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2026.07.27

その他のアジア【マレーシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第129回「Competition Act 2010改正の動向」NEW
【マレーシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第129回「Competition Act 2010改正の動向」
◇マレーシア

2026年7月6日、マレーシアの下院(Dewan Rakyat)は、マレーシアにおけるいわゆる競争法であるCompetition Act 2010の改正案を可決しました。

2022年にマレーシア競争委員会(「MyCC」)が競争法改正案の意見公募を実施した際は、企業結合規制を導入することが検討されていました。今般可決された改正案では、この企業結合規制の導入は見送られています。しかしそれ以外にも多数の改正点があり、2010年の成立後最も大きな改正となることが見込まれています。主要な改正点について、以下のとおりご紹介します。

1. 反競争的合意の内容の変更

現行のCompetition Act 2010では、4条1項において、「商品及びサービスの市場において、競争を著しく妨げ、制限し、ゆがめる目的又は効果を与える水平的合意又は垂直的合意」が禁止されています。水平的合意については4条2項において、①直接的又は間接的に、購入価格若しくは販売価格又は他の取引条件を定めること、②市場又は供給者を分割すること、③生産、市場の販売経路若しくは市場へのアクセス、技術開発又は投資を制限又は支配すること、④入札談合行為を実施することを目的とする場合、「商品及びサービスの市場において、競争を著しく妨げ、制限し、ゆがめる目的又は効果を与える」とみなされるとの定めが置かれています。

これに対し、改正案においては、水平的合意と垂直的合意の区別が削除され、上記のみなし規定が垂直的合意にも及ぶ形になっています。したがって、これまでは垂直的合意とされてきた独占販売契約等も、みなし規定の対象となることから、みなし規定の定める類型に該当するおそれがないよう手当てされているかという観点から、全体的に見直しが必要になる可能性があります。

2. 適用範囲の明確化

現行法では、3条において、Competition Act 2010はany commercial activityに適用されると定められていますが、改正案では、適用範囲がany commercial and economic activityに変更されています。したがって、それ自体が営利を目的としている活動であると必ずしもいえない経済活動(業界団体の組成等)も適用対象となることが明確化されたといえます。同条において域外適用の定めがあり、国外で実施された活動でもマレーシア国内の市場での競争に影響を及ぼすかぎりCompetition Act 2010が適用されるとされていますが、こうした国外で実施された活動についても、上記の変更があてはまります。

3. 和解手続の導入

現行法では、36条で、MyCCが、調査の結果、禁止行為が行われたとする決定を行う場合、当該決定により直接影響を受ける可能性のある事業者に対し、決定案を書面で通知し、書面又は口頭での弁明の機会を付与するものとされています。改正案では、38A条が新設され、MyCCは、36条に沿って決定案を通知したのち、一定の条件を付して事業者に対し和解(settlement)の提案ができることが定められています。事業者は、禁止行為を行い責任があることを認めることを条件に、和解に応じることができます。和解に応じた事業者には、禁止行為が行われたとする決定が下されますが、この場合の制裁金は40%を上限とする減額の対象となります。

4. 上訴手続の導入

現行法では、MyCCの決定に不服のある当事者は、58条に基づき競争不服審判所(「CAT」)に不服申立てを行うことができます。同条3項により、CATの決定は最終的なものであると定められています。これに対し、改正案では同条3項が削除され、58A条が新設されて、CATの決定に不服のある当事者は高等法院(High Court)に上訴ができることが定められています。この上訴はMyCC側からも行うことができるため、事業者にとって有利な判断がされた場合でも、手続がそのまま終了しない可能性があります。

5. MyCCの情報収集権限の強化

改正案は、MyCCの情報収集権限を強化しています。例えば、現行法では11条においてMyCCが市場調査を実施できる旨定めていますが、改正案では11A条を新設し、MyCCが市場調査のために必要な情報・文書・証言提出を第三者に命じ得ることが明記されました。

また、18条において、MyCCが第三者から市場調査以外の場面で情報収集ができる場合の規定がありますが、これについても改正案では、情報収集の対象とできる第三者の範囲を拡張したり、命じることができる情報提供の範囲を拡大したりするほか、政府機関に対し情報提供を命じられる場合についても明確化されました。
 
予定されている改正は上記でご紹介していないものも含め多岐にわたります。また、例えば4条に定める反競争的合意の解釈についてはMyCCが従前ガイドラインを発行しており、こうしたガイドラインについても改正案が成立すれば改訂される見込みです。企業は改正案及びガイドラインの内容を熟知し、Competition Act 2010の遵守を確保できるよう、改めて自社のオペレーションを見直すことが求められます。

本記事掲載URL
https://www.morihamada.com/ja/insights/newsletters/142841

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【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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