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2026.07.16

【中国】陳弁護士の法律事件簿/第101回「定年超過労働者を雇用するために構築すべきコンプライアンス体系の要点」NEW
【中国】陳弁護士の法律事件簿/第101回
「定年超過労働者を雇用するために構築すべきコンプライアンス体系の要点」
 
 2026年7月1日より施行される『定年超過労働者基本権益保障暫定規定』(以下『暫定規定』という)では、定年超過労働者と企業の関係、権利義務について新たな規定を織り込んだ。定年超過労働者と企業の関係は、標準労働関係と労務関係の間に介在する「準労働関係」または「特殊な雇用関係」に該当すると理解してよい。今後、企業は定年超過労働者を雇用する場合、『暫定規定』に基づきコンプライアンス体系を構築し、法的リスクを回避するべきである。
 
『分析』

 まず、雇用前に適正な審査を行い、採用手続きの瑕疵を防ぐ。雇用企業が定年超過労働者(法定定年退職年齢を超える労働者を指す)を雇用し、かつ定年超過労働者が雇用企業の労働管理下にあり、雇用企業に指示された有償労働に従事する場合に、『暫定規定』を適用する。通常、定年超過労働者は3つの種類に分ける。(1)法定定年退職年齢に達した労働者。(2)規定に合致する早期退職者。(3)元の雇用企業で法定定年退職年齢に達しており、定年退職手続きを行った後もなお当該雇用企業で働き続ける労働者。

 次に、適切な職位を手配する。雇用企業は定年超過労働者を雇用する場合、定年超過労働者の健康状態、知識、技能、経験等に基づき、適切な職位と労働強度を確定するものとし、心身の健康を害する労働や危険な作業に従事させてはならない。そのため、適切な職位を手配できるように、雇用企業は健康診断、本人からの自主的な告知などを通じて、定年超過労働者の職歴や健康状態を全面的に把握してよい。

 第三、書面で雇用協議書を締結し、口頭での合意を排除する。雇用企業は定年超過労働者と書面で雇用協議書を締結し、協議書の有効期間、勤務内容、勤務場所、労働時間、休息・休暇、労働報酬、社会保険、労働保護、労働条件、職業上の危害要因に対する防護措置などを明確にしておくべきである。協議の上合意に至った場合は、雇用協議書を変更または解除することができ、雇用終了の条件を約定することもできる。『暫定規定』では相応の罰則を定めていないが、紛争を未然に防ぐためにも、書面で雇用協議書を締結し、双方の権利義務、協議書の解除・終了に伴う法的責任などを明確にしておくべきである。

 第四、雇用はコンプライアンスに合致し、定年超過労働者の労働報酬、休息・休暇、労働安全衛生、労災発生後の権利保障などの基本権益を確保しなければならない。(1)最低賃金。定年超過労働者が正常な労働を提供した場合、雇用企業が支払う労働報酬は、現地の最低賃金基準を下回ってはならない。労働報酬は通貨で約定に従い速やかに全額支払い、少なくとも毎月1回とし、現物や有価証券などで代替してはならず、控除や無断不払いを行ってはならない。(2)残業を規範化する。雇用企業は関連規定に従い、定年超過労働者の労働時間及び休息・休暇を合理的に手配するものとし、通常、定年超過労働者に残業を手配しない。(3)安全な雇用。定年超過労働者に対して、安全生産及び職業衛生に関する教育・訓練を実施し、安全生産及び職業衛生の規定・基準を執行し、事故と職業病を防止する。(4)労災保険(強制)。雇用企業は定年超過労働者のために労災保険に加入し、労災保険料を納付するものとし、労働者個人は労災保険料を納付しない。具体的な規定については、今後関連部門が制定する。

 第五、養老保険及び医療保険について協議し、状況によって処理してよい。定年超過労働者が基本養老保険/医療保険の待遇を享受している状況下で、就労を継続すれば、その基本養老保険/医療保険の待遇を享受し続けることは変わらない。定年超過労働者が基本養老保険/医療保険の待遇を享受していない状況下で、就労を継続すれば、個人で従業員基本養老保険料/従業員医療保険料を引き続き納付することもできるし、雇用企業と協議して合意に至った上で、雇用企業に規定に従い従業員基本養老保険料/従業員医療保険料を納付してもらい、かつその個人負担分を源泉徴収してもらうこともできる。

 第六、紛争によって権利保護の方法も異なる。労働報酬、休息・休暇、労働安全衛生、労災発生後の権利保障による紛争については、『中華人民共和国労働争議調停仲裁法』に基づき処理し、労働紛争仲裁を前置手続きとする。その他の事由による紛争については、訴訟を直接提起することができる。

 要するに、『暫行規定』の公布後、定年超過労働者を雇用する場合は、法令を遵守してコンプライアンスに合致するものとし、従来の口頭約定、随意雇用など大まかな方式を踏襲してはならず、書面契約の締結、労災保険、最低賃金、安全な雇用、残業の規範化などの規定を厳守しなければならない。

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【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。

[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

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