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2020.06.29

タイタイ【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第56回『電子的方法による会議の技術的要件に関する通達の公布』
【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第56回
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights111号(20206月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

◇タイ:電子的方法による会議の技術的要因に関する通達の公布
 
2020年5月26日、Ministry of Digital Economy and Society(「デジタル経済社会省」)から、電子的方法による会議のセキュリティ管理基準に関する通達(Notification re: Standards for Maintaining Security of Meetings Via Electronic Means B.E. 2563:「本通達」)が公布(翌日施行)され、電子的方法による会議(「電子会議」)に関する技術的要件(機能的要件及びセキュリティ要件)の詳細が定められました。

(1) 本通達への移行
 
本レター第110号(2020年5月号)で取り上げたように、2020年4月19日、電子的方法による会議に関する緊急勅令(Emergency Decree re Teleconference through Electronic Media, B.E. 2563 (2020):「本緊急勅令」)が公布され、電子会議の開催要件が緩和されたものの、本緊急勅令では、引き続き、2014年に電子デジタル経済社会省が公布した通達(「前通達」)に基づく技術的要件を充足することが求められていました。この点について、本通達が公布されたことによって、その施行日である2020年5月27日以降は、前通達に代わり、本通達に基づく技術的要件を充足することが求められます。
なお、本通達は、2020年5月27日から施行されていますが、本通達施行日以前に準備された電子会議であり、かつ、本通達施行日から60日以内の日に行われる会議については、引き続き、前通達が適用されます。
 
(2) 本通達に基づく技術的要件
 
本通達は、電子会議に用いる会議システムについて、技術的要件(機能的要件及びセキュリティ要件)を定めています。その要点は、以下のとおりです。
 
(a) 機能的要件
① 会議出席前に、電子的方法により、出席者の本人確認を行うこと。なお、ユーザー名・パスワードやワンタイム・パスワード等の電子的識別方法を利用し、本人確認を行うことも可能。
② 出席者が、会議全体を通して、音声又は音声・映像により、相互に対話を行うことを可能とする機能を有すること。電話会議やメッセージ通信サービス等、会議が中断した場合のバックアッププランが提供されること。
③ 出席者が会議に関連する資料を閲覧できること。なお、会議に関連する資料は、会議前又は会議出席中に出席者に送信する必要がある。
④ 議決権行使に際して、普通投票では、本人を特定し、その投票意思を決定するための機能が動作し、秘密投票では、投票者を特定することなく、投票数を特定するための機能が動作すること。
⑤ 出席者が会議の議題に特別の利害関係を有する場合等、緊急性や必要性がある場合に、直ちに通信を一時的に停止する機能を有していること。
⑥ 秘密会議を除き、会議運営者によって、会議全体の全出席者の音声又は音声・映像が記録されること。会議後、当該会議運営者が当該音声又は音声・映像の記録、出席者の通信記録を保管すること。
 
 
(b) セキュリティ要件
本通達によれば、電子会議は、少なくとも以下のセキュリティ要件を満たしている必要があります。
 
① 秘匿性(不当なアクセス等を防止する仕組みが設けられていること)
② インテグリティ(データが不当に改変等されないこと)
③ 有効性(データが適切に保存され、利用できること)
④ プライバシー及び個人情報の保護
 
なお、本通達では、Electronic Transactions Development Agency(電子取引開発機構:「ETDA」)及びETDAが指定する機関は、サービスプロバイダーが提供する会議システムが本通達の定める要件に適合しているかについて審査し、認証できるとされており、かつ、認証を取得した会議システムは、本通達に適合しているとみなされると規定されています。もっとも、その審査・認証の要件及び方法については、今後、ETDAによって指定される予定であるため、いずれのサービスプロバイダーが提供する会議システムが本通達の技術的要件を充足しているかについては、現時点では明確ではありません。
 
以上より、引き続き、電子会議に関する通達等の動向を注視する必要があるものの、COVID-19の影響もあり、今後、電子会議の重要性はより高まるものと考えられます。したがって、関連法令等を正確に把握した上で、社内での体制を整備し、運営することが重要となります。
 
(ご参考)
本レター第110号(2020年5月号)
http://www.mhmjapan.com/content/files/00042061/20200522-024927.pdf
 
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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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