2024.04.01
- その他のアジア【ラオス】弁護士法人One Asia/第34回「輸出による外貨収入に関する合意について」
- 【ラオス】弁護士法人One Asia/第34回「輸出による外貨収入に関する合意について」
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◇ラオス
1.背景
2022年10月1日より「改正外国為替管理法(以下、「外為法」)」が施行され(詳細は2022年12月16日付のニュースレターをご参照ください)、その後、2023年7月14日に「外貨管理の実施に関する首相命令(No10)(以下、「首相命令」)」が発行され(詳細は2023年7月20日付のニュースレターをご参照ください)、ラオス政府は、特に外貨準備高が不足している状態を改善するために多くの対策に乗り出しています。今回ラオス中央銀行は、外為法及び首相命令に基づき、輸出によって得られた外貨収入がラオス国内の輸出入用銀行口座に送金され、預金された外貨が期限内にラオス国内商業銀行において両替される仕組みの強化を図ることで、外貨準備高を増やすために、2024年3月7日付で「商品及びサービスの輸出による外貨収入の管理に関する合意(No333)(以下、「合意」)」を発行し、3月29日より施行される予定です。
2.ラオス国内への外貨の送金率及び期限について(合意第5条)
輸出業者は、原則、売買契約書内で規定する支払日までに、受領した外貨をラオス国内の輸出入用口座へ送金する必要があります。但し、送金期限は、輸出日から数えて180日を超えることはできません。また、分野ごとに、別途、外貨収入の最低送金比率と期間が以下のとおり、定められています。
分野 最低比率 期限 鉱山 収入の85% 輸出日から数えて90日以内 サービス 収入の80% 輸出日から数えて60日以内 農業 収入の75% 輸出日から数えて60日以内 その他 収入の70% 輸出日から数えて90日以内 電力 収入の20% 輸出日から数えて180日以内
上記定められた比率と期限内に、外貨をラオス国内の口座に送金することが難しい場合、ラオス中央銀行外国為替管理局と交渉することで、条件が緩和されることもあります。
輸出業者は、ラオス国内の預金口座へ外貨収入を送金した後、外為法第12条に基づき、外貨を預金口座のある商業銀行にて両替する必要があります。
3.外貨両替比率について
輸出業者は、輸出からの外貨収入がラオス国内の銀行口座に着金してから3日営業日以内に、少なくとも以下の比率で外貨を商業銀行で両替することが義務づけられています(合意第7条)。分野 最低比率 鉱山 ラオス国内の口座に送金された最低比率の35% 農業 ラオス国内の口座に送金された最低比率の30% 電力 ラオス国内の口座に送金された最低比率の20% サービス ラオス国内の口座に送金された最低比率の20% その他 ラオス国内の口座に送金された最低比率の20%
海外から輸入した商品をラオス国内で加工や組み立てを経ずに、そのままの形で輸出する場合、得た外貨収入をラオス国内の銀行口座に送金後、一部を両替又はラオス国内でキープを使用する必要があるときに、両替することが可能となっています。
4.罰則規定
合意は、輸出業者、商業銀行及びラオス中央銀行の各部門が適用の範囲となっていますが(合意第3条)輸出業者及び商業銀行については、合意に違反した場合、その程度が軽い場合及び初回の場合の罰則は、指導、警告や覚書等が科せられます(合意第21条)。
商業銀行については、初回の違反による指導に関わらず、改善が見られず、再度違反した場合は、以下の通り罰金が科せられます(合意第22条)。
(1)違反額が10,000,000キープ(約500USD)未満の場合及び価格がつけられない禁止事項に違反した場合:10,000,000キープから20,000,000キープの罰金
(2)違反額が10,000,000キープ以上の場合:違反額の10%の罰金。但し、最低罰金額は20,000,000キープを下回らないこと。
なお、輸出業者については、初回の違反による指導から改善が見られず、再度違反をした場合は、外国為替管理局から関連する省庁へ報告したうえで、関連省庁の規定に基づき、商品及びサービスを輸出することを停止させられる場合もあります(合意第23条)。〈注記〉
以 上
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(ご参考)
本ニュースレター(2024年3月20日号)
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〇第31回 【シンガポール】「シンガポールの知的財産法の特徴」
〇第32回 【マレーシア】「マレーシアにおける“Play to Earn”モデルとNFT」
〇第33回 【ベトナム】「ベトナムの個人データ保護政令に関する最新情報」
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