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2025.07.30

【ラオス】弁護士法人One Asia/第62回「ラオスにおける会計・監査法人の事業許可について」
【ラオス】弁護士法人One Asia/第62回「ラオスにおける会計・監査法人の事業許可について」
◇ラオス

1. 背景
 
会計・監査業務は、2019年にラオス政府が定めた「14分野11業種のネガティブ事業リスト」に含まれています。ただし、ネガティブ事業とは「外国からの投資が禁止されている」ことを意味するのではなく、外国籍が事業を行う場合、資本金の額や会社の形態などについて、一定の条件や制限があります。
 
今回、ラオス政府は2024年12月11日付で「独立監査法(Law on Independent Audit)」を改正し(以下、「改正監査法」)、2025年6月20日に官報で公表され、2025年3月31日付からバックデートして施行されました。

改正前は、登録資本金の額は明示されていませんでしたが、改正後は、会計及び監査事業ともに最低登録資本金の額が設定されています。ここでは、主に会社設立や業務内容に関する規定についてご説明いたします。


2. 会計及び監査事業の事業許可証について
 
会計・監査会社を設立するには、まず商工業省(局)で会社法に基づき会社を設立し、「企業登録書(Enterprise Registration Certificate)」を取得する必要があります。その上で、財務省から会計・監査業務を行うための「事業許可証(Business Operation License)」を取得することが求められます(改正監査法第43条)。

(1)会計業務の事業許可書を取得するための要件(改正監査法第44条)
会計業務の許可証を取得しようとする個人または法人は、以下のすべての条件を満たす必要があります。

①企業登録書を保有していること
②ラオス財務省が発行する「会計士資格証明書」を持つ会計士(以下「公認会計士」)が、会社の株式の51%以上を保有していること
③Lao Chamber of Professional Accountants and Auditors(ラオス会計監査士協会)の会員であること
④ 他の会社の経営者、株主、または社員となっていないこと
⑤会計・財務の専門スタッフが3人以上いること
⑥登録資本金が30億キープ(約2,000万円)以上であること(今回の改正点)
 
なお、法律上は外国資本に対する直接的な規制はありませんが、ラオスの公認会計士資格を保有する者が、会社の株式の51%以上を保有していることが求められます。

外国人であっても、ラオスの公認会計士資格を取得することは制度上可能とされていますが、高いレベルのラオス語能力が求められるため、外国人が資格を取得するのは現実的には困難と考えられています。そのため、実務上は、外国人が保有できる株式の割合は49%までと解釈されています。
 
(2)監査業務の事業許可書を取得するための要件(改正監査法第44条)
監査業務の許可証を取得するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
 
①企業登録書を保有していること
②公認会計士または外国の監査法人であること
③Lao Chamber of Professional Accountants and Auditorsの会員であること
④他の会計・監査会社の経営者、株主、または社員でないこと
⑤株主のうち、少なくとも5分の3が公認会計士かつ業務執行役員であること。外国の監査法 人の場合、監査業務を行う執行役員にラオス人が少なくとも1人含まれていること
⑥登録資本金が100億キープ(約7,000万円)以上あること(今回の改正点)
⑦公認会計士が少なくとも2人以上、会計・財務の専門スタッフが3人以上いること
 
なお、改正法施行前から営業している会社については、施行日から3年以内に上記資本金の基準を満たすよう増資する必要があります。
また、外国の監査法人の場合は、施行日から4年以内に、ラオス人の監査業務執行役員を1人以上任命しなければなりません。
 
(3)事業許可証の取得手続きについて(改正監査法第45条)
申請に必要な書類は以下のとおりです。

①財務省が定める申請書
②企業登録書のコピー
③公認会計士資格のコピー
④Lao Chamber of Professional Accountants and Auditorsの会員証明書のコピー
⑤事務所の住所を示す証明書
⑥就業規則
⑦その他、財務省が必要と判断する書類
 
これらの書類をすべて揃えて財務省に提出すると、原則として10営業日以内に事業許可証が発行されます。この許可証には有効期限がなく、1度取得すれば、その後も継続して使用することができます(改正監査法第46条)。
以上
〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。
 
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(ご参考)
本ニュースレター(2025年7月16日号)
4405b45e53f6c9a98cd44d89db3d333e.pdf

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【掲載元情報】
弁護士法人One Asia|One Asia法律事務所  制作

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