2024.07.01
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿/第80回「新『公司法』における会社抹消登記の種類」
- 【中国】陳弁護士の法律事件簿/第80回
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『 新『公司法』における会社抹消登記の種類』
改正後の新『会社法』は2024年7月1日に施行される。新『会社法』では会社の出資制度を改正したため、出資金を実際に払い込んでいないか、又は長期にわたって実際に経営していない多くの会社が抹消登記される見通しである。新『会社法』における会社抹消登記の種類は以下の通りである。
『分析』:
一、一般抹消
新『会社法』第239条には、「会社清算が終了した後、清算会は清算報告書を作成し、株主会に報告して確認された後、会社登記機関に提出し、会社登記の抹消を申請する」と一般抹消の適用条件を規定している。一般抹消はよくある会社抹消登記の種類であり、清算手続を行う必要があるため、時間がかかるが、株主が処理する未解決問題は少ない。
二、簡易抹消
簡易抹消は新『会社法』において新規に追加された内容であるが、新しいものではない。2017年3月1日から、全国で企業簡易抹消登記の改革を全面的に実施している。新『会社法』第240条では、簡易抹消の適用条件、流れ及び虚偽の株主承諾による責任を定めている。
市場監督管理総局、税関総署、税務総局が2023年12月21日に公布した『企業抹消登記ガイドライン(2023年改正)』には、「①法律、行政法規または国務院の決定により、抹消登記前に許可を得なければならない場合、②営業許可証を取り上げられ、閉鎖を命じられ、取り消された場合、③経営異常リストまたは市場監督管理における重大違法・信用失墜リストに組み入れられた場合、④持分(財産持分)が凍結され、質権を設定され、または動産に抵当権を設定し、或いはその他の企業に投資している場合、⑤持分、株式などの権益性投資、債権性投資、土地使用権・不動産などの資産を保有している場合、⑥法により所得税の清算申告を行っていないか、または清算所得があって所得税を納付していない場合、⑦立件調査を受けているか、または行政強制措置を取られており、訴訟や仲裁中である場合、⑧罰則などの行政処罰を講じられており、執行が完了していない、⑨簡易抹消登記を適用しないその他の場合。」と簡易抹消登記手続を適用しない状況を一層明確にしている。
三、強制抹消
強制抹消は新『会社法』において新規に追加された内容であり、今回の改正のキーポイントでもある。新『会社法』第241条には、「会社が営業許可証を取り上げられ、閉鎖を命じられ、又は取り消されてから 3 年を超えているにもかかわらず、会社登記機関に対して会社抹消登記を申請していない場合、会社登記機関は国家企業信用情報公示システムにより公告を行うことができる。公告期間は 60日を下回らない。公告期間満了後、異議がない場合、会社登記機関は会社登記を抹消することができる。」と規定している。
四、強制清算手続による抹消
強制清算とは、期限を過ぎても清算会を設立せず、又は清算会を設立したが清算を行わず、或いは違法に清算を行い、債権者や株主の利益を著しく損なう可能性がある場合は、債権者、会社の株主、取締役やその他の利害関係者が民事訴訟を通じて、「人民法院が関係者を指定して清算会を構成させ、清算を行わせる」ことを申請することを指す。通常、強制清算手続が終了した後、清算会は人民法院からの清算会指定の決定書と清算手続終了の裁定書を持って、会社抹消登記手続を行うことができる。
五、破産手続による抹消
新『会社法』第237条には、「清算会は清算において、会社の財産が債務の返済に不足することを発見した場合、法により人民法院に破産清算を申請しなければならない。」と規定している。『企業破産法』には、「会社の破産管財人は破産手続終了日から10日以内に、人民法院からの破産手続終了の裁定を持って、破産会社の元登記機関にて抹消登記を行う。」と規定している。
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- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員