2024.11.07
- その他のアジア【ラオス】弁護士法人One Asia/第47回「ラオス低所得者に対する生活手当支給について」
- 【ラオス】弁護士法人One Asia/第47回「ラオス低所得者に対する生活手当支給について」
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◇ラオス
1. 背景
2023年10月1日より最低賃金が130万キープから160万キープへ引き上げられました(詳細はニューズレターをご覧ください)。しかしながら、物価の上昇が続いており、ラオス政府は、2024年8月の政府定例会議で「低所得者に対する生活手当の支給」が決議されました。今回、労働社会福祉省及び国家労働組合委員長(以下、政府)は、2024年9月27日付でその実施に関する告知(以下、告知)を発行しました。その内容について解説いたします。
2. 告知の内容
(1)製造業、サービス業等の雇用者(以下、雇用者)の義務
技術がなく、過去に職業訓練や教育を受けたことがない自身の職場の労働者に対して一人につき月90万キープ(約40ドル)の生活手当を支給し、生活手当と賃金又は給料を合算して一人につき月250万キープ(約115ドル)を下さらないようにすること。
(2)生活手当の支給対象者
生活手当は、賃金・基本給が1か月250万キープ未満のすべての労働者が対象となります。
詳細は以下のとおりです。
一般企業(法人)、一般企業以外の事業所(フリーランスを含む)、家族経営の事業体で契約等に基づいて働く、1か月の賃金・基本給が250万キープ未満(超過勤務手当、福利厚生費、その他手当を含まない)の労働者を支給の対象とすること
3. 告知の実施
雇用者は、賃金・基本給が月250万キープ未満の上記2で規定する労働者の給与の額を早急に見直し、2024年10月1日から、告知の内容を厳格に実施することを義務付けられています。
なお、告知には、「最低賃金を引き上げる」という文言はなく、最低賃金は160万キープを維持するものと思われます。この点について、労働社会福祉省労働管理局に確認したところ、今回の告知の意図は、低所得者に対して「生活手当」を支給することを雇用者に新たに義務付けることにあり、最低賃金の引き上げは意図していないとのことです。また、数年以内に労働法の改正が予定されており、草案には「生活手当」に関する規定を盛り込むことが見込まれるとのことです。以上---------------------------------◆ One Asia Lawyers ◆---------------------------------「One Asia Lawyers Groupは、アジア全域に展開する日本のクライアントにシームレスで包括的なリーガルアドバイスを提供するために設立された、独立した法律事務所のネットワークです。One Asia Lawyers Groupは、日本・ASEAN・南アジア・オセアニア各国にメンバーファームを有し、各国の法律のスペシャリストで構成され、これら各地域に根差したプラクティカルで、シームレスなリーガルサービスを提供しております。
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(ご参考)
本ニュースレター(2024年10月11日号)
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