2026.05.29
- 【インド】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第127回「労働法改正に関する最新情報」

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◇インド
インド政府は、多数の法令が混在していた労働関連法を、(1)賃金、(2)労働安全衛生、(3)労使関係、及び(4)社会保障の4分野に整理・統合し、4つの法令(「労働新4法令」)とする改正を進め、(1)賃金に関する2019年賃金法(Code on Wages, 2019)が2019年に、残りの3分野の法令、すなわち、(2)労働安全衛生に関する2020年労働安全・健康・労働環境法(The Occupational Health, Safety and Working Condition Code, 2020)、(3)労使関係に関する2020年労使関係法(The Industrial Relations Code, 2020)、及び(4)社会保障に関する2020年社会保障法(The Code on Social Security, 2020)が2020年に成立しましたが、その後長い期間施行がされていなかったところ、2025年11月21日、これら4法令が一斉に公布・施行されるに至りました。
もっとも、これら4法令の下位法規に位置づけられる施行規則が依然として公布されていなかったところ、2026年5月8日、賃金法施行規則(Code on Wages (Central) Rules, 2026)、労働安全・健康・労働環境法施行規則(Occupational Safety, Health and Working Conditions (Central) Rules, 2026)、労使関係法施行規則(Industrial Relations (Central) Rules, 2026)、及び社会保障法施行規則(Social Security (Central) Rules, 2026)が公布され、このうち、賃金法施行規則、労使関係法施行規則、及び社会保障法施行規則が同日に、労働安全・健康・労働環境法施行規則が、翌9日に、それぞれ施行されるに至りました。各施行規則の概要は、以下のとおりです。
(1)賃金法施行規則
賃金法施行規則は、最低賃金の算定方法(3条)、1日8時間・週48時間を上限とする通常労働時間(5条)、週休・振替休日の規定(時間外割増賃金の支払義務)(6条)、深夜勤務の取扱い(7条)、ボーナスの支払手続(21条~28条)、従業員情報や賃金・時間外手当等の情報・記録の5年間の保存義務(51条)、賃金支払時までの電子又は紙による賃金明細交付義務(52条)等、給与設計、賃金記録、賃金明細、控除といった賃金に関係する手続の運用を規定しています。
(2)労働安全・健康・労働環境法施行規則
労働安全・健康・労働環境法施行規則は、事業所の電子登録に係る手続(3条)、従業員へのLetter of Appointment交付義務(6条)、従業員が500人以上就業する事業所における安全委員会の設置義務(14条)、工場・鉱山・建設現場等における安全・健康・労働環境に係る規定(22条~48条)、女性の深夜労働に係る条件(83条)、請負労働に係る規定(85条~101条)等の労働条件に関する実務的な内容を規定しています。
(3)労使関係法施行規則
労使関係法施行規則は、中央政府の指示による労働者代表と女性労働者の適切な代表を含む事業所委員会の設置義務(5条)、20人以上のワーカーが就業する事業所における苦情処理委員会の設置義務(6条)、就業規則に係る規定(10条~18条)、ストライキ・ロックアウトに係る規定(25条~26条)、解雇・事業所閉鎖に係る手続(27条~36条)等、労使間の関係性に根差した実務的な運用を規定しています。
(4)社会保障法施行規則
社会保障法施行規則は、ポータル上での労働安全・健康・労働環境法施行規則に基づく様式による事業所の登録手続(5条)、従業員のプロビデントファンドに係る規定(13条)、退職金の支払手続に係る規定(31条~34条)、妊娠・出産給付に係る手続規定(35条~40条)等、複数の社会保障手続の運用に関して規定しています。
加えて、各州においては、労働新4法令に基づく州レベルでの法令の準備が進められています。
直近の動きとしては、ウッタル・プラデシュ州が、2026年3月10日に州レベルでの賃金法施行規則と社会保障法施行規則の案文を公表し、同月23日に労働安全・健康・労働環境法施行規則の案文を公表しました。カルナタカ州は、同年1月23日に州レベルでの労使関係法施行規則を公布しています。ハリヤナ州は、同年5月4日に州レベルでの賃金法施行規則案を、同月7日に社会保障法施行規則案を公表しており、インド第二の都市であるムンバイを擁するマハラシュトラ州は、同年4月30日に州レベルでの労働安全・健康・労働環境法施行規則の案文を公表しています。
このように、各州において、労働新4法令を踏まえた法令の整備が進んでいます。もっとも、州レベルの法令整備の完了に関する全国的な期限は公表されていません。引き続き州レベルの法令整備について状況を注視していく必要があります。
本記事記載URL
https://www.morihamada.com/ja/insights/newsletters/139321
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- 【掲載元情報】
- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 制作





