アジアUPDATE

HOME > アジアUPDATE

アジアUPDATE

2026.03.12

【日本】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/第35回/「インドネシア側での留意点」(日本から海外への輸出シリーズ④)NEW
【日本】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/第35回/「インドネシア側での留意点」(日本から海外への輸出シリーズ④)
◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。

「日本からの輸出」応用編④(対インドネシア輸出) −インドネシア側での留意点−

1.総論

日本からインドネシアに輸出するに際して、日本法における外為法の規制の他に、インドネシアにおける法規制が存在します。
インドネシアは輸入規制が多い上、煩雑に変更もなされるため、すべてを網羅することはできません。本稿では、インドネシアの輸入規制の一般論(下記2参照)、インドネシア国家規格への対応(下記3参照)、中古品の輸入(下記4参照)、個別品目ごとの規制(下記5参照)、関税とEPAの活用(下記6参照)の概要を中心に紹介します。

2.輸入規制

2025年6月30日付商業大臣規則2025年第16号で輸入の一般ルールが定められています。
インドネシアで事業活動のために輸入を行う業者は、①NIB(事業基本番号)、及び②API(輸入識別番号)の登録が必要になります。

①NIBは事業者の基本番号であり、税関アクセスを取得するためにNIBを登録することが必須となります。
②APIには、API-U(輸入識別番号-一般)とAPI-P(輸入識別番号-生産者)の2種類があります。前者は、自己消費ではなく転売のために輸入される場合に発行されます。後者は、転売目的ではなく、資本財、原材料、補助材料として自社で利用するため、また自社の生産プロセスをサポートするために商品を輸入する企業に発行されます。API-UとAPI-Pはいずれか一つしか登録できません。

NIBとAPIは、いずれも税関手続きを進める上で必要になる登録であり、登録がないと税関を通関できません。日本企業としては、現地輸入者がNIB及びAPIを登録済みか、及び契約内容及び輸入品目が発行されたAPIの範囲内であるかを確認することが実務上大切になります。
 
輸入が禁止される品目としては、特定の種類の砂糖やコメ、オゾン層破壊物質、古着、廃棄物、特定の医薬品・食品の原料等が具体的に挙げられています。また、輸入が許容される品目であっても、輸入品は新品であることが原則となり、中古品の輸入は特別に認められた場合以外は輸入できないので、注意が必要です。
 
多くの品目(鉄鋼、繊維、食品、自動車部品等)では、輸入通関前にインドネシア商業省から「輸入承認」(PI)を取得しておく必要があります。
 
輸入が認められる中古資本財の他、安全、衛生、環境等に影響を与える物品、基本的必需品等は、別途船積み前検査が義務付けられ、検査結果をまとめてサーベイヤーレポート(LS)を通関時に提出することになります。

​3.SMI(インドネシア国家規格)への対応

消費者保護の観点から、SNI(Standar Nasional Indonesia)という国家規格が定められています。単なる製品規格にとどまらず、サービスや(管理)システム、プロセス、人員(技能)、試験方法、デザイン等の標準化にも及ぶ包括的な規格です。原則としてSNIは任意取得の規格ですが、指定された製品については取得義務があります。取得義務のある指定製品は多岐に渡るため、輸入にあたっては、国家標準化庁(Badan Standardisasi Nasional BSN)のウェブページ(https://www.bsn.go.id/)で確認しておくことが必要です。
対象製品にSNI取得義務がある場合、試験機関での検査、適合証明書の取得、現地認証機関の利用、製品へのマーク表示等が必要となり、これらが未取得の場合、原則として通関できないことになります。

4.中古品の輸入と事前承認

インドネシアでは、原則として中古品の輸入はできませんが、2025年6月30日付商業大臣規則2025年第24号において、輸入が可能な品目、経過年数、事業者などが定められています。中古品をインドネシアに輸出しようとする場合は確認が必要です。同規則で輸入可能品目リスト(HSコード8桁)に掲載されている中古資本財は、以下のとおりです。

