2026.09.28
- 【日本】弁護士法人One Asia/第89回「特定技能に新たな3分野が追加-今から準備すべきこと-」

- 【日本】弁護士法人One Asia/第89回「特定技能に新たな3分野が追加-今から準備すべきこと-」
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◇日本
1. はじめに
人手不足への対応を目的として2019年に創設された「特定技能制度」は、創設以来、段階的に受入れ対象分野が拡大されてきました。近年では、物流業界や資源循環産業、リネンサプライ業界においても深刻な人材不足が続いており、外国人材の活用に対する期待が高まっています。
こうした状況を踏まえ、政府は新たに2027年から「物流倉庫」「資源循環」「リネンサプライ」の3分野を特定技能制度の対象として追加しました。
本ニューズレターでは、新たに追加された3分野の概要、及び受入れを検討する企業において準備しておくべき事項等を解説します。
2. 新3分野の概要
・ 新分野追加の背景
特に物流倉庫、資源循環、リネンサプライの3業界は、業務の需要が拡大している一方で、国内での人材確保が極めて難しく、慢性的な人材不足対策が急務となっていました。また、一定の技能と日本語能力を持つ人材を受け入れられる「特定技能」の在留資格を認めることで、業界全体の労働力不足の緩和につなげる狙いがあります。
・ 新3分野はいずれも特定技能1号のみ
現時点では3分野とも特定技能1号のみが対象であり、2号は未定です。① 物流倉庫分野 ② 資源循環分野 ③ リネンサプライ分野 現状 物流業界ではEC市場の拡大や2024年問題への対応などを背景に、倉庫内業務を中心とした慢性的な人材不足が続いている。 従事者の高齢化や若年層の業界離れ、リサイクル・ごみ処理需要の増加といった構造的な課題を抱えている。 訪日外国人旅行者数の増加による観光業の回復、医療・福祉現場からの需要が増加している。 対象業務 商品の入出庫、仕分け、ピッキング、梱包、在庫管理など物流倉庫における一連の業務 廃棄物処分の中間処理(「受入」、「選別」、「処分」、「搬出」等の一連の工程)
※一般廃棄物、産業廃棄物どちらも対象ホテルや病院などで使用されたリネン類の入荷、仕分け、 洗濯、乾燥、仕上げ、検品、結束、出荷などの一連の業務 受入れ見込み数(令和11年3月まで) 18,300人 4,500人 7,700人
3. 各分野の準備状況の違い
⑴ 物流倉庫分野① 物流倉庫分野 ② 資源循環分野 ③ リネンサプライ分野 技能水準 特定技能1号技能評価試験
※試験実施要領は準備中資源循環分野特定技能1号評価試験 リネンサプライ分野特定技能1号評価試験
※試験実施要領は準備中。
※本分野に関する技能実習2号を良好に修了した者は試験免除。日本語能力 日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験(JLPT)のN4等)の合格が必要 「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」又は「日本語能力試験(JLPT)」
※各試験のランク詳細は未定だが、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の水準を想定。
「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2.2相当 以上」又は「日本語能力試験(JLPT)N4以上」
協議会加入への手続き 詳細は未定 書面及び実地による確認(優良機関認証)を実施する。
※具体的な入会までの流れや、確認事項は未定厚生労働省のHP内で公開済。入会申請フォームより入会申請後、メールにて必要書類等の案内が届き、メールにて提出する。厚生労働省にて確認完了後、担当者宛にメールにて構成員資格証明書が届く。
資源循環分野、リネンサプライ分野に比べて人手不足数が約2.7~3.2倍と統計が出ており[1]、外国人材の受入れ規模が大きいことが特徴です。
⑵ 資源循環分野
中間処理業務が対象のため、収集運搬業のドライバーや、最終処分業は対象外のため注意してください。また、協議会加入に関して、加入希望の機関に対し書面だけでなく実地による確認で認証される必要があります。なお、実地による確認は外国人材受入れ前と後に定期的に実施されるため、確認による認証がなされなかった場合には、外国人材の受入要件を満たさないことになるため留意してください[2]。
⑶ リネンサプライ分野
リネンサプライ分野は既に技能実習での外国人材の受入れがあり、運用制度は他2分野に比べて先行して整いつつあります。
⑷ 日本語能力試験について
「特定技能1号」において求める日本語能力水準が「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」である分野・区分については、外国人が技能実習2号を良好に修了している場合には、原則として技能実習の職種・作業にかかわらず日本語試験が免除されます。さらに、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合は技能試験も免除されます。もっとも、「物流倉庫」、「資源循環」分野においては、現行の技能実習制度にはない分野のため、試験免除制度が適用されるか否か等、今後所管庁HPなどを随時確認することが重要です。
4. 育成就労制度との関係
