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2026.08.26

【シンガポール】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第130回「デジタルインフラ法案の公表 ― データセンター・クラウドサービスに対する新たな規制」NEW
【シンガポール】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第130回「デジタルインフラ法案の公表 ― データセンター・クラウドサービスに対する新たな規制」
◇シンガポール

2026年7月1日、シンガポールデジタル開発情報省(Ministry of Digital Development and Information:「MDDI」)及び情報通信メディア開発庁(Infocomm Media Development Authority:「IMDA」)は、デジタルインフラ法の草案(Digital Infrastructure Bill:「本法案」)を公表しました。

シンガポールでは、2024年のCybersecurity Actの改正により、クラウドサービスやデータセンター等の基盤デジタルインフラに対するサイバーセキュリティ規制が強化されています(Asian Legal Insights 第163号(2024年5月号)参照)。また、同年に公表されたGreen Data Centre Roadmapでは、データセンターのエネルギー効率の向上等を通じて、環境に配慮した持続可能なデータセンターの開発を促進する方針が示されていました(Asian Legal Insights 第165号(2024年7月号)参照)。

本法案は、これらの取組みをさらに進め、サイバーセキュリティにとどまらず、データセンター及びクラウドコンピューティングサービス等のデジタルインフラについて安定的なサービス提供を確保するとともに、これまでロードマップ等を通じて推進されてきたデータセンターの環境持続可能性についても法的な規制の対象とするものです。本レターでは、本法案で導入が予定されている二つの新たなライセンス制度について、概要をお伝えいたします。

1. 重要基盤デジタルインフラサービスに関するライセンス

本法案では、一定の重要な基盤デジタルインフラサービス(major foundational digital infrastructure service)を提供する事業者について、IMDAからライセンス(「Major FDIライセンス」)を取得することが求められています。現時点の法案では、主に以下のサービスが対象とされています。

 重要IT負荷(Critical IT Load)が10MW以上のデータセンターにおいて、データセンター運営者と関連し
  ない第三者に提供されるデータセンター施設サービス
「シンガポールの利用者」から得た過去3年間の年間平均売上高が1億シンガポールドル(約124億5,000万
  円)以上のInfrastructure-as-a-Service(IaaS)又はPlatform-as-a-Service(PaaS)に該当するクラウド 
  コンピューティングサービス

Major FDIライセンスを取得した事業者には、物理的・サイバー上のセキュリティを確保するための措置、事業継続・災害復旧計画の策定、サイバーセキュリティに関する事故やサービス障害が発生した場合のIMDAへの報告等が求められる予定です。また、このライセンス制度は、シンガポールの利用者にサービスを提供する場合には、サービス提供者がシンガポール国外に所在していたとしても適用され得るとされています。
 
2. データセンターの環境持続可能性に関するライセンス

本法案では、上記のMajor FDIライセンスとは別に、重要IT負荷が3MW以上のデータセンターの「運営者」に対し、IMDAからデータセンターライセンスを取得することが求められます。これは、主にデータセンターの環境持続可能性を確保することを目的とするものです。

データセンターライセンスの審査に際しては、「運営者」の経験・能力に加え、データセンターのエネルギー効率及び水利用効率等が考慮されます。また、データセンターライセンスを取得した事業者には、Power Usage Effectiveness(PUE)等の施設レベルのエネルギー効率基準を遵守することが求められ、将来的にはIT機器のエネルギー効率や水利用効率についても具体的な基準が設けられる可能性があります。

なお、重要IT負荷が10MW以上で第三者にデータセンター施設サービスを提供するデータセンターについては、原則としてMajor FDIライセンス及びデータセンターライセンスの双方が必要となります。
 
3. 今後の展望

本法案に関する意見公募手続は2026年7月22日に終了しており、シンガポール政府は本法案を2026年中に国会に提出する予定とされています。本法案には、例えば、クラウドサービスの売上高基準における「シンガポールの利用者」をどのように判定するか、データセンターの所有者と実際の運営者が異なる場合に誰がライセンス義務を負う「運営者」に該当するか等、今後明確化が必要となる点も残されています。詳細な規制内容についても今後制定される規則や行動規範等に委ねられている部分があり、本法案の国会提出及び具体的な制度設計について引き続き注視する必要があります。
  
本記事掲載URL
https://www.morihamada.com/ja/insights/newsletters/144356

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ パートナー弁護士 制作

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