2024.12.13
- その他のアジア【ラオス】弁護士法人One Asia/第49回「ラオスにおける炭事業について」
- 【ラオス】弁護士法人One Asia/第49回「ラオスにおける炭事業について」
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◇ラオス
1. 背景
ラオスでは、焼きバナナ、焼き芋、焼きトウモロコシ、焼き肉、焼き魚など、露店や軒先で炭火を使って調理する光景が日常となっています。日本においても、ラオスの木炭が備長炭として、1キロあたり約500円から700円と、紀州備長炭の約半値で販売されています。
木炭は、大きく分けて、白炭、黒炭がありますが、以前よりラオス政府は、輸出可能な木製品リストを作成しており、特に黒炭に関しては、密輸が絶えないことから、海外への輸出を禁止してきました(詳細はニューズレターをご参照ください)。また、ラオス国内の黒炭用の原木の調達にも厳しい制限を設けています。なお、日本で販売されているラオス産の木炭は白炭と記載されています。
今回ラオス農林省は、従前からの森林保護や黒炭の密輸出取締りに加え、炭焼きに使用する原木の種類、切りだした地域等を管理し、白炭の生産を促進することを目的として、2024年10月9日付で「炭工場及び炭窯の管理に関する合意(No4847)(以下、合意)」を発行しました。合意は、11月19日より施行されます。
以下、炭焼き事業に関する概要を簡単に解説いたします。
2. 原木と木炭について
(1)原木の供給源 (合意第6条)
ラオス政府は、炭焼きに使用する原木の供給源として、登録又は認証された植林地の人工林及び政府が策定した生産林地、インフラ建設地、森林がインフラ工事で別の用途に転換された土地(以下、転換地)、村民に土地使用権を譲渡した村落森林地(以下、村落森林地)の天然木を使用することを許可しています。
白炭を生産するために使用するマイテイーゥ(オトギリソウ科)は、政府が策定した生産林地、インフラ建設地、転換地、村落森林地から調達します。
黒炭を生産するための天然木は、土地を詳細に調査し政府が許可したインフラ開発地及び転換地及び個人、法人、団体組織が土地使用権を合法的に保有している土地から調達します。
オガ炭(Sawdust charcoal)の原料については、木材加工場から出るオガ粉や木材チップを使用します。
(2)木炭の輸出(合意第12条)
ラオス政府は、オガ炭、白炭の輸出を促進していますが、所定の書式を県の農林局へ提出し輸出許可を取得する必要があります(Permit for Transportation of Briquette charcoal Pellets charcoal and White charcoal Products for export)。黒炭に関しては、国内消費のみで、輸出は禁止されています。
3. 炭窯について
炭窯は、木炭の種類と用途によって、白炭窯、一次的黒炭窯、家庭用炭窯に大別されます。各窯には、下記の表のようにいくつか条件が規定されています(合意第17条から第19条)。窯の種類 白炭窯 一次的黒炭窯 家庭用炭窯 原木の供給源 自然林、人口林(マイティーゥ等種類は限定される) インフラ開発地及び転換地から調達した天然木 人工林、再生林から調達し、個人、法人、組織の所有する土地で保管 使用目的 海外輸出可 ・国内消費のみ
・海外輸出禁止・家庭内消費
・商品化禁止留意点 ・1,000度以上で焼く技術が必要。
・炭窯製造(設置)許可を取得後、12か月間活動がない場合、許可は抹消される。・年間伐採割当、伐採許可取得、売買契約書、政府への各種税金等の支払義務を果たすこと
・インフラ開発地での伐採許可期間が終了後、直ちに窯を閉じること
・保全林、保護林、生産林地域での窯の使用は認めない1家族につき一基の窯 許認可 ・農林局へ打診、承諾を得た後、商工局で企業登録、農林局からFS承認取得、天然自然環境局から環境に関する承認取得、最後に公共事業局から窯製造(設置)許可を取得する必要がある(合意第29条)。 ・県の農林局へ許可申請
・窯管理委員会を設置
合意で規定する各種許可の取得は不要 4. 炭焼き事業に対する禁止事項(合意第54条)
同合意の違反者に対して、警告や指導、罰金が科せられますが、具体的な内容は規定されていません。炭焼き事業者に対する禁止事項は、以下の通りです。
(1)許可なく炭焼き窯場を設置したり、拡張したり、移動したりすること
(2)保全林、保護林、生産林又は制限区域内に炭焼き窯を設置すること
(3)許可されていない事業を行うこと
(4)違法な材料、機械及び労働力を輸入すること
(5)許可なく危険な物質を輸入又は使用すること
(6)ラオス政府当局による検査により、機械等の使用停止表示を取り付けるために使用されているチェー
ンや針金等を破壊するなどして、当局の命令に背く行為
(7)農林局から許可を得ずに、事業を譲渡、売却、貸与、事業主等を変更すること
(8)書類の偽造、嘘の報告などラオス政府当局に協力しないこと
(9)規定に則った方法で廃棄物を処理しないこ〈注記〉
以上
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(ご参考)
本ニュースレター(2024年11月11日号)
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〇第46回 【マレーシア】「2024年マレーシア個人情報保護法の改正案」
〇第47回 【ラオス】「ラオス低所得者に対する生活手当支給について」
〇第48回 【ラオス】「国内運転免許証について」
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