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2020.10.23

インドネシアインドネシア【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第60回『速報!雇用創出法(オムニバス法)の最新動向』NEW
【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第60回
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights116号(202010月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。
 
◇インドネシア:速報!雇用創出法(オムニバス法)の最新動向
 
ジョコウィ政権の目玉政策である雇用創出法、通称オムニバス法(「オムニバス法」)が2020年10月5日にインドネシアの国会において可決されました。
 
(1) オムニバス法の目的・最新動向
 
オムニバス法は既存の80前後の法律をまとめて改正し、法令間の不整合を解消し、インドネシアの投資環境を改善し、雇用を創出することにより、インドネシアの経済状況を活性化させることを目的としたものです。オムニバス法は全15章、186条で構成され、800頁超にもわたる大部の法律です。オムニバス法により、例えば、労働法、投資法、会社法、税法といった重要な法律が改正されることとなります(具体的には、現行の法律の関連条文を引用した上で、当該条文を削除する、以下のとおり改正する、新条文を創設するというような形でオムニバス法の条文が作成されています。)。
オムニバス法は、外国投資を促進する改正も含まれるため外国投資家からは待ち望まれていたものの、労働者に不利になる形での労働法の改正等を含むことから、インドネシアでは、法案の審議過程・国会での法案可決後もオムニバス法の制定に反対する大規模なデモ活動が行われています。
国会で可決された法案は大統領の署名を経て法律として正式に成立するところ、本レター現在(10月19日時点)においては、大統領の署名が完了しておらず、正式な法律としては公布・施行がされていない状況です。また、現地報道によれば、10月5日に国会で可決された法案については、その後追加修正が加えられているという報道もあり、成立した法律の原文自体はまだ公表されていません。
また、オムニバス法は上記のとおり多くの法律を改正するものですが、この法律の成立により全ての法令改正が完了するものではなく、むしろ、これから下位法令が次々と制定されていくことが予定されています。そのため、インドネシアでは、オムニバス法が正式に成立した後は、今後重要な法令改正が続くことが見込まれますので、今後の動向を注視する必要があります。
本レターでは、オムニバス法の内容のうち、労働法に関する改正の一部を簡単にご紹介します(こちらの内容は10月5日に公表された法案最終稿をベースにした内容となります。)。なお、本レターは、オムニバス法に関する最新情報を速報ベースお届けすることを目的としているため、今後内容が変わる可能性がありうる点はご了承ください。より詳細が明らかになり次第、別途ニュースレター等の配信を行う予定です。
 
(2) 労働法の改正点
 
(a) 外国人労働者雇用規制の緩和(オムニバス法案81条4項)
外国人を雇用するためには、原則として外国人雇用計画書(「RPTKA」)を労働移住省に提出する必要があります。現行労働法では、在外公館職員についてのみRPTKAの作成を免除されていましたが、オムニバス法案においては、①取締役又はコミサリスであり、かつ株主でもある外国人、②在外公館職員、及び③緊急事態で生産が停止した場合等一定の場合に必要とされる外国人について、RPTKAの作成が免除されることとなる見込みです(なお、①については、もともと2018年大統領令20号で免除されていましたが、この度法律上に明記されました。)。
 
(b) 有期雇用の規制緩和(オムニバス法案81条15項)
現行労働法では、有期雇用契約期間は原則として2年が上限とされており、延長・更新を経ても最大5年とされていましたが、当該期間制限に関する記載が削除される見込みです。もっとも、「永続的な業務について有期雇用契約形態を用いることはできない」という条項は、現行労働法同様維持される見込みであることから、有期雇用契約を繰り返すような雇用形態は依然として認められないものと思われます。
 
(c) アウトソーシング(派遣・業務委託)の規制緩和(オムニバス法案81条19項)
現行労働法では、派遣や業務委託といったいわゆるアウトソーシングについては比較的厳しい規制が存在しました(派遣については、清掃業務等一定の業務に関してのみ派遣労働者を用いることが認められており、業務委託については、委託者のビジネスにおいて付随的・補足的な業務のみが委託の対象として認められていました。)。オムニバス法案においては、アウトソーシングを活用するための要件を定めた条項が削除される見込みです。
 
(d) 退職金計算(オムニバス法案81条50項から57項)
現行労働法では、雇用契約終了時に従業員に支払われる退職金は、勤続年数に応じて計算され、また、一定の解雇事由に該当する場合には、2倍の係数を乗じることで割増退職金を支払うことが法定されていました。例えば、合併等を理由として会社側が雇用契約の終了を求めた場合、退職手当については、通常の退職手当の2倍に相当する額を支払う必要があるとされていました。しかし、オムニバス法により、「一定の場合に2倍」という係数を乗じる規定が削除される見込みです。
 
上記以外にも労働時間、最低賃金決定方法、解雇事由に関する規定については労働法の改正が予定されていますが、労使関係・就業規則・労使協定・ストライキ等に関する労働法の規定は現行労働法の規定が維持される見込みです。

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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