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2024.11.06

インドネシアインドネシア【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第108回「フランチャイズに関する新政令の施行」
【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第108回「フランチャイズに関する新政令の施行」
◇インドネシア

インドネシア政府は、2024年9月2日にフランチャイズに関する政令35号(「新政令」)を公布・施行しました。新政令の施行により、2007年に制定されたフランチャイズに関する政令42号(「旧政令」)が廃止されています。
新政令の内容には新たに規定された事項も含まれますが、旧政令の下位規則であるフランチャイズ組織に関する商業大臣規則2019年71号の内容が明確化の上で反映された事項も多く含まれます。なお、同商業大臣規則は新政令と矛盾しない範囲で有効とされています。
本レターでは、新政令において重要と思われるものについて、主にフランチャイザーの観点から説明します。
 
(1) フランチャイズ事業を行うための要件
 
インドネシアにおいてフランチャイズ事業を行おうとするフランチャイザー(又はサブフランチャイザー。以下同じ。)は、新政令に基づき、以下の各要件を満たす必要があります。

(a)事業要件
旧政令下では、事業としての特性を有すること、商品・サービス提供のための業務手順を有すること、フランチャイズ事業の教育・実施が容易であること、といった事業要件が課されていましたが、新政令下では、これらの事業要件が詳細化され、上記に加えて、人材管理、店舗の立地選定、広告戦略等に関する業務手順を有すること等が新たな事業要件として求められています。

(b)事業継続・収益性要件
旧政令下では、フランチャイズ事業について、少なくとも過去5年間事業を継続し、当該期間において収益性のある事業を営んできていることが事業継続・収益性要件として課されていましたが、新政令下では事業継続・収益性要件は過去3年間の期間に短縮されています。

(c)知的財産権保有要件
旧政令下では、フランチャイズ事業に関する知的財産権を有することが求められていたものの、当該知的財産権が登録手続中であっても知的財産権保有要件を充足するとされていました。
しかし、新政令下では、登録手続中の知的財産権をもって知的財産権保有要件を充足することは認められなくなり、下記のとおりフランチャイズ目論見書をオンライン登録する時点で登録済みの知的財産権の保有が求められています。

(d)継続的サポート要件
フランチャイザーは、フランチャイジー(又はサブフランチャイジー。以下同じ。)に対し、継続的なサポートを提供することが求められています。継続的サポート要件については、旧政令からの変更はありません。
 
(2) フランチャイズ目論見書

 
インドネシアにおいてフランチャイズ事業を行おうとするフランチャイザーは、旧政令下では、フランチャイジーに対しフランチャイズ事業に関するオファーを行う際にフランチャイズ目論見書を提供し、フランチャイズ契約締結前に同書面を商業省に登録してから、Surat Tanda Pendaftaran Waralaba(STPW)と呼ばれる事業許可を取得する必要がありました。

他方で、新政令下では、フランチャイザーは、遅くともフランチャイズ契約締結の14日前までに、フランチャイジーに対しフランチャイズ目論見書を提供し(同期限については商業大臣規則2019年71号で既に定められていました。)、同書面を、インドネシアにおけるライセンス申請のオンラインプラットフォームである事業許認可統合電子サービス(「OSS」)上で登録し、フランチャイズ契約締結前にSTPWを取得しておくことが求められています(なお、フランチャイジーについては、実際の事業開始前までにSTPWの取得が必要となります。)。

フランチャイズ契約締結前のフランチャイズ目論見書の提出期限、STPW取得のタイミング自体は新政令・旧政令(下位法令を含む。)間での変更はありませんが、新政令では、ライセンス申請システムの変更に伴う修正がなされています。
また、フランチャイズ目論見書の内容としては、旧政令下で必要とされていた記載事項(例えばフランチャイザーの組織図やフランチャイジーリスト等)に加え、新政令下では事業モデルの詳細やフランチャイザー・フランチャイジー双方の権利義務等新たな記載事項が追加されています。
 
(3) 事業許可(STPW)
 
STPWの取得に関して、新政令で新たに定められた事項として、外国法人であるフランチャイザーがSTPWを取得するにあたっては、フランチャイズ目論見書のOSSへの登録時の添付資料として、自国における事業許可証(領事認証又はアポスティーユが必要)及びフランチャイズ事業の継続性に関する証書(領事認証等が必要。なお、条文上はアポスティーユ認証によることの可否については明記されていません。)が必要となります。

また、STPWの有効期限については、旧政令下では、有効期限が5年と定められており、満了時に更新手続が必要とされていたところ、新政令下では、当該有効期間の定めが廃止され、更新手続は不要とされています。既に旧政令に基づきSTPWを保有している者が期間満了を迎えた場合、当該時点で新政令に基づき新たなSTPWを取得する必要があります。
 
外国企業によるインドネシアでのフランチャイズ事業は多くみられるところであり、新政令は、旧政令及び商業大臣規則2019年71号に比して追加的な要件を課しているものも含まれ、契約締結までに対応すべき事項も増えていることから、フランチャイズ契約締結前の準備がより一層重要になってくるものと思われます。
 
本記事掲載URL
20241021-014824.pdf (mhmjapan.com)


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森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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