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2020.03.02

中国中国【中国】「変化を遂げる中国越境EC市場への参入について~新制度施行により拡大する日本企業のビジネスチャンス~」第2回/全3回
【中国】「変化を遂げる中国越境EC市場への参入について~新制度施行により拡大する日本企業のビジネスチャンス~」第2回/全3回
第1回は、中国越境ECの概要について解説致しました。第2回は、日本企業による中国越境ECへの参入について解説致します。
 
■日本企業による中国越境ECへの参入

 本章では、日本企業が中国国内の越境EC専門モール(図表3①)を活用して商品販売する際の実務面について解説します。





1.輸出不可能な商品について
 先ず、中国越境ECで輸出可能な商品は、個人使用目的の物品ということが前提となります。ただし、中国関連当局(商務部や税関総署、食品薬品監督管理総局〔以下、CFDA〕等)が公布する法令法規により輸入禁止品目に指定、もしくは輸入制限が掛けられている品目については、中国へ輸出することはできません。
 事例を挙げると、輸入禁止品目については、生の果物、動物、中国の政治・文化等に悪影響を与える印刷物やデータ、武器や劇薬等が該当します。輸入制限品目については、乳製品や日本10都県(東京、福島、長野等)を原産地とする食品類(注7)等が該当します。
 なお、中国サイドで輸入許可が下りていない海外製の医薬品(注8)については、当然中国での販売は禁止されているのですが、実際は越境ECを通じネット上で販売されていることも目にすることがあります。しかし、CFDAによる販売停止の措置や新制度に関わる規制強化策等により、このような非合法的な商品販売に対する取締りは更に強化されていくことが予想されます。

2.商品輸出に関わる税金について
 中国越境ECでの商品の輸出に関する税金としては、以下の4種類があります。
①「関税」:中国に輸出した段階で商品に対し課せられる税金(中国税関総署のHP上で検索が可能 http://www.customs.gov.cn/ 英中2カ国語)
②「増値税」:流通段階で商品に対し課せられる税金。日本の消費税にあたる(物品の基本税率は16%、2019年4月1日より一部の物品について13%へ減税)
③「消費税」:特定の嗜好品・贅沢品に対し課せられる税金(品目により3%~56%に分類)
④「行郵税」:1000元以下の郵便物に対し課せられる税金(品目により13%、20%、50%の3種類に分類)
 なお、日本企業が越境ECで日本から商品を輸出した場合、日本の税務署に必要書類を提出することにより、日本で納付した消費税の還付を受けることが可能となります。

3.代金決済及び納税について
 消費者と販売企業間の代金決済及び各種税金の納付については、越境EC専門モールが仲介することが一般的です。越境EC専門モールは、中国の消費者から商品代金と税金を電子マネーやクレジットカードにて事前決済し、商品が消費者に届いた時点で、商品代金については日本企業(注9)へ、税金については中国当局へ代行納付(注10)することになります。

4.その他留意点について
 越境EC専用モールを活用する場合、モールによってランニングコストや集客プロモーション手法が変わってきます。また、「保税区モデル」か「直送モデル」どちらのビジネスモデルを選択するかによって、適合する物流業者も変わってくるでしょう。自社の販売戦略や取扱商品を十分考慮した上での連携企業の選択が必要となります。
 また、知的財産権の保護対策も留意すべき事項となります。日本で使用している商品名やロゴマーク等の商標が中国では中国企業により既に取得されていたということはよくある話です。中国越境ECへの参入準備の一つとして、中国国内における商標権の使用可否のチェックは必須事項となるでしょう。
 
(注7)東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を危惧して講じられた特別輸入制限措置。
(注8)一般用医薬品のうち、目薬や整腸薬、ビタミン剤等の一部商品のみ越境ECでの輸出が認められている。
(注9)越境EC専用モールの大手「天猫国際」や「京東全球」は、商品代金を香港経由で日本国内企業の円口座へ入金するシステムを採用している。
(注10)越境EC専用モールは基本的に中国税関に対し、取扱う商品や消費者の中華人民共和国居民身分証を含む輸入通関に必要な情報を事前に提出している。更に税金に関しては、中国税関との間で決済システムが連動しているため、徴収した代金を代行納税できるようになっている。







(第2回へ続きます)

3回は、中国越境ECに関連する制度変遷、新制度等について解説致します。

(関連記事)
「変化を遂げる中国越境EC市場への参入について~新制度施行により拡大する日本企業のビジネスチャンス」第1回/全3回
「変化を遂げる中国越境EC市場への参入について~新制度施行により拡大する日本企業のビジネスチャンス」第3回/全3回
【掲載元情報】
西日本シティ銀行 上海駐在員事務所  作成

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