2024.05.02
- その他のアジア【ラオス】弁護士法人One Asia/第36回「付加価値税率の変更について」
- 【ラオス】弁護士法人One Asia/第36回「付加価値税率の変更について」
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◇ラオス
1.背景
2024年3月19日付で「付加価値税率の変更に関する国家主席令(No003)
(以下、国家主席令)」が発行され、付加価値税率(以下、VAT)を7%から10%へ引き上げることが決定されました。しかしながら、3月19日に国家主席令は施行されたにも関わらず、具体的にいつからVAT10%が適用されるのか、財務省からの通知が待たれる状態が続いていました。そして、ようやく、2024年4月23日付で財務省より国家主席令の施行に関する通知(以下、通知)が発行され、2024年5月1日からVAT10%が適用されることが、通知されました。通知の内容について簡単に解説いたします(但し、政府予算に関係するプロジェクト費に関しては除きます)。なお、2022年1月1日にVATは、10%から7%へ引き下げられており、今回の引き上げは、元の税率に戻ったかたちとなっています。
2.VAT10%の適用開始について
原則、2024年5月1日以降、ラオス国内において、以下で規定する商品及びサービスの提供者は、VAT10%を徴収する必要があります。
(1)海外及び(ラオス国内の)経済特区内から(ラオス国内/経済特区外へ)輸入される商品
(2)VATシステムに登録している個人、法人、団体からラオス国内で提供される商品又はサービス
(3)ラオスで会社を登記していない法人から提供される商品又はサービス
(4)ただし、5月の初頭に発行される4月に利用した電気代、水道代、電話代の請求については、利用し
た月のVATが適用されるため、VAT7%が適用されます。
(5)例えば、建設、保険など2024年4月以前から契約を結んでいる商品やサービスにおいて、VAT7%の
期間に提供した商品やサービス対して、5月以降に請求書を発行する場合は、VAT10%を徴収しま
す。なお、サービスが完了していなくても、もしくは、前金を受け取っていても10%が適用されま
す。(商品とは国内で生産された製品や外国から輸入された商品を意味します)
3.VAT申告について
(1)アウトプットVATについて
2024年5月1日以前から、すでにVAT10%徴収していた場合、VAT申告書における21番の欄(VAT納税者が政府へ追加納税するVATの額(控除された額、法律が規定する税率を超えて徴収した額、その他)を計上する欄)へ過剰徴収した3%分を計上する必要があります。
(2)インプットVATについて
2024年3月及び/又は4月にVAT10%を徴収されていた場合、VAT申告書における20番の枠(納税者に返還される額を計上する欄)へ払いすぎた3%分のVATを計上し、相殺又はVATの還付を受けることができます。
(3)2024年4月時点で相殺しきれていない、VAT7%期間中のインプットVATは、法律に基づき、相殺、還付請求することが可能です。
4.VAT10%の実施について
VAT10%への切り替えについて、実際に問題や困難が生じている場合、通知の内容が不明瞭な場合などは、財務省税務局VAT管理課(021-243416)へ問い合わせることが可能です。以 上
〈注記〉
本資料に関し、以下の点ご了解ください。
・今後の政府発表や解釈の明確化にともない、本資料は変更となる可能性がございます。
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(ご参考)
本ニュースレター(2024年4月25日号)
51d852b6bb5df94a4149c3b11c17b399.pdf (oneasia.legal)
〇第33回 【ベトナム】「ベトナムの個人データ保護政令に関する最新情報」
〇第34回 【ラオス】「輸出による外貨収入に関する合意について」
〇第35回 【ミャンマー】「ミャンマーにおける私立教育法施行の現状」
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