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2021.02.24

その他のアジア【ミヤンマー】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第64回②『2月1日国家緊急事態宣言後のアップデート』
【ミヤンマー】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第64回②
 このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights121号(20212月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

◇ミヤンマー:
 ② 2月1日国家緊急事態宣言後のアップデート

2021年2月1日のミャンマーにおける国家緊急事態宣言の発出については、本レター第120号(2021年2月号外)においてお伝えしたとおりです。本稿では、その後のミャンマーの状況のアップデートをお伝えします。
 
(1) 国家行政評議会の設置
 
 2021年2月2日、国家行政評議会(State Administration Council)が設置され、その後、同評議会の名前において、大臣の選解任を含む多数の命令が出されています。同評議会の法律上の位置付けは明確にされていませんが、ミャンマーの2008年憲法419条では、立法・行政・司法の各権を掌握する国軍最高司令官(Commander-in-Chief of Defence Services)が、自ら立法権を行使するか、立法権を行使するための自らが一員である組織を結成することができること、また、行政権及び司法権に関しては、適切な組織又は人物に委譲することができると規定しています。2月11日には、同評議会の名前で、ヤンゴン市開発委員会法及びマンダレー市開発委員会法を修正する法律を施行していることからすると、この国家行政評議会は、行政権のみならず立法権を行使する組織として位置付けられているように思われます。
 
(2) 閣僚人事の公表
 
 2021年2月8日までに、20の省庁において大臣が任命されています。2011年から2016年のテイン・セイン政権下で要職にあった人物を任命している例が多いと思われます。外国投資に関連する省庁では、計画財務工業省(Ministry of Planning,Finance and Industry)においてはWin Shein氏が、投資・対外経済関係省(Ministry of Investment and Foreign Economic Relations)においてはAung Naing Oo氏が、大臣に任命されました。Win Shein氏はテイン・セイン政権下で財務大臣を務めた人物であり、Aung Naing Oo氏はテイン・セイン政権及び国民民主連盟(National League for Democracy(通称NLD))政権下で投資企業管理局(Directorate of Investment and Company Administration(通称DICA))の局長及びミャンマー投資委員会(Myanmar Investment Commission(通称MIC))の事務局長を長く務めた後、投資・対外経済関係省において事務次官を務めていた人物です。
 
(3)夜間外出禁止令・5人以上の集会禁止
 
 ヤンゴン、ネピドーを含むミャンマー各地で、軍による権力の掌握に反対する人々の大規模なデモが広がっているのに対し、ミャンマー国軍は、2月9日より、最大都市ヤンゴンを含む多くの都市において、午後8時から午前4時までの夜間外出と、公共の場での5名以上の集会を禁止する命令を出しました。この命令後もデモは広がっており、今後の動向に注視が必要な状況です。
 
(4) サイバーセキュリティ法案の公表とパブリックコメント
 
 ミャンマー運輸通信省(Ministry of Transport and Communications)は2月6日付けのサイバーセキュリティ法(Cyber Security Law)の法案(「本法案」)を公開し、情報通信事業者に対してコメントを求めました。本法案によると、政府が広範な個人情報にアクセスすることが可能とされていることや、オンラインサービス事業者(ミャンマー国内インターネットを利用してサービスを提供している者と広く定義されています。)に対して「憎悪を引き起こし又は団結、安定又は平和を害する表現」を訂正・削除することを義務付けるなど、言論統制的な運用が懸念される内容となっています。また、オンラインサービス事業者(上記のとおり非常に広く定義されています。)に対して、ミャンマー国内に会社を設立し、かつ、ユーザーの個人情報を運輸通信省が指定する場所に保存することを義務付けるなど、インターネットを介したサービス・事業の展開に大きな影響を与え得る規制を含みます。本法案は上記パブリックコメントを経たうえで、国家行政評議会によって法律として施行されることが想定されています。

 
(ご参考)
本レター第120号(2021年2月号外)
https://www.mhmjapan.com/content/files/00047293/20210201-042135.pdf
 

(直近記事)
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(ご参考)
第64回【ミヤンマー】①『米国による経済制裁の発表』
第64回【ミヤンマー】③『ミャンマー中央銀行によるノンバンク金融機関等に関するNotification』
 
【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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