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2018.10.16

その他のアジア【アジア】みらいニュース/「海外現地法人の運営ポイント~足元をすくわれない!~」第6回/全11回
【アジア】みらいニュース/「海外現地法人の運営ポイント~足元をすくわれない!~」第6回
◇『みらいニュース』は、海外ビジネスの経営課題の解決をサポートするみらいコンサルティング様からの情報を皆様にお届けするレポートです。海外ビジネスを展開される企業様にお役立ていただければ幸いです。

本稿では、「海外現地法人運営のポイント」について、全11回のシリーズで解説しています。
第3回~第6回は、実例に基づいた「現地法人の事件簿」についてとりあげます。

④<事件簿Ⅳ>(ベトナム)「ウラガネ」要求への対応
 
ベトナムに進出する日系企業の数は、年々増加しています。外資規制のない事業内容であれば、ライセンスの取得はそれほど苦労せずに進められます。
ただし、設立後の会社運営段階に入ると、どんな会社(日系を含む外資企業)でも、現地の商習慣からくるトラブルを避けられません。
その代表的なものが、「ウラガネ」の要求です。
 
《ケース1》政府当局への対応
 
ベトナムでは許認可制度に従い、政府当局が各企業を管理しています。たとえば、事業内容に関連するライセンス取得、工場稼働のために必要な環境許可・消防許可の取得、税務関連の各手続き(税金還付・税務調査の対応等)があります。
その際、法律に従って手続きを行っても、一向に進まないケースがあります。こんなとき、当局筋に顔が利く人脈や「御礼」の存在がその後の進捗や結果を大きく左右します。
「御礼」には、法律上大きな問題になるケースと、現地習慣として受け入れざるを得ない水準の両面があるのが、現地法人が直面している現状です。日本本社からみて「コンプライアンス違反」にならないため、上手く外部のコンサルタント等と相談して検討したほうがスムーズに進みます。
 
《ケース2》仕入担当の不当なコミッション要求
 
メーカー(主に委託加工企業)においては、仕入担当がかなり重要なポジションとなります。原材料を日本本社や顧客が支給し、副資材をベトナム国内で調達する場合が多いですが、仕入担当者は、時に強い権限を持ち、仕入先から一定の「コミッション」を受領しているケースがあります。ベトナムでは、コミッションの文化が非常に浸透しているため、現地法人は常に仕入担当をチェックする必要があります。
必ず相見積りをとる、仕入責任者を現地法人社長が信頼できる人にする(ローカルパートナーの親族は特に危険)、会社の責任者が仕入れをチェックする等の対策が効果的です。また、日本本社からは仕入の管理データを定期的に入手し、購入相場を市場相場と比較することも有効です。
なお、最近では、現地法人に「内部通報制度」を導入している日系企業も多くなっています。どの国でも、不正を発見するのには、「密告」が一番効果のある制度です。
 
《ケース3》販売先に支払う手数料
 
仕入コミッションと似ていますが、販売先からコミッションが要求される場合もあります。コミッションを拒否すると新規の取引先が開拓できないと悩んでいる外資企業も少なくありません。ここも、コンプライアンスとのバランスを考慮した、ケースバイケースの「実務上」の対応が求められるところです。
日本スタイルを固持しすぎると、現地法人の運営が上手くいかないケースがあります。現地の商習慣を理解した上で、その国に合う運営方法を決定するのが適切です。
重要なのは、こういった交渉を現場責任者(マネージャー)任せにせず、海外現地法人トップ自らが行うことです。トップ同士であれば、従業員より一段高い「ビジネス」の視点からこのような話題について話し合うことができ、現場レベルでの泥沼から抜け出すことも可能となります。
 
Point
 
・ 日本本社は、頭ごなしにすべてを否定するのではなく、まずは現地法人がおかれている現状に耳を傾けて、打開策を一緒に検討する姿勢が求められます。
・ 交渉を現場に任せると、泥沼にはまります。現地法人トップ自らが責任を持ち、対応方針を打ち出す必要があります。
・ 現地法人のトップには、マネジメントに適切な人材を選出することが必須条件であります。
 
※本稿の著作権は、みらいコンサルティング株式会社に帰属しています。

第7回に続きます。


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本稿では、「海外現地法人の運営ポイント」について、全11回のシリーズで解説します。
 
◇本ニュースの内容
 はじめに
  ・グローバルビジネス成功のための現地法人運営・・・・・・・・・第1回
1.現地法人編
 (1)現地法人の社長の悩み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2回
 (2)現地法人の事件簿  
   ①【アジア】事件簿Ⅰ:とまらない!賃金アップ要求・・・・・・第3回
   ②【中 国】事件簿Ⅱ:パートナーに「だまされた?」・・・・・第4回
   ③【中 国】事件簿Ⅲ:「二重帳簿」によるリスク・・・・・・・第5回
   ④【ベトナム】事件簿Ⅳ:ウラガネ要求への対応・・・・・・・・第6回
 (3)現地法人の「現地化」の成功事例とそのポイント・・・・・・・第7回
2.日本本社編
 (1)日本本社の国際人事・労務のポイント・・・・・・・・・・・・第8回
 (2)日本本社の国際税務のポイント・・・・・・・・・・・・・・・第9回
 (3)現地法人管理のポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・第10回
 (4)現地法人の「見直し」時に気をつけるべきこと・・・・・・・・第11回
 
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【掲載元情報】
みらいコンサルティング株式会社  作成

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