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2024.07.01

その他のアジア【ラオス】弁護士法人One Asia/第40回「ラオスにおけるドライポートについて」
【ラオス】弁護士法人One Asia/第40回「ラオスにおけるドライポートについて」
◇ラオス

1.背景

内陸国のラオスにおいては、タイやベトナム等のトラックやトレーラー、中国やタイの鉄道コンテナ貨物が国境を越えてラオス国内に入ったあと、複合一貫輸送のための載せ替えターミナルである、ドライポート(DP)で貨物を積み替える必要があります。
ラオス初のDPは、2016年にサワン・セノ経済特区の中にSavan Logisticsにより創設され、運営が始まりました。首都ヴィエンチャンにおいては、2021年12月にラオスとタイの友好橋の近くにあるタイ・ラオス間の鉄道駅にターナレーン・ドライポート(TDP)が開業しています。ラオスは、Land Locked からLand Linked Countryを目指しており、内陸サプライチェーンの重要な輸送コンポーネントであるDPの機能が重要となっています。
 
今回ラオス政府は、DPの質やサービスを見直すため、2021年に発行された「ドライポートに関する首相令(No513)」を改正し、2024年6月5日付でそれに代わるNo298を発行(以下、首相令)、2024年7月11日から施行されます。

ニューズレターでは、DP開発業者とDPエリアへの投資者に関する規定を解説いたします。




2.ラオス国内のドライポート

UNESCAP (国連アジア太平洋経済社会委員会)のDPに関する政府間協定で承認された「国際的に重要な 9 つのドライポート」は以下の通りです[1]。なお、DP建設地は7ha以上であることが基準となっています(首相令第9条)。
 
[1]ラオス 公共事業運輸省(Ministry of Public works and Transport)資料参照(chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.unescap.org/sites/default/files/1.10_Country%20presentation_Lao%20PDR_Xaysomnuk.pdf)
 
No 場所 稼働状況
首都ヴィエンチャン・ターナレーンDP 2022年
ルアンナムター・ナトゥイDP 検討中
サワンナケート・サワン・セノDP 2016年
チャムパサック・ワンタオDP 2022年
カムムアン(ターケーク) 建設中
ボーケオ(フアイサーイ) 検討中
ボーリカムサイ(ラックサーオ) 検討中
ルアンパバーン 検討中
ウドムサイ 検討中
 
3.ドライポート開発事業について

DPを開発する事業者(以下、DP開発事業者)は、ラオス政府100%投資、ラオス政府と国内外の民間企業の合弁投資、民間企業100%の投資のいずれかの形態となります(首相令第15条)。但し、民間企業100%投資の場合、外国企業の場合はラオス企業との合弁である必要があり、外資の株式保有率は49%までとなっており、外資は規制されています(首相令第18条)。

DP開発事業者は、首相令第21条で規定する必要書類を揃えて、計画投資省のワンストップサービスからDP開発許可を得る必要があります。必要書類には、当局所定のDP開発許可申請書、企業登録書、定款、FS(フィージビリティスタディ)申請書、公共事業運輸省により認定されたFS実施コンサルタント会社の証明書や合弁会社の場合は、合弁契約書の提出が求められます(首相令第21条)。
なお、DP開発事業者が2者以上必要な場合は、入札を通して、DP開発事業者が選定されます(首相令第19条)。

4.DP開発許可取得手続きについて

DP開発事業者が必要書類を提出したのち、以下の手順で開発許可証が発行されます。
下記手続きは、投資奨励法に基づき進められます(首相令第22条)。

①計画投資省ワンストップサービス、公共事業運輸省及び地方レベルの関係機関が書類を精査後、計画投資省へ申請
②投資計画省精査後、MOU、実施可能性調査について政府へ申請
③MOU締結後12カ月以内に、DP開発事業者はFSを実施
④DP開発事業者は、環境影響評価を行い、天然資源環境省へ提出
⑤公共事業運輸省は、計画投資省及びその他関連省庁と連携して、FSの精査及び承認
⑥計画投資省は、公共事業運輸省及び関連省庁と連携してコンセッション契約を精査(ラオス政府の株式保有も含めて)し、政府へコンセッション契約への署名を要請
⑦DP開発事業者は、プロジェクト会社を設立し、事業許可証を取得

5.DP開発事業社のサービス内容

DP開発事業者は、以下のサービスを提供することが可能です(首相令第23条)。但し、⑤から⑧のサービスを提供する場合は、関連省庁から事業許可証を別途取得する必要があります。
 
①貨物の積載、混載
②貨物の集配
③貨物の積み替え
④貯蔵施設及びコンテナサービス
⑤倉庫業
⑥通関サービス
⑦植物・動物検疫サービス
⑧銀行及び保険業
⑨その他、政府から許可された事業

6.DPへの投資事業について

(1)投資事業分野
DPエリア内への投資事業には、以下のとおり、8分野に大別されています(首相令第27条)。下記の事業へ投資する事業者(以下、DP投資事業者)は、DP管理委員会へ事業許可申請を行います。なお、DP開発事業者の中で上記5に記載の首相令第23条に定める事業以外を行う場合は、DP開発事業を行う会社とは別の会社を登記して投資事業を行う必要があります(首相令第28条)。
 
①倉庫業
②積み替えターミナル
③運送
④コンテナヤード
⑤コンテナ修理
⑥梱包
⑦殺菌設備
⑧その他の活動
 
(2)DP投資事業者の主な条件
DP投資事業者の条件は以下の通りです(首相令第29条)。
①法人であること
②開発事業者との事業契約を締結していること
③関連省庁から事業許可証を取得していること
④投資分野に関する知識及び経験があること
⑤投資分野及び投資規模に見合った資金が十分にあること
⑥投資分野に適した、基準を満たした、最新の機械、機器、車両を備えていること
⑦裁判所から会社の解散を命じられたことがないこと
 
                                          以 上
〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。

・今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
・本資料の使用によって生じたいかなる損害についても当社は責任を負いません。
 
本記事は、One Asia Lawyers Singaporeのシンガポール事務所:Focus Law Asia LLCが作成したものであり、法的アドバイスを提供するものではありません。一般的な情報を提供することのみを目的としています。具体的なお問い合わせは、当事務所の弁護士までご連絡ください。
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なお、本ニュースレターは、一般的な情報を提供することを目的としたものであり、当グループ・メンバーファームの法的アドバイスを構成するものではなく、また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当グループ・メンバーファームの見解ではございません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず各メンバーファーム・弁護士にご相談ください
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(ご参考)
本ニュースレター(2024年6月24日号)
4e1eb9ffa34782dbedc0888bee28ce18.pdf (oneasia.legal)

〇第37回 【フィリピン】「フィリピン国外でのフィリピン人の解雇について」
第38回 【オーストラリア】「ハラスメント関連法の留意点と対策」
〇第39回 【シンガポール】「Flexible Work Arrangementsの導入と企業の対応について

弁護士法人One Asia|One Asia法律事務所 ウェブサイト 福岡オフィス 
【掲載元情報】
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