2025.09.02
- 【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第118回「労働者保護法改正案-出産休暇の拡充及び配偶者育児休暇等の導入」
- 【タイ】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第118回「労働者保護法改正案-出産休暇の拡充及び配偶者育児休暇等の導入」
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◇タイ
2025年7月16日、労働者保護法に関する改正草案(「本改正草案」)が、タイ議会下院で承認されました。本改正草案は、従業員の休暇制度として育児休暇を導入するとともに、従来の出産休暇の拡充を図るものです。本改正草案は、現在、上院で審議されており、早ければ今年中に法律として制定される見込みです。以下本改正草案の内容について、概説いたします。
(1)出産休暇の拡充
現行の労働者保護法では、女性従業員は、1回の妊娠につき、98日まで出産休暇を取得でき、このうち45日までは有給としなければならないものとされています。本改正草案は、出産休暇の取得は120日まで、このうちの有給日数を60日までと変更する内容となっており、現行法上認められている出産休暇を拡充する内容となっています。
(2)新生児看護休暇(Post-Partum Childcare Leave)の導入
本改正草案により、新生児の健康状態に応じた新生児看護休暇が新たに導入されることが予定されています。具体的には、新生児が、合併症のリスクがあると診断されたり、異常な状態にあったり、障がいがあるような場合には、医師の診断書を提出することを条件として、当該新生児の母親である女性従業員は、出産休暇に追加で15日まで休暇を取得することができるものとされています。この休暇中、使用者は、当該従業員の通常の賃金の50%以上の賃金を支払う義務があります。
(3)配偶者育児休暇(Spousal Leave)の導入
現行の労働者保護法上は、女性従業員のための出産休暇以外に出産に関連した休暇は定められておらず、出産した女性の配偶者が取得できる休暇制度は法定されていないところ、本改正草案により、配偶者育児休暇が導入されることが予定されています。具体的には、従業員は性別に関わらず、配偶者の産後90日までの間に、15日以下の育児休暇が取得できるものとされています。この配偶者育児休暇は全て有給休暇とされており、使用者は、従業員の通常の賃金の全額を支払う義務があります。
本記事掲載URL
https://www.morihamada.com/ja/insights/newsletters/122836
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- 【掲載元情報】
- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 制作