2025.03.06
- その他のアジア【フィリピン】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第112回「外国投資家リース法の改正動向 (借地期間を最大99年とする法案)」
- 【フィリピン】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第112回「外国投資家リース法の改正動向 (借地期間を最大99年とする法案)」
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◇フィリピン
2024年12月、フィリピン国会の上院(Senate of the Philippines)及び下院(House of Representatives)は、外国投資家による土地リースに関する現行規制である外国投資家リース法を改正し、外国企業等による借地期間を最大99年とすることを主な内容とする法案を承認しました。上院が2024年12月16日に承認した法案は、Senate Bill 2898であり、下院が同月17日に承認した法案はHouse Bill 10755です。両法案の内容は、概ね同じであり、以下、両法案に共通する内容をご紹介いたします。
(1) 借地期間を最大99年とする改正
現行法上、外国投資家による土地の賃借は、工場の建設等一定の目的のための賃借の場合には最大75年(当初の賃借期間50年+更新により25年延長)まで許容されています。今回の改正法案においては、以下の条件を満たす場合、外国投資家による土地の賃借が最大99年まで許容されます。
(a)外国投資家による投資が、1991年外国投資家法(共和国法7042号)その他関連法令において承認若しくは登録されていること、又は、投資促進機関が定める投資要件を遵守していること
(b)土地の賃貸借契約が、管轄の登記局において登録されており、土地の登記に付記されていること
上記1(b)のとおり、改正法案においては、土地の賃貸借契約を登記局に登録することが求められます。当該登録を行うためには、①外国投資家による投資が上記1(a)で述べた条件を満たしていること、②賃貸借の開始日と期間が定められていること、③賃貸借の対象となる土地が特定されていること、④賃貸借契約の締結日から3年以内に投資プロジェクトを開始しない場合には賃貸借を終了する文言が盛り込まれていることが必要となります。
(3) 転貸借
改正法案においては、外国投資家リース法の対象となる賃貸借が上記(1)で述べた条件を満たす場合には転貸借も認められます。なお、転貸借契約の登記局への登録の要否については上院と下院それぞれの法案において差異があります。上院の法案では全ての転貸借について登録を必要としているのに対し、下院の法案では25年以上の期間の転貸借のみ登録が必要とされています。
上記が両法案の概要となります。両法案の内容は概ね同じですが、多少の差異もみられるところであり、今後、両法案を統合した法案が作成されることが想定されます。土地の所有に外資規制が存在するフィリピンにおいて、外国投資家による土地の借地期間を99年まで許容する法案は、日系企業にとって重要な改正であり、今後の動向が注目されます。
本記事掲載URL
https://www.morihamada.com/system/files/newsletters/ja/asian-legal-insights/20250220/01.pdf
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- 【掲載元情報】
- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 制作