2026.04.30
- 【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第126回「ノミニースキーム規制の厳格化―変更登記申請時の投資確認書の提出義務の導入」

- 【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第126回「ノミニースキーム規制の厳格化―変更登記申請時の投資確認書の提出義務の導入」
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◇タイ
ノミニースキーム(名義貸し)の防止を主たる目的として、タイ商務省事業開発局(Department of the Business Development, Ministry of Commerce:「DBD」)から2026年3月16日付で、新たな命令(Order of the Office of the Central Company and Partnership Registration No. 1/2026 Re: Criteria and Procedures for Registration in Cases of Amendment to Allow Foreigners to Become Partners in Partnerships or Amendment to Allow Foreigners to Become Authorized Directors in Limited Companies:「本規則」)が公布され、2026年4月1日付で施行されました。以下では本規則の内容を概説します。
1. 本規則の概要
(1)投資確認書の提出が求められる場合
(a)非公開会社の場合
署名権限をもつ取締役が全員タイ人である会社が、取締役又は署名権限の定めの変更により、外国人取締役に署名権限を与える場合、当該変更のための登記を行う際、登記申請書に署名する取締役はLetter of Investment Confirmation(「投資確認書」)を提出する必要があります。
(b)パートナーシップの場合
全パートナーがタイ人であるパートナーシップ(すなわち、外国人パートナーの出資比率が0%であるパートナーシップ)又は外国人パートナーの出資比率が50%以上であるパートナーシップが、外国人パートナーの出資比率が50%未満のパートナーシップとなり、かつ、外国人のマネージングパートナーがいない場合、当該変更のための登記を行う際、登記申請書に署名するマネージングパートナーは投資確認書の提出が必要になります。
(2)投資確認書の内容
本規則には投資確認書の書式が添付されており、当該投資確認書に署名することにより、会社又はパートナーシップは以下の内容を確認・同意したことになります。
・全ての株主又はパートナーが実際に出資分を拠出して払込済みであること
・タイ人がノミニーとして外国人による事業運営に関与していないこと
・タイ人がノミニーとして外国人による事業運営に関与した場合には刑事責任が科され得ることを認識していること
・投資確認書において虚偽の申告をした場合には刑事責任が科され得ることを認識していること
・登記官や担当官から上記の措置を講じるために関連当局に情報提供がなされること
2. 実務への影響
DBDはノミニースキームの抑止に継続的に取り組んでおり、2026年1月1日付で施行された各規則は、外国人株主が49%等の典型的な外資マイノリティの会社の設立登記申請の場面での規制を定めたものですが、設立後に株主の変更があった場合が抜け穴になるとの指摘もありました。タイ人の株主のみによって設立された会社に、新たに外国人が株主として参入して一定程度会社をコントロールしようとする場合、一般的には外国人取締役に署名権限が付与されると考えられるところ、本規則の会社に関する定めについては、そのような形で株主に変更があった場合を規制する位置付けにあるものと考えられます。他方、外資マジョリティの会社として設立を行い、後からタイ人株主が参入することでタイ内資ステータスを得ようとする場合は依然として規制の適用外と整理されますので、そのような抜け穴を防ぐための規則が今後も制定される可能性が考えられます。そのため、ノミニー規制に関するDBDの動向には引き続き注視が必要です。
(ご参考)
Asian Legal Insights 第185号(2026年2月号)
https://www.morihamada.com/ja/insights/newsletters/133416
本記事掲載URL
https://www.morihamada.com/ja/insights/newsletters/137886
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- 【掲載元情報】
- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 制作





