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2019.12.17

中国中国【中国】陳弁護士の法律事件簿㊺「女性従業員の定年退職年齢について」
【中国】陳弁護士の法律事件簿㊺
「女性従業員の定年退職年齢について」

 会社は今年50歳になった張さんが法定定年退職年齢に達したと判断し、法に従い張さんのために労働契約終了手続を行い、張さんは養老保険待遇を享受できるようになった。しかし、張さんは実際の養老保険金が在任中の賃金より著しく減額されたことに気づき、不満を感じ、「自分は幹部に該当し、55歳に定年退職するはずである。会社による労働契約終了は違法である。」と主張した。
 これに反して、同じく50歳になった李さんは、会社が定年退職手続を行わないことを理由に、労働仲裁を提起した。会社は、「李さんは幹部に該当し、55歳に定年退職するべきである。」と主張。一方、李さんは早期に定年退職して老後を楽しむことを希望し、「自分は幹部に該当せず、会社が定年退職手続を行わないことは違法である。」と主張した。

『分析』:

 『国家規定に違反して企業従業員を早期に定年退職させることを抑制・是正する問題に関する通知』第1条には、「国の法律で定める企業従業員の定年退職年齢は、男性の場合は満 60 歳、女性労働者の場合は満 50 歳、女性幹部の場合は満 55 歳とする。」と規定している。地方によって、政策や規定は異なる。例えば、天津市の『従業員基本養老保険制度の整備の若干意見に関する実施弁法』には、「定年退職年齢は、女性現場作業者の場合は満50 歳、女性管理職の場合は満55 歳とする。」と規定している。
 『国家規定を厳守して企業従業員定年退職を実施する関連問題に関する北京市労働・社会保障局の通知』【京労社養発(1999)63号】には、「国の法律で定める企業従業員の定年退職年齢は、女性幹部の場合は満55 歳、女性労働者の場合は満 50 歳とする。」と規定している。
 『〈本市企業従業員定年退職手続の実施の若干問題の審査に関する規定〉の配布に関する上海市社会保険管理局の通知』(滬社保業[1996]76号)には、「女性従業員が満 50 歳 (管理職・技術職の場合は満55歳)になり、定年退職・引退の条件を満たす場合は(以下同様)、関連規定に従い定年退職手続を行うことができる。」と規定している。

 上述の規定からみて、政策では、女性従業員を女性労働者と女性幹部、又は管理職・非管理職に分け、それぞれの定年退職年齢を設定した。但し、現行の政策法規では、女性従業員の定年退職条件に係る「女性労働者と女性幹部」、又は「管理職・非管理職」を明確に定義や例示をしていない。
 実務においては、通常、雇用企業と労働者の労働契約における約定を参考にする。又、定年退職手続を行うときに、労働部門は、労働契約における約定を重要な根拠として、女性従業員が定年退職条件を満たすか否かを審査する。労働契約において職責の性質が約定されていない場合に、雇用企業の規則制度、組織構成、職責などに係る文書規定も認定の根拠となる。

 当然、労働契約を履行する中で、従業員の職責が変更され、入社時の約定職責と異なるケースもある。『〈中華人民共和国労働法〉徹底の若干問題に関する意見』によると、雇用企業が全従業員に対して労働契約制度を実行した後、従業員の職責が変更され、即ち、雇用企業転制前の労働者から幹部(技術職)に変更され、又は幹部(技術職)から労働者に変更される場合は(注:転制とは、国有性質を有する企業・事業体が所有権構造を変更する方式の一つを指す。例えば、国有企業が払下などにより民営企業になる。)、定年退職の年齢と条件は、定年退職当時の職責に係る国家規定に従う。
 従って、定年退職時に職責の性質を確定する時は、定年退職当時の職責の性質に準ずる。『労働契約法』によると、雇用企業と労働者が協議して合意に達した場合は、労働契約における約定を変更することができる。労働契約を変更する場合は、書面の方式を取る。女性従業員の職責を変更する場合は、雇用企業は法に従い書面で当該女性従業員と労働契約を適時変更するものとする。

 以上のことから、女性従業員が定年退職年齢について企業と紛争を引き起こすことを防止するために、企業は女性従業員との労働契約、企業の内部規則制度において、管理職又は非管理職、労働者又は幹部など、職責の性質を明確に約定すべきである。又、職責を変更する場合は、書面で女性従業員と労働契約を適時変更するよう注意すべきである。


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【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

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