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2020.03.05

中国中国【中国】陳弁護士の法律事件簿㊼「事業再開後に従業員が新型肺炎に感染した場合の労働災害認定」
【中国】陳弁護士の法律事件簿㊼
『事業再開後に従業員が新型肺炎に感染した場合の労働災害認定』

新型肺炎の影響を受け、各地の政府はそれぞれの実情に応じて事業再開の延期命令を出した。業界によって再開日が異なり、最近、企業は政府の政策や指示に従い続々と再開している。政府の要求により、再開後に企業は多様で柔軟な働き方の実現を推進する必要があり、これによって柔軟で複雑な雇用形態に直面する。本文では、新型肺炎の労働災害認定について分析してみる。
 
『分析』:
一、企業の指示により勤務場所にて正常な労働を提供できる従業員
通勤途中又は勤務時間中に勤務場所内で新型肺炎に感染する場合は、労働災害と認定されるか?
 
➣通勤途中
『労働災害保険条例』第14条では、労働災害と認定される状況を例示した。第(6)号の規定によると、通勤途中に、本人の主要な責任によらない交通事故又は都市軌道交通・フェリー・汽車事故に遭い負傷する場合は、労働災害と認定される。但し、通勤途中に新型肺炎に感染する場合は、交通事故又は事故による負傷に該当せず、罹病に該当するため、労働災害と認定されにくい。 
 
➣勤務時間中・勤務場所内
『労働災害保険条例』第14条第(1)号、第(3)号の規定によると、勤務時間中に勤務場所内で、業務上の事由により事故に遭い負傷した場合、業務上の職務履行により暴力等の突発的な傷害を受けた場合は、労働災害と認定される。「業務上の事由」、「業務上の職務履行」に該当するか否かについて、労働災害認定部門は個別的状況に応じて判断する。通常、医者・看護婦でない一般従業員は、業務内容や職務履行により新型肺炎の感染を引き起こさない。又、新型肺炎に感染する場合は、罹病に該当し、事故による傷害又は突発的な傷害に該当しないため、仮に勤務時間中・勤務場所内で新型肺炎に感染するとしても、労働災害と認定されにくい。
『労働災害保険条例』第14条第(4)号の規定によると、職業病に罹患する場合は、労働災害と認定される。新型肺炎は『職業病分類と目録』に入れられていないため、新型肺炎に感染した場合は、職業病にならず、『労働災害保険条例』第14条第(4)号の規定により労働災害と認定されにくい。
但し、例外もある。
☑ 『労働災害保険条例』第15条第(1)号の規定によると、勤務時間中に職場で、突然発病して死亡し又は48時間以内に応急手当を受けたにもかかわらず死亡した場合は、労働災害と看做される。従って、業務中に新型肺炎に感染して突然死亡し又は48時間以内に応急手当を受けたにもかかわらず死亡した場合は、みなし労働災害と認定される可能性がある。
☑『職責履行により新型肺炎に感染する医者・看護婦及び関係職員の保障に関する人力資源・社会保障部、財政部、国家衛生健康委員会の通知』(人社部函〔2020〕11号)によると、新型肺炎の予防・治療において、医者・看護婦及び関係職員が職務履行により新型肺炎に感染し、又は新型肺炎の感染により死亡した場合は、労働災害と認定される。当該通知によると、企業において、従業員(体温測定担当者、医務室担当者など)が予防・治療の業務を遂行することにより新型肺炎に感染する場合は、労働災害と認定される可能性がある。
 
二、企業の指示により遠隔勤務に対応できる従業員
➣自宅での遠隔勤務
『労働災害保険条例』第14条の規定によると、通勤途中に発生する交通事故、業務中(業務上の事由による外出を含む)に発生する傷害及び職業病に係り、かつ「勤務時間中、勤務場所内、業務上の事由」の3つの要素に係る規定に同時に合致する場合は、労働災害と認定される。企業が従業員に自宅での遠隔勤務を指示した場合は、従業員の自宅を「勤務場所」と看做し、自宅での遠隔勤務を「業務上の事由による外出」と看做すことができる。従業員が自宅での遠隔勤務期間内に新型肺炎に感染した場合、労働災害と認定されるか否かについては、上記の「勤務時間中・勤務場所内」の分析を参考して対応してよい。
但し、正式な勤務場所又は業務上の事由による外出と比べれば、自宅での遠隔勤務は家庭環境による大きな影響を受けるため、「勤務時間内」、「業務上の事由」に該当するか否か、職務履行と新型肺炎の感染との間に必然的な因果関係が存在するか否かについては、従業員が立証責任を負う。

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【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

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