今回追加された3分野については、前回のニューズレター[3]で配信した2027年開始予定の「育成就労制度」との対応関係が整理され、育成就労から特定技能への移行ルートが整備されることが予定されています。受入れを検討している企業としては、採用競争により「特定技能」としての必要な人材が確保できない可能性もありますので、「育成就労」の受入れ機関として必要な体制整備や認定の取得も検討する必要性が生じることも想定されます。
5. 受入れを検討する企業が今確認すべきこと
分野により現時点で詳細な運用が未定のものもありますが、今から取り組めることを改めて整理します。
STEP1. 自社が対象事業者・対象業務に該当するか確認
同じ業種でも対象外の可能性もあります。一部業務が対象外というケースもありますので、まずは自社が対象事業者・対象業務に該当するか確認が必要となります。
STEP2. 育成就労の受入れ機関となるための必要要件等も確認
特定技能人材は他社と競合し、必要な人材が確保できない可能性があります。育成就労であれば、応募の間口が広がる可能性もありますので、育成就労人材の受入れも視野に入れ検討しておくことも選択肢の一つです。なお、育成就労受入れ機関となるためには、育成就労計画を提出し認定を受けること、受入れ後の日本語学習支援も必要となりますので、その他必要な要件・企業体制等を事前に確認・準備をしておくことが望ましいところです。もっとも、育成就労制度では技能実習制度と異なり転籍が認められていることから、特定技能制度同様、人材流出のリスクはありますので、いずれにせよ、外国人材から選ばれる企業となるために現場での受入れ体制を見直し、マニュアル等の多言語対応、待遇面等の整備が不可欠となります。
STEP3. 支援体制の準備、分野別協議会への加入等
特定技能1号人材を受け入れる場合、受入れ企業は支援計画の策定や実施が義務付けられています。なお、過去2年以内に技能実習や、特定技能、技術・人文知識・国際業務等の就労資格のある外国人を受入れたことがなければ、登録支援機関への委託が必須となります。この場合には、事前にどの登録支援機関に依頼するかの検討が必要です。また、受入れ企業は各分野所管庁が設置している協議会への加入が義務付けられているので、所管庁HPより加入時期や手続きの流れ等随時確認することになります。その他、社会保険の適正加入や労働関連法令違反がないことなど、法的な適格性が審査されますので、受入要件を満たしているか確認する必要があります。
STEP4. 生活支援体制整備
日本での住居地の確保や生活支援も必要となります。求人開始以前、あるいは並行して生活支援体制整備も行うことも必要になります。
6. 総括
今回追加された「物流倉庫」「資源循環」「リネンサプライ」の3分野は、それぞれ制度整備の進捗や特徴が異なります。今後も制度の詳細は順次公表されるため、受入れを検討している企業は、所管庁HPなどから最新情報を確認し、協議会加入や社内体制の整備など、採用できる状態を今から整えておくイメージで準備を進めることが肝要です。
実際には採用準備よりも、社内整備といった受入れ体制を整える方に時間がかかるケースも少なくありません。採用活動終了後に、支援計画を見直す必要が生じてしまう、生活支援の準備体制が整わず受入れ直前に慌ててしまうことがないよう準備いただければと存じます。
[1] 出入国在留管理庁HP
第12回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議
配布資料 資料2(参照:2026/07/27)https://www.moj.go.jp/isa/03_00167.html[2] 「3.資源循環分野での受入れについて」(環境省HP 資源循環分野における特定技能制度及び育成就労制度 https://www.env.go.jp/recycle/waste/foreigner.html)[3] 「育成就労制度の施行に伴う外国人受入れ実務の影響と対応策」(2026/07/15発行 https://oneasia.legal/17560)---------------------------------◆ One Asia Lawyers ◆---------------------------------「One Asia Lawyers Groupは、アジア全域に展開する日本のクライアントにシームレスで包括的なリーガルアドバイスを提供するために設立された、独立した法律事務所のネットワークです。One Asia Lawyers Groupは、日本・ASEAN・南アジア・オセアニア各国にメンバーファームを有し、各国の法律のスペシャリストで構成され、これら各地域に根差したプラクティカルで、シームレスなリーガルサービスを提供しております。
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本ニュースレター(2026年8月17日号)
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〇第86回 【日本】「育成就労制度の施行に伴う外国人受入れ実務の影響と対応策」
〇第87回 【ベトナム】「ベトナム2026:改正知的財産法及び技術移転法」
〇第88回 【シンガポール】「シンガポールにおけるAIガバナンスの最新動向(前編)」
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