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2022.11.25

その他のアジア【マレーシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第85回「労働法の最新動向」
【マレーシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第85回「労働法の最新動向」
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights144号(202211月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

マレーシア: 労働法の最新動向

本レター第132号(2021年12月号)及び第141号(2022年8月号)にてご紹介したとおり、マレーシアにおいては、2022年に入って労働関連の法制が複数改正されました。2022年8月15日に発出された省令によってもいくつかの改正がなされているため、ご紹介済みのものとともに、その要点を取りまとめてご紹介いたします。これらの改正については発効日が変更された結果、いずれも2023年1月1日から効力を生じることが予定されています。

●労働法の適用範囲の拡大:Employment Act(EA)の適用範囲が拡大されました。従前は月給2,000リ ンギット(現在の為替レートで約6万1,000円)未満の労働者、肉体労働に従事する労働者又はその監督 者、並びに家事使用人及び船員等の一定の業種の労働者のみがEAの適用対象とされていたところ、2023 年1月以降は、EAは全ての労働者に適用されることとなります(ただし、月給4,000リンギット(現在の為替レートで約12万2,000円)を超える労働者との関係では、一部の規定が適用除外とされています。)
 
●産休日数の増加:本ニュースレター第132号及び第141号にてご紹介したとおり、60日から98日に増加しています。
 
●男性の育休:本ニュースレター第132号にてご紹介したとおり、男性労働者にも育休が導入されることとなりました。(a)育休の直前12か月間においてその使用者に雇用されている、(b)配偶者の出産予定日の30日前までに(又は出産後可能な限り速やかに)配偶者の妊娠について使用者に報告を行う、という条件を満たす場合には、最大で連続して7日間(本レター第132号執筆時の改正案では3日間とされていましたが、最終的に7日間となっています。)、5回の出産を上限として、男性労働者も育休を取得できることとなりました。
 
●労働時間上限:週当たりの労働時間の上限が48時間から45時間に引き下げられることになりました。
 
●フレックス労働の導入:本レター第132号にてご紹介したとおり、労働者は使用者に対し労働時間・労働日・労務提供場所について変更を申請することができ、申請があった場合には使用者は60日以内に諾否を通知しなければなりません。また、使用者が申請を拒否する場合には合理的な理由の説明が必要とされています。

●セクシュアルハラスメントについての掲示:本レター第132号でも触れていましたが、使用者は事業場においてセクシュアルハラスメントに関する認知を高めるための掲示を行わなければならないこととされました。
 
●差別への対応:本レター第132号でも触れていましたが、労働者と使用者の間で差別を理由とした紛争が生じた場合に、Director General of Labourがこれを調査し命令を発する制度が導入されました。Director Generalの命令に従わない場合には、その違反に対し50,000リンギット(現在の為替レートで約150万円)以下の罰金が科せられ、また違反が継続する場合には1日あたり1,000リンギット(現在の為替レートで約3万円)以下の罰金が科せられることとなります。
 
●強制労働への制裁:使用者が労働者を脅迫し、欺罔し又は強制して、何らかの行為、サービス若しくは労働を行わせた場合、又はそうした行為、サービス若しくは労働の場所を離れることを妨げた場合には、100,000リンギット(現在の為替レートで約300万円)以下の罰金若しくは2年以下の懲役又はこれらが併科されうることとなりました。
 
以上のとおり、2023年1月1日から効力を生じるEAの改正については、改正されるポイントが多岐にわたり、またEAの効力が及ぶ労働者も拡大することから、今一度、就業規則その他の社内ルールが改正法に沿ったものになっているかにつき確認を進めることが重要と考えられます。
 
(ご参考)
本レター第132号(2021年12月号)
https://www.mhmjapan.com/content/files/00050592/20211220-112653.pdf
本レター第141号(2022年8月号)
https://www.mhmjapan.com/content/files/00065313/20220822-102318.pdf



本レター第144号(2022年11月号)
https://www.mhmjapan.com/content/files/00065711/20221020-104028.pdf

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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