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2023.01.06

中国中国【中国】陳弁護士の法律事件簿/第60回「外資企業の清算に係る税金」
【中国】陳弁護士の法律事件簿/第60回
『外資企業の清算に係る税金』

企業清算は主に企業資産と負債の処分、従業員の整理、残余資産の分配の3つを含み、いずれも税務に関係する。外資企業の清算過程では、どんな税金が課税されるのであろうか?

『分析』:

一、清算企業自身に係る税金

(1)清算所得税
現行の税収政策によると、『会社法』の規定に従い解散による清算を行うか、それとも『企業破産法』の規定に従い破産による清算を行うかを問わず、いずれも清算所得税の処理を行い、法により25%の税率で清算所得税を納付する必要がある。企業清算に係る課税所得税額の計算は、財政部と国家税務総局が共同で公布した「企業の清算業務に係る企業所得税処理の若干問題に関する通知」(財税〔2009〕60号)及び国家税務総局の「<中華人民共和国企業清算所得税申告表>の配布に関する通知」の別紙1と別紙2を参照する。

(2)増値税
清算過程において、清算企業は固定資産、在庫、不動産、無形資産などを処分するときに(これらの資産を株主に分配するみなし販売行為を含む)、法に従い増値税を納付しなければならない。

(3)土地増値税
清算企業は企業の家屋、建築物、構築物及び土地定着物を処分し、土地使用権を譲渡して取得した収入について、法に従い土地増値税を納付しなければならない。
又、清算企業が土地、家屋の権利を移転するときに、当該土地、家屋を譲り受けた組織や個人は契税(不動産取得税)の納税義務が発生する。

二、清算企業の外国側株主に係る税金

外資企業清算後に残余資産がある場合は、それを外国側株主に分配する必要がある。清算企業の外国側株主に分配する残余資産の金額は、清算企業の未分配利益の累計額及び利益剰余金における当該株主の持分割合によって計算され、当該部分は配当所得であると確認されている。

残余資産から配当所得を控除した後の金額が、株主の投資原価を上回った又は下回った場合は、その差額分を株主の投資譲渡所得又は損失と確認される。従って、外国側株主が個人であるか、又は企業であるかによって、納付すべき税金は異なる。具体的には、以下の通りである。



三、清算企業の従業員に係る税金

『労働契約法』第46条の規定によると、企業は解散による清算によって従業員との労働契約を終了する場合は、法により従業員に経済補償金を支払わなければならない。『個人所得税法改正後の優遇政策継続問題に関する通知』(財税〔2018〕164号)によると、個人が雇用企業との労働契約の解除により取得した1回限りの補償収入(雇用企業から支給された経済補償金、生活補助費及びその他の補助費を含む)が当地の前年度従業員平均給料の3倍以内の部分について、個人所得税を免除する。3倍を超えた部分については当年度総合所得に合算されず、単独で総合所得税率表を適用し、計算・納税する。


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【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。

[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

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