2024.09.09
インドネシア【インドネシア】弁護士法人One Asia/第44回「インドネシアにおける就労ビザ取得のための包括的ガイド」
- 【インドネシア】弁護士法人One Asia/第44回「インドネシアにおける就労ビザ取得のための包括的ガイド」
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◇インドネシア
1. はじめに
インドネシアで外国人が就労するための許可には、就労VISA、滞在許可、就労許可という複数の政府機関からの承認が必要であり、当該外国人の雇用の正当性を証明するため「外国人労働計画(RPTKA)」の作成等の複雑な手続きが必要となります。
この点、COVID-19のパンデミックの間、インドネシアのビザおよび入国許可に関する各規則は頻繁に改正されていましたが、パンデミック収束後の現在は、外国人のビザおよび滞在許可の発行関する法務人権大臣規則第22号の2023年22号(同規則2024年11号によって一部改正)(「MLHR22/2023」)が適用されています。
本ニュースレターはMLHR22/2023に規定されている基本的なVISAに関する規定を解説致します。
2. ビザの種類
(a) 訪問ビザ
インドネシアのビザには、一時的な訪問を前提とする訪問ビザと、インドネシア国内での就労等を前提とする一時滞在ビザに分けられます。
このうち、訪問ビザについては、ステッカーまたは電子ビザという形でして発行されます(第5A条1項)。
(b) 一時滞在ビザ
一時滞在ビザは、就労または非就労活動のために付与されるビザで、電子的に取得することができます(第33条1項)。インドネシアで就労を行う場合は当該一時滞在ビザを取得したうえで入国することが必要となります。
3. 一時滞在ビザのインデックスタイプ
インドネシアにおけるビザはそれぞれにインデックスが付与されて区別されております。このうち、就労活動に適用されるビザのインデックスが、これまでC312とされていたのが、E23 - E25に変更されています。更に、それぞれの番号の中でも、該当業務毎に細分化されています。
4. 申請手続き
外国人がインドネシアでの就労する場合には、インドネシアのスポンサーが必要となります。通常はインドネシアにおける勤務先の企業がスポンサーとなり、労働省に対するRPTKAの提出等を行います。また、本年からはMolinaと呼ばれる移民局の新システムを介してビザの申請を行う形となっています。ただし、現状はかなり運用が不透明になっていますので、随時最新の情報を確認しつつ対応を行う必要があります。
5. 滞在許可の種類
上記のビザに加え、インドネシアに滞在するためには、別途滞在許可が必要となります。訪問滞在許可、一時滞在許可、永住許可があります。ここでは主に問題となる一時滞在許可と永住許可について解説します。
(a) 一時滞在許可 / Izin Tinggal Terbatas (ITAS)
定義:一時滞在許可は、ITASと呼ばれ、外国人がインドネシアに指定された期間滞在するための許可と定義されています(1条15項)。
取得方法:前述のように、インドネシア国内での就労を行う外国人は、一時滞在ビザを取得した上で入国後、各地域の移民局において、ITASの申請を行います(106条5項)。同局で一定の審査、手続後にパスポートに移民局のスタンプが押され、ITASが発行されます。なお、以前は紙媒体で当該ITASが交付されていましたが、現在はオンライン上で、PDFの形で交付されます。
有効期限:ITASは最大10年間有効と規定されていますが、外資企業で主に利用される就労目的でのITASは180日、1年、2年間から選択する形で規定されています(105条1項)。
(b) 永住許可証 / Izin Tinggal Tetap (ITAP)
定義:永住許可はITAPと呼ばれ、特定の外国人がインドネシアに永住し、定住することを許可する滞在許可と定義されています(1条16項)。この点、いわゆる永住権に近い取り扱いがなされていますが、延長の手続が必要であったり、就労をするためには別途の許可が必要な点には注意を要します。
対象者:ITAPの対象者としては、インドネシアの企業を設立した投資家や、外資企業の代表者等が規定されています(120条)。
取得方法:原則として、既に滞在許可を有している者が申請をすること、ITAPへステータス変更がなされる形となります。
有効期間:ITAPの有効期限は5年間とされ、その後は取り消されない限り、無期限に延長可能とされています(128条1項)。
6. 結論
インドネシアで外国人が就労するための許可は就労VISA、滞在許可、就労許可という複雑な手続が必要とされています。MLHR22/2023を含め、最新の法令においては、オンラインでの手続が盛り込まれ、手続自体の簡素化が図られている一方で、インデックス番号の細分化等、外資企業にとって非常に分かりづらい形となっています。本来必要なVISA, 滞在許可、就労許可を取得していないことにより、当局から罰則等が課さられる件も確認されているところ、常に最新の法令に注意する必要があります。また、当該分野は法令だけでなく、運用も重要となるところ、不安な点があれば、現地の法律事務所等に確認をすることが推奨されます。
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(ご参考)
本ニュースレター(2024年8月20日号)
Newsletter202408IDN_JPN.pdf (oneasia.legal)
〇第41回 【シンガポール】「シンガポールにおけるFlexible Work Arrangement (FWA)の導入について(前編)」
〇第42回 【ベトナム】「ベトナム2023年電気通信法の注目すべき変更点」
〇第43回 【ミャンマー】「ミャンマーの法定最低賃金の維持および特別手当の増加」
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