2026.06.03
- 【日本】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/第36回/「ベトナム側での留意点」(日本から海外への輸出シリーズ⑤)

- 【日本】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/第36回/「ベトナム側での留意点」(日本から海外への輸出シリーズ⑤)
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◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。
「日本からの輸出」応用編④(対ベトナム輸出) −ベトナム側での留意点−
1.総論
日本からベトナムに輸出するに際して、日本法における外為法の規制の他に、ベトナムにおける法規制が存在します。
ベトナムは近年、ASEANきっての高成長を続ける新興市場として注目されており、日本からの輸出も増加しています。しかし、ベトナムにも様々な輸入規制が存在します。本稿では、ベトナムの輸入規制の一般論(下記2参照)、輸入通関手続きの留意点(下記3参照)、中古品の輸入(下記4参照)、個別品目ごとの留意点(下記5参照)、関税とEPAの活用(下記6参照)の概要を中心に紹介します。
2.輸入規制
ベトナムでの輸入規制の基本は、2018年5月15日付政令69/2018/ND-CP(貿易法施行政令)によって定められており、輸入禁止品目、特定事業者のみ輸入可能な品目、輸入ライセンス(Import License)が必要な品目などが規定されています。
輸入禁止品目としては、武器・爆発物・軍需品のほか、中古品としての衣服、電化製品、医療器具、自転車、自動二輪車などが含まれている点に注意が必要です(自動車については条件付きで輸入が可能です)。化学物質等については、輸入前に品目ごとの個別許可として輸入ライセンス(Import License)の取得が必要です。
また、そもそも、ベトナムに輸入を行う企業は、投資登録証明書(IRC)及び企業登録証明書(ERC)において、輸入事業を営む資格・権限としての輸入権(Import Right)を登録しておく必要があります。外資企業については、IRCにおけるプロジェクトの目的として輸入権(Import Right)を登録し、ERCの手続においても事業登録を行っておく必要があります。日本企業としては、現地輸入者が適切な権限を有しているかどうかを確認することが実務上重要です。
3.輸入通関手続きの留意点
ベトナムでの輸入通関は、インターネットを通じた電子申告が基本となっています。輸入前に通関申告に関する書類を準備し、通関申告を行う必要があります。申告結果によっては実際の書類の審査が行われる場合もあります。輸出加工企業の場合、最初の輸入を行う前に通関支局の審査を受ける必要があります。
品目によっては、輸入許可が必要なものや専門検査の対象となるものがあります。特に食品・農産品・医薬品・医療機器等については、所管省庁による専門検査が義務付けられており、通関前の確認が欠かせません。
また、ベトナムへの輸出にあたり、デリバリー条件をDDP(Delivered Duty Paid)とすることは慎重であるべきです。DDPでは売主が輸入者として扱われる可能性があり、売主側でベトナムの輸入関連登録や付加価値税(VAT)の申告・納付義務が生じるリスクがあります。
4.中古品の輸入
ベトナムでは、前述の通り、中古品の衣服・電化製品・医療器具・自転車・自動二輪車などは原則として輸入が禁止されています(中古自動車は条件付きで輸入可能です)。
首相決定18/2019/QD-TTg(その後改正)に基づき、輸入が認められる中古機械・設備は、製造から原則として10年以内のものに限られます(同決定の添付リストに掲げられた一部品目については15年以内または20年以内まで認められます)。輸入にあたっては、ベトナム科学技術省が認定した鑑定機関により、日本またはベトナムにおいて基準適合の検査を受け、基準を満たすことの証明書を取得する必要があります。
なお、中古の医療機器については商業輸入が禁止されており、病院向け機器を含む中古医療機器は原則として輸入できません。中古品をベトナムに輸出しようとする場合は、品目ごとの規制を事前に詳細に確認することが不可欠です。
5.個別の品目ごとの留意点(医薬品、医療機器、衣料品)
⑴ 医薬品・医療機器
