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2022.08.22

その他のアジア【フィリピン】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第82回「第12次外国投資ネガティブリストの公表」
【フィリピン】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第82回「第12次外国投資ネガティブリストの公表」
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights141号(20228月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

◇フィリピン:第12次外国投資ネガティブリストの公表
 
2022年6月27日、フィリピンのドゥテルテ大統領(同年2022年6月30日にフェルディナンド・マルコス氏が大統領に就任)が大統領令175号(Executive Order No. 175)に署名し、第12次外国投資ネガティブリスト(外資の参入が禁止又は制限されている分野を一覧化したリスト)が公表されました。外国投資ネガティブリストは、リストAとリストBに分かれており、リストAは、憲法及び特別法に基づいて外国投資が制限される分野のリスト、リストBは、安全保障、公衆衛生、中小企業の保護等を目的として外国投資が制限される分野のリストとなります。
第11次外国投資ネガティブリストからの主な変更点は以下のとおりです。
 
(1) リストAの主な変更点
 
(a)公益事業の外資規制の緩和(改正公共サービス法)
 
公益事業(Public Utilities)を営む会社に対する外資の出資は40%までに制限されていますが、改正前の公共サービス法においては、この公益事業の範囲は解釈に委ねられていました。2022年4月7日に施行された改正公共サービス法は、公益事業の定義を設けることにより、外資規制の対象となる公益事業の範囲を限定しています。第12次外国投資ネガティブリストは、この改正公共サービス法の内容を反映しています(なお、改正公共サービス法の概要については、本レター第137号(2022年4月号)をご参照ください。)。
 
(b)小売事業の外資規制の緩和(改正小売自由化法)
 
2022年1月21日に施行された改正小売自由化法においては、小売事業の外資規制が大きく緩和され、例えば、外資がフィリピンで小売事業を営む場合の最低払込資本額は、250万米ドル(現在の為替レートで約3億3,800万円)から2,500万フィリピンペソ(現在の為替レートで約6,050万円)に緩和されました。
第12次外国投資ネガティブリストにおいては、この改正小売自由化法の内容が反映されています(なお、小売自由化法の改正の概要については、本レター第134号(2022年2月号)をご参照ください。)。
 
(2) リストBの主な変更点
 
(a)国内市場向けの中小企業の外資規制の緩和(改正外国投資法)
 
2022年4月7日に施行された改正外国投資法においては、払込資本が20万米ドル(現在の為替レートで約2,700万円)未満の国内市場向けの中小企業に対する外資規制(当該企業に対する外資の出資は原則40%までとされます。)については、例外として、(i)払込資本が10万米ドル(現在の為替レートで約1,350万円)以上であり、かつ、(ii)①科学技術省(DOST)が定める先端技術に関するものであること、②Innovative Startup Actに基づいて当局が承認するスタートアップ又はスタートアップの成長を促進する機関であること、又は、③15人以上のフィリピン人を雇用し、かつ、従業員の過半数がフィリピン人であることのいずれかに該当する場合に外資規制が適用されないこととされています。第12次外国投資ネガティブリストにおいては、この改正外国投資法の内容が反映されております。
 
(b)国防省(DND)のクリアランスを要する品目の外資規制の撤廃
 
第11次外国投資ネガティブリストにおいては、戦闘用の銃、弾薬、軍用兵器等の国防省のクリアランスを要する品目の製造、修理、保管、頒布等を行う企業に対する外資の出資比率は40%以下とされていましたが、第12次外国投資ネガティブリストにおいては、この外資規制が撤廃されています。
 
外国投資ネガティブリストは、フィリピンで事業を行う外資企業にとって、最初に確認すべき重要なリストとなります。外資企業は、今般公表された第12次外国投資ネガティブリストの内容を踏まえ、フィリピンへの進出方法、出資のストラクチャー等を改めて検討することが考えられます。
 
(ご参考)
本レター第134号(2022年2月号)
https://www.mhmjapan.com/content/files/00063987/20220221-102537.pdf
本レター第137号(2022年4月号)
https://www.mhmjapan.com/content/files/00064412/20220420-125828.pdf

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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