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2020.12.22

インドネシアインドネシア【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第62回『雇用創出法(投資法・会社法の改正点)』
【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第62回
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights118号(202012月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。
 
◇インドネシア:雇用創出法(投資法・会社法の改正点)
 
  雇用創出法(通称オムニバス法)が、2020年11月2日にジョコウィ大統領により署名され、同日付けで法律2020年11号として施行されました。本レター第116号(2020年10月号)でお伝えしたように、雇用創出法の施行により、これから実施細則である下位法令が次々と制定されていくことが予定されています(雇用創出法上、その施行から3か月以内に実施細則を制定するよう規定されています。)。
現在議論中の実施細則等のドラフト及びその議論の状況については以下のウェブサイトから確認することができます。http://uu-ciptakerja.go.id/category/draft-rpp/
 
本レター執筆時点では、いまだ重要な実施細則が制定されるに至っていないため、本レターでは、本レター第116号(2020年10月号)でご紹介した労働法に関する改正点に続けて、投資法及び会社法の改正点のポイントについて簡単にご紹介します。
 
(1) 投資法の改正点のポイント
 
(a) リスクベース・アプローチへの変更
  雇用創出法施行前は、事業開始までの手続として、原則として、①OSS(Online Single Submission)上で登録を行い(これにより、事業者識別番号(「NIB」)及びコミットメント(事業者が満たすべき条件)付きの事業許可等が自動的に発行されます。)、②上記コミットメントを充足して初めて事業を開始できるとされていました。
雇用創出法の施行により、上記事業開始までの手続について、リスクベース・アプローチが取られることとなりました。リスクベース・アプローチとは、対象事業のリスクを4段階に分け、各リスクレベルに応じた手続を取ることを認めるものです。具体的な内容は以下のとおりです。
 
 リスク
 事業開始までの手続
 低  NIB取得→事業開始
 中(低)  NIB取得→事業者による証書(Standard Certificate)の提出→事業開始
 中(高)  NIB取得→中央又は地方政府による証書(Standard Certificate)の発行→事業開始
 高  NIB取得→中央又は地方政府による事業許可の発行→事業開始
 
上記リスクレベルの分類の仕方やStandard Certificateの詳細については現時点では不明です。リスクレベルの分類については、投資調整庁による説明によれば、健康・安全・環境・資源活用その他事業活動の性質に基づき、管轄省庁がインドネシア標準産業分類(KBLI)番号ごとに判断することになるようですが、今後規定される実施細則においてその詳細が明らかにされる予定です。
 
(b) 投資分野に関する改正
  雇用創出法施行前は、大統領令2016年44号に付属するいわゆるネガティブリストによって、国内資本会社であるか外国資本会社(外国人又は外国法に基づき設立される法人が直接又は間接に1株以上その株式を保有するインドネシア法人:「PMA会社」)であるかを問わず、20の業種への投資が禁じられていました。
雇用創出法では、6業種(薬物の栽培・製造や賭博等)のみが投資禁止業種とされており、その他、一定の事業については、中央政府管轄とされています(投資禁止業種と併せて、「投資禁止業種等」)。そして、それ以外については、投資対象として開放するとされています。
投資禁止業種等以外の事業分野に対する、外資規制を含む投資規制の詳細は今後制定予定の大統領令の内容次第ですが、例えばアルコール飲料製造業といった、従前は投資禁止業種に含まれていた事業分野について、一定の条件の下で国内投資も含めた投資が可能となる可能性があります。
また、同大統領令により、246業種に対し税務上の優遇措置等のインセンティブが与えられることも議論されているとのことであり、同大統領令は今後制定される雇用創出法の実施細則のうち最も重要なものの一つになると思われます。
 
(2) 会社法の改正点のポイント
 
  雇用創出法施行前は、会社法において、インドネシアの株式会社について、最低株主数が2名、最低授権資本(株主が会社に対して発行することを授権した資本)が5,000万ルピア(現在の為替レートで約36万7,000円)と定められていました。
雇用創出法では、国内資本会社のうち中小企業については、株主数が1名でも足りるものとされました。また、全ての国内資本会社について、授権資本要件が撤廃されました。
もっとも、PMA会社に関しては、投資調整庁長官規則により別途最低資本金が25億ルピア(現在の為替レートで約1,840万円)と定められており、この点に関しては雇用創出法の施行により変更されていません(なお、PMA会社の最低投資金額100億ルピア(現在の為替レートで約7,340万円)という要件についても変更されていません。)。
 
以上のとおり、詳細については、実施細則である下位法令が制定されるまで不透明な部分が残りますが、雇用創出法上は各実施細則を施行後3か月以内(2021年2月2日まで)に制定するよう規定されていますので、今後1、2か月の動向を引き続き注視する必要があります。
 
(ご参考)
本レター第116号(2020年10月号)
https://www.mhmjapan.com/content/files/00043326/20201020-112005.pdf

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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