットフォームの秩序を乱す行為を実施してはならない。「刷単」によるリベー トなどの罠に警戒し、違法と疑われるか又は刑事リスクに巻き込まれることを避け る。不正競争行為を自発的に通報し、公平な市場環境の維持に共同で取り組む。
4、まとめ
第 13 条の改正と典型事例の公表は、インターネット上の不正競争に対する監督 管理において精密化・すべての段階をカバーする完全なシステム・高い抑止力を構 築したことを示している。事業者、プラットフォーム、ユーザーはいずれも法律と信義 誠実のボトムラインをしっかり守り、公平かつ秩序あるデジタル市場競争秩序を共 同で構築するべきである
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- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





