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2018.10.09

その他のアジア【アジア】みらいニュース/「海外現地法人の運営ポイント~足元をすくわれない!~」第5回/全11回
【アジア】みらいニュース/「海外現地法人の運営ポイント~足元をすくわれない!~」第5回
◇『みらいニュース』は、海外ビジネスの経営課題の解決をサポートするみらいコンサルティング様からの情報を皆様にお届けするレポートです。海外ビジネスを展開される企業様にお役立ていただければ幸いです。

本稿では、「海外現地法人の運営ポイント」について、全11回のシリーズで解説しています。
第3回~第6回は、実例に基づいた「現地法人の事件簿」についてとりあげます。

③<事件簿Ⅲ>「二重帳簿によるリスク」
 
現地法人が、いわゆる「節税」のために、二重帳簿を作成するケースがあります。すなわち、海外現地法人の「実際の経営状況をあらわした帳簿」と「税務申告するための帳簿」が作成されます。
これらは現地のローカル責任者や経理担当が主体となり、「良かれ」とおもって行われています。また、海外では二重帳簿の存在は「当然」ととらえられているケースも多く、特に中国では二重帳簿がごく普通に存在しています。
しかし、これは明らかな脱税行為であり、規則や法律に違反することとなります。リスクは、海外現地法人にとどまらず、日本本社にまで影響するケースがあるので注意が必要です。
脱税の事例としては、以下のような事例があります。

● 売上を計上しない:インボイス・発票(中国における請求書兼領収書)を発行せず、売上を隠します。
● 人件費水増し:架空従業員の口座をつくり、架空給与を支払います。
➡ 支出先は、現地法人の社長やその親族等になるケースもあります。
● 販売先へのコミッション(販売手数料):販売金額の一部を手数料として売上先に渡し、経費処理します。
➡ コミッションを渡す先は、会社ではなく「従業員」となっている場合があります。この場合は、税務上は絶対に経費にできません。
● スクラップ収入の未計上:スクラップ販売の収入が、帳簿上計上されません。
➡ 入金された資金は、「ウラガネ」として会社にプールされ、日本本社に説明できない支出に使われることがあります。
● 在庫の過少計上:在庫を実際より少なく計上することで、利益・税金は少なくなります。
➡ 帳簿上の在庫は、倉庫に実際にある在庫よりも少なくなります。この差額は、在庫の横流しに繋がる可能性があります。

上記の事例からわかるとおり、脱税二重帳簿は単なる「粉飾」ではなく、「不正(会社の資産が不当に流出してしまう)」に繋がってしまうリスクもあります。
日本本社としては、現地法人の脱税処理を防止し、実態を正しくつかんで予想外の損失を回避することが必要です。
なお、中国では「五証合一(営業許可証、組織機構コード証、税務登記証、社会保険登記証、統計登記証の統合)」および「金税三期税収管理情報システム(関連当局間のネットワークによる情報共有が現実化、ビックデータの分析により財務データが異常な企業を発見する、など)が推進されており、脱税が発見されやすい環境となっています。
参考までですが、中国では帳簿の違法な操作により脱税した場合、過少納付した税金の50%以上5倍以下の罰金が発生します。また、刑法上は、3年〜7年の有期懲役となるおそれがあります。

Point
・ 二重帳簿は、単なる「粉飾」ではなく、現地法人の資産流出につながる「不正」となり、刑事事件となる可能性を秘めています。
・ なによりも、現地法人の「実態」が分からなくなることが、グループ全体のビジネスにとって悪影響を及ぼします。

※本稿の著作権は、みらいコンサルティング株式会社に帰属しています。

第6回に続きます。

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本稿では、「海外現地法人運営のポイント」について、全11回のシリーズで解説します。
 
◇本ニュースの内容
 はじめに
  ・グローバルビジネス成功のための現地法人運営・・・・・・・・・第1回
1.現地法人編
 (1)現地法人の社長の悩み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2回
 (2)現地法人の事件簿  
   ①【アジア】事件簿Ⅰ:とまらない!賃金アップ要求・・・・・・第3回
   ②【中 国】事件簿Ⅱ:パートナーに「だまされた?」・・・・・第4回
   ③【中 国】事件簿Ⅲ:「二重帳簿」によるリスク・・・・・・・第5回
   ④【ベトナム】事件簿Ⅳ:ウラガネ要求への対応・・・・・・・・第6回
 (3)現地法人の「現地化」の成功事例とそのポイント・・・・・・・第7回
2.日本本社編
 (1)日本本社の国際人事・労務のポイント・・・・・・・・・・・・第8回
 (2)日本本社の国際税務のポイント・・・・・・・・・・・・・・・第9回
 (3)現地法人管理のポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・第10回
 (4)現地法人の「見直し」時に気をつけるべきこと・・・・・・・・第11回
 
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【掲載元情報】
みらいコンサルティング株式会社  作成

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