ベトナムに医薬品を輸入・販売するには、保健省(MOH)による医薬品登録が必要です。2025年7月1日に施行された改正薬事法(法令44/2024/QH15)および政令163/2025/ND-CPにより、医薬品登録手続きが整備されています。輸入医薬品については、原則として輸入前に有効な登録番号を取得しておく必要があり、また通関時に有効期限の一定割合が残っていることが求められます。
医薬品の表示については、ベトナム語表示が義務付けられており、製造日・有効期限・ロット番号のベトナム語表示や、バーコード・QRコードの組み込みが求められています。
医療機器については、リスクに応じてクラス分類(A~D)がなされており、クラスB以上の医療機器は保健省への登録・認可が必要です。前述のとおり、中古医療機器の商業輸入は禁止されています。医薬品・医療機器の流通には、輸入ライセンス(IRC/ERC)だけでなく、別途、事業ライセンスおよび流通ライセンスが必要であり、ベトナム国内での活動のための許可を有する現地パートナーの確保が重要となります。
⑵ 食料品
① 製品登録・自己公表
ベトナムに加工食品を輸入・販売するには、食品安全法に基づき、品目に応じて製品自己公表または製品公表登録を行う必要があります。補助食品・保健用食品・医療食品等の健康食品については、製品公表登録(保健省への申請)が必要であり、審査には数ヶ月から1年以上かかる場合もあります。一般的な加工食品は製品自己公表が可能ですが、ベトナム語ラベルの貼付が義務付けられています。
また、水産物や食肉については、日本側の輸出者が製造・加工施設を事前に登録しておく必要があります。水産物(加工品含む、活水産動物除く)は最終加工施設を都道府県管轄部局で事前登録し、牛肉・豚肉については製造施設が「ベトナム向け輸出食肉取扱施設」として、食鳥肉については「対ベトナム輸出食鳥肉取扱施設」としてそれぞれ事前に認定されていなければなりません。
② 植物検疫・動物検疫
ベトナムへの果物・野菜の輸出については、病害虫リスク分析に関する検疫条件がベトナム側で規定されていないため、大多数の果物・野菜は日本から輸出できない点に留意が必要です。農産物の輸出を検討する場合は、ベトナム農業農村開発省(MARD)との間で当該品目に係る植物検疫条件の交渉・合意が必要となります。
6.関税とEPAの活用
ベトナムの輸入関税は、以下の3種類に分類されています。
①標準関税率:ベトナムに最恵国待遇を付与していない国からの輸入品に適用
②優遇関税率(MFN税率):ベトナムに最恵国待遇を付与している国(日本を含む)からの輸入品に適用
③特別優遇関税率:EPA/FTAを締結した国・地域からの輸入品に適用
輸入関税の課税基準はCIF価格(運賃・保険料込みの仕入書価格)であり、輸入時には原則として10%の
VAT(付加価値税)が別途課されます。
加えて、日本とベトナムの間では、現在、以下の4つのEPA/FTAを活用することができ、品目ごとに最も有
利な協定を選択して関税の削減・撤廃を受けることが可能です。
■日越経済連携協定(JVEPA):2009年10月発効
■日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP):2008年12月発効(ベトナムとの間でも2008年12月発効)
■環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP):ベトナムにて2019年1月発効
■地域的な包括的経済連携協定(RCEP):2022年1月発効
そして、EPAを利用して関税の減免を受けるには、特定原産地証明書(Form VJ等)の添付が必要です。
JVEPAについては、日本商工会議所が発行する第三者証明制度が採用されており、必要書類と手数料を添えて日本商工会議所に発給申請を行います。なお、同じ商品でも適用するEPAによって税率が異なる場合があるため、最も有利な協定を選択することが実務上重要です。また、EPA税率とMFN税率が逆転するケースもあるため、輸出都度に税率を確認することが求められます。
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。第6回 応用編⑤「対フィリピン輸出におけるフィリピン側での留意点」に続きます。
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第2回「日本側での留意点」(日本から海外への輸出シリーズ②)
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第4回「インドネシア側での留意点」(日本から海外への輸出シリーズ④)
- 【掲載元情報】
- 弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 制作





