2026.06.16
- 【中国】陳弁護士の法律事件簿/第100回『知的財産権侵害における「故意」、「情状の重大性」を如何に認定すべきか』

- 【中国】陳弁護士の法律事件簿/第100回
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『知的財産侵害における「故意」、「情状の重大性」を如何に認定すべきか』
最高人民法院が公布した『知的財産権侵害民事紛争事件の審理における懲罰的賠償の適用に関する解釈』(以下『新司法解釈』という)は2026年5月1日から正式に施行されている。『新司法解釈』の施行前に、知的財産権侵害事件に「懲罰的賠償」を適用する難点は、「故意」と「情状の重大性」の認定基準が統一されていなかったことにある。司法実務において、一部の裁判所は懲罰的賠償の適用に対して極めて慎重な態度を取り、権利侵害者の主観的悪意を証明するために、権利者に極めて高い基準で証拠を提供させることが多い。関連会社を通じて権利侵害を隠すこと、和解後に隠蔽の手段で権利侵害を再度実施することなどを「故意」と認定するか否かについては、地域によって裁判所の見解が一致していない。そのため、違法行為行うコストは極めて低く、「内巻き式(注:社会現象としての言葉で、外に向かって発展できず、内部で過度な競争が起き、無意味な消耗に陥る状況を指す)」の権利侵害・模倣行為に対して効果的な抑止力を発揮しかねる。
『分析』
一、『新司法解釈』によると、知的財産権侵害における「故意」の認定について、人民法院は知的財産権の客体のタイプ、権利状態、知名度、及び被告と原告又は利害関係者との関係などの要素を総合的に考慮しなければならない。以下のいずれかの状況に該当する場合は、主観的故意と直接認定される。
1、権利者から有効な権利侵害通知を受けた後も、なお権利侵害を継続して実施する。
2、労働、提携、委託などの関係で関連知的財産権に接触した後に権利侵害を実施する。
3、知的財産権を侵害する海賊版、模倣品。
4、登録商標詐欺、特許詐欺。
5、権利者と和解に達した後に、同類の権利侵害を再度実施する。
6、シェルカンパニーや関連主体を通じて支配関係を隠匿し、「換殻(注:苦境に陥った企業が破産の立て直し、資産の売却、株式の譲渡または業務の分割などの方法を通じて核心資産、技術またはチームを保留し、新しい主体または姿で再び市場に参入する)」により責任を回避し、権利侵害を継続して実施する。
二、『新司法解釈』によると、「情状の重大性」の認定について、人民法院は権利侵害の手段と回数、権利侵害行為の継続期間、地域範囲、規模、結果、権利侵害者の権利侵害行為に対する認識と基本的態度などの要素を総合的に考慮しなければならない。以下のいずれかの状況に該当する場合は、「情状の重大性」と直接認定される。
1、権利侵害、詐欺・模倣を主たる業務及び主な収入源とする。
2、権利侵害により得た利益が巨大で、又は権利者が重大な経済的損失を被り、営業上の信用や評判が損なわれる。
3、正当な理由なく裁判所の保全裁定の履行を拒否し、司法に対抗する。
4、権利侵害を複数回繰り返して実施し、幾度差止請求しても改めない。
5、権利侵害が長期間続き、範囲が広く、規模が大きく、悪影響が重大である。
6、権利者の市場占有率とブランド評判が重大に損なわれる。
7、証拠を隠匿・破棄し、製品を転移し、悪意で訴訟を遅延・回避する。
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- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





