2026.08.14
- 【中国】陳弁護士の法律事件簿/第102回「退職した従業員が在職中に作成したソースコードをオープンソースコミュニティにアップロードした場合、元雇用企業は如何に権利を守るべきか」

- 【中国】陳弁護士の法律事件簿/第102回
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「退職した従業員が在職中に作成したソースコードをオープンソースコミュニティにアップロードした場合、元雇用企業は如何に権利を守るべきか」
李さんは以前A社でプログラマーとして働き、あるソフトウェアの研究開発に関与したことがあり、一身上の都合で退職した。その後、A社は「李さんが研究開発に関与したソフトウェアのソースコードを個人名義でGiteeにアップロードした」ことを偶然発見した。李さんは個人名義で実施したので、締結済みの競業制限協議書(退職後一定期間内に競争相手で働いてはならず、同類の会社を自ら設立してはならない)はこれに対して拘束力を発揮できない。李さんのように在職中に作成したソフトウェアのソースコードを個人名義で公開したり、オープンソースにしたりすることに対して、雇用企業は如何に権利を守るべきか?
『分析』
一、特殊な職務著作は公開前に、著作権と営業秘密の二重保護を同時に受ける。
『著作権法』第18条の規定によると、自然人が法人または非法人組織の仕事を遂行するために作成した作品は職務著作である。当該職務著作(例えばソフトウェア)が主に法人または非法人組織の物質的・技術的条件を利用して創作され、法人または非法人組織が責任を負う場合、当該職務著作の氏名表示権は自然人が享有する。著作権の他の権利(発表権、情報ネットワーク伝播権など)は法人または非法人組織が享有する。そのため、従業員が在職中に仕事を遂行するために、雇用企業の物質的・技術的条件(例えば、雇用企業によって提供される設備、研究開発資金、ノウハウなど)を利用して開発したソフトウェア作品は(そのコアコンテンツはソースコードである)上述の特殊な職務著作に属し、当該従業員は氏名表示権しか享有しない。
関連規定によると、労働者は労働契約の履行において信義誠実の原則を遵守し、秘密保持などの付随義務を履行しなければならない。書面で秘密保持協議書を締結しているか否か、労働関係が存続しているか否かにかかわらず、労働者はその知っている、営業秘密の構成要件に合致する雇用企業の技術情報と経営情報に対して秘密保持義務を負い、期間はこれらの情報が大衆に知られる日までとする。
二、雇用企業の権利保護ルート
退職した従業員は個人名義でソースコードを公開したり、オープンソースにしたりしたため、雇用企業は競業制限違反として当該従業員に対して法的責任を直接追及することができない。但し、以下のルートにより権利を守ることが考えられる。
1、プラットフォームに苦情を申し立てる。GitHub、GiteeなどのオープンソースコミュニティにDMCA権利侵害通知を直接提出する(すなわち、GitHub、Giteeなどのプラットフォームに対し、権利侵害コンテンツを迅速に削除/ブロックするよう正式に要求する)。また、ソフトウェア著作権証書、権利侵害を示すリンクなどの証明書類を提供する。従業員にはソースコードを公開する権限がないことを明確にし、プラットフォームに直ちに処理するよう要求する。
2、民事訴訟を提起する。許可を得ずに秘密に係る著作物を発表したり、情報ネットワークを通じて大衆に伝播したりする場合、同時に著作権侵害と営業秘密侵害になる可能性がある。権利者は人民法院に権利侵害民事訴訟を提起し、権利侵害者に侵害停止、損害賠償などの民事責任を負わせることができる。
3、主管部門に苦情を申し立てる。市場監督管理部門の中で知的財産権を担当する部門に営業秘密侵害を訴えることができ、著作権局に著作権侵害を訴えることもできる。
4、刑事付帯民事訴訟を提起する。秘密保持義務に違反し、または営業秘密保持に関する権利者の要求に違反し、行為者で把握されている営業秘密を開示、使用したり、他人による利用を許諾したりする場合は、営業秘密侵害罪になる可能性がある。著作権者の許可を得ずに、そのソフトウェア著作物を複製・発行し、情報ネットワークを通じて大衆に伝播する場合は、著作権侵害罪になる可能性がある。権利者は公安機関に通報し、侵害者の刑事責任及び民事賠償責任を追及するよう求めることができる。
三、雇用企業は事前に予防措置を講じることができる。
1、入社時、労働契約において、雇用企業の営業秘密と知的財産権に係る秘密を守ることを約定する。
2、特殊な職務著作に関与した従業員と著作権の権利帰属、秘密保持事項、競業制限事項について関連協議書を締結し、「著作物の権利は雇用企業に帰属し、従業員は秘密保持義務を負う。無断公開またはオープンソースを禁止し、競合他社への入社を禁止する。さもなければ、違約による賠償責任を負わなければならない。」ことを明確にする。
3、特殊な職務著作に対して速やかに著作権登録を行い、権利帰属を明確にする。
4、秘密に係る著作物の秘密保持措置をしっかり行うとともに、従業員に対し、退職時に秘密に係るすべての資料を返却させ、かつ『退職秘密保持承諾書』に署名させ、「無断保存しない、漏洩しない、公開しない、オープンソースにしない」ことを承諾させる。
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- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





