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2020.03.11

中国中国【中国】陳弁護士の法律事件簿㊽「新型肺炎を理由に賃借料の減免を求めることができるか」
【中国】陳弁護士の法律事件簿㊽
『新型肺炎を理由に賃借料の減免を求めることができるか』

2020年春節、新型肺炎が発生した後、感染拡大を防止するために、各地の政府部門は相次いで交通規制措置を講じているため、帰省などにより一部の従業員は予定通りに勤務先に戻れず、サービス業、特に飲食、旅行などの業界は休業している。これによって、賃借人は賃貸人に賃借料の減免を求め、さらに訴訟を提起した。以下では、新型肺炎を事由に賃借料減免を求めることについて検討する。
 
『分析』:

新型肺炎は予見できず、回避できず、克服できない不可抗力に該当する。法律規定によると、不可抗力による法的効果は主に2つに分けられる。

1、責任の一部又は全部を免除する。
『契約法』第117条によると、法律に別途規定がある場合を除き、不可抗力により契約を履行できない場合は、不可抗力による影響に応じて、責任の一部又は全部を免除する。

2、契約を解除する。
『契約法』第94条によると、不可抗力により契約の目的を達成できない場合は、当事者は契約を解除することができる。

司法実務において、裁判所は不可抗力と契約の目的を達成できないこととの因果関係の有無を厳格に審査し、不可抗力による賃貸借契約解除を簡単に適用しない。不可抗力により責任の一部又は全部を免除するか否かについては、実情に応じて判断する。

(1)住宅の賃貸借において、通常、賃借人の賃借料減免請求は認められない。
住宅を賃借する目的は主に居住、物品保管にあり、賃借人は賃借物件の使用により直接収入を取得することはできない。賃借人は新型肺炎により隔離又は規制を受け、賃借物件に戻れない場合、一時的に居住の目的を達成できないだけで、賃借人の物品は依然として当該賃借物件に保管され、賃借物件は依然として当該賃借人が賃借・使用している。
新型肺炎により隔離又は規制を受ける労働者の収入を保障するために、政府部門は一連の政策を公布した。新型肺炎により賃借料は賃借人の手に負えない損失になるわけではなく、引き続き契約を履行して賃借料を支払うことは賃借人にとって明らかに不公平になるわけでもない。通常、賃借人が賃借料を減免する請求は認められない。

(2)事業用建物の賃貸借において、通常、賃借人の賃借料減免請求は認められる。
賃借物件が経営・生産(ホテル、工場、飲食店など)に用いられる場合は、物件を賃借する目的は経営・生産による収益を獲得するためであり、賃借料の出処は事業所得であり、かつ賃借人は自費で物件の内装又は改造を行う。この場合に、賃借人は政府部門の防疫要求通りに、工事再開を延期したり、又は操業・生産を停止したりすることによって賃貸借契約を履行できず、かつ比較的大きな損失を受ける場合、公平の原則に基づいて、不可抗力を理由に賃貸人に対し、情状を酌量して相応の賃借料を減免するよう求める権利がある。

疫病の予防・制御により、賃借人が居住できず、又は正常に経営できないことは、賃借人、賃貸人の責めに帰さない事由によるものである。この場合に、賃貸人と賃借人は互いに譲歩し合い、友好に協議して解決するべきである。例えば、実情に応じて、適度に賃貸借期間を延長したり、賃貸借料を減免したりするなど、疫病の予防・制御による不利益を合理的に分担する。協議しても解決できない場合は、賃借人は裁判所に対し相応の賃借料減免を請求することができる。裁判所は賃借の用途、期間、賃借人の損失、居住不能期間又は経営不能期間などの要素を総合的に考慮した上で、賃借料減免の要否及び減免金額を判断する。

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【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

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