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2022.02.24

インドネシアインドネシア【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第76回「暗号資産に関する法規制概要」
【インドネシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第76回「暗号資産に関する法規制概要」
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights134号(20222月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

◇インドネシア:暗号資産に関する法規制概要

インドネシアにおいても近時ブロックチェーン技術を用いた暗号資産に関する取引が急増しています。インドネシアにおいては暗号資産に関する規則が十分には整備されている状況ではありませんが、本稿では、インドネシアにおける現時点の暗号資産に関する法規制の概要を簡潔に紹介いたします。
  
(1) 暗号資産に関する法規制概要

(a)インドネシアでは、暗号資産とは、暗号技術、ネットワーク情報技術、分散型台帳技術を用いたデジタル資産であり、新ユニットの発行、取引の認証、保護について第三者による介入を受けない、無形のコモディティと定義されています(先物取引監督庁規則2021年8号)。

(b)インドネシアにおいては、暗号資産は価値が変動するコモディティの一種として扱われており、インドネシア先物取引監督庁(BAPPEBTI)が暗号資産の現物取引についても規制しています(商業大臣規則2018年99号)。なお、インドネシアの現行法令上、暗号資産を決済手段として用いることは禁止されています(インドネシア中央銀行規則2021年23号)。

(c)上記のとおり、暗号資産取引については、インドネシア先物取引監督庁が監督官庁であるため、現時点ではインドネシア金融庁(OJK)やインドネシア中央銀行の監督が及ばない形になっています。インドネシア金融庁も、暗号資産は価値が変動するコモディティであることから、暗号資産取引に関わる顧客を含む市場参加者に注意を促しており、近時、金融サービス機関による暗号資産取引の仲介及び促進を禁止する旨を公表しています。

(d)現時点でのインドネシアの暗号資産取引に関するその他の主要な規則として、インドネシア先物取引監督庁が規定する、①取引可能な暗号資産を定める同庁規則2020年7号(BitcoinやEther等も取引可能な暗号資産として列挙されています。)のほか、②暗号資産取引に関連する当事者(暗号資産取引所、暗号資産取引業者、先物クリアリング機構、暗号資産保管業者)についてのライセンス等を定める同庁規則2021年8号が存在します。②の規則においては、各関連当事者の最低資本金や専門的な知識を有する有資格者の配備等の詳細がライセンス取得のための要件として記載されています。しかし、本稿執筆時点では、これらの暗号資産取引に関連する当事者として正式なライセンスを取得している例はなく、これから暗号資産取引市場関係者含め暗号資産取引環境の整備が期待されるところです。
 
(2) NFTに関する状況
 
ある個人が自撮り写真をNFT化して売買を行うことで高額な利益を上げたこと等も報道され、近時、インドネシアでもNFT(Non-Fungible Token)取引が注目を集めており、NFTマーケットプレイスも既にいくつか存在しています(Enevti/TokoMall等)。
他方で、上記暗号資産同様、NFTに関するルールの策定はまだ十分ではありません。NFTに関する特別法がないことは勿論のこと、NFTは、ブロックチェーン上で発行されるトークンのうち、固有性を有し、それぞれが区別可能なデジタル資産と一般的に考えられているので、上記インドネシアにおける暗号資産の定義にも該当するとも読めそうです。
しかし、先物取引監督庁は、NFTは暗号資産に該当せず、上記暗号資産に関する規制とは別にNFTに関する特別な規則を策定する旨を表明しています。
NFTに関しては、その暗号資産該当性のほか、著作権法、電子商取引法、税法等の各種論点がありますが、現時点では十分な議論がなされていない分野であるため、今後の実務動向については引き続き注視が必要です。

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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