 自ら使用するために直接輸入できるもの
 修理会社が輸入できるもの
 再製造会社が輸入できるもの
 中古リチウム電池
 産業材料としての非B3廃棄物

輸入者は、いずれもAPI-Pとして有効な事業者番号(NIB)を保持している必要があり、輸入前にインドネシア商業省から輸入承認を取得する必要があります。また、航空機と船舶を除く中古資本財の場合、対象品がまだ使用できることやスクラップでないことを証明する船積前検査が要求されます。

5.個別の品目ごとの留意点(医薬品、医療機器等、衣料品、食料品)

⑴  医薬品・医療機器
医薬品は、「人又は動物の疾病の予防、診断、治療、緩和、治癒を目的とした物質又は製剤」と定義されます。これとは別に、麻薬、向精神薬、その他危険な添加物といった薬物(Narkotika, Psikotropika, dan Zat Aditif Berbhaya)は、「依存性、乱用、有害な可能性を持つ特定の物質群」と定義されています。医療機器は、「病気の予防・診断・治療・健康の回復・人体の一部を形成する機能回復のための、医薬品を含有しない器具、装置、機械及びインプラント」と定義されます。
いずれもインドネシアに輸入・販売するには、輸入ライセンス(API)や通関番号として有効な事業基本番号(NIB)だけでなく、別途医薬品又は医療機器取引のための事業者ライセンスと流通ライセンスが必要になり、製品の通関とは別途インドネシア国内での活動のためのライセンスを保持する現地パートナーを確保する必要があります。
 
⑵ 衣料品
インドネシアに輸入できる衣料品リストとしては、
・織物及び繊維製品 バティック及びバティックモチーフ(HSコード62類)
・完成品衣服とアクセサリー(同61類、62類、65類)
が掲載されています。輸入承認(PI)と船積み前検査によるサーベイヤーレポート(LS)を条件として輸入が認められます。

なお、輸入港が限定されている点に注意が必要です。
・織物及び繊維製品 バティック及びバティックモチーフ
海洋港:ブラワン港(北スマトラ州メダン)、タンジュンペラック港(東ジャワ州スラバヤ)、スカルノハッタ港(南スラウェシ州マッカサル)
空 港:スカルノハッタ空港(ジャカルタ)

・完成品衣服とアクセサリー
海洋港:ブラワン港(北スマトラ州メダン)、タンジュンプリオク港(ジャカルタ)、 ニュー・プリオク港(ジャカルタ)、タンジュンウマス港(中部ジャワ州スマラン)、タンジュンペラック港(東ジャワ州スラバヤ)、スカルノハッタ港(南スラウェシ州マカッサル)、クルエンゲウク港(北アチェ州)、ビトゥン港(北スラウェシ州)、メラク・マス(バンテン州チレゴン)
陸上港:チカラン・ドライポート
空 港:クアラナム空港(北スマトラ州メダン)、スカルノハッタ空港(ジャカルタ)、アフマッドヤニ空港(中部ジャワ州スマラン)、ジュアンダ空港(東ジャワ州スラバヤ)、ハサヌディン空港(南スラウェシ州マカッサル)
 
⑶ 食料品
① BPOM(国家医薬品食品監督庁)への製品登録
インドネシアで加工食品を販売するには、事前にBPOMから「流通許可番号(ML番号)」を取得する必要があります。BPOMへの登録はインドネシア現地の輸入業者や代理店が申請を行いますが、原材料リスト、製造工程図、分析結果等の詳細な資料が求められ、審査機関も数か月から1年以上かかることもあるので十分な時間的余裕をもって進める必要があります。

BPOMには「使用禁止成分リスト」があり、日本では一般的な添加物でもインドネシアでは使えない場合もあるようです。成分表の確認をするとともに、信頼のおける現地パートナーの選定が重要になります。

② ハラル認証
2024年10月24日付政令2024年第42号にて、インドネシア国内で取引される製品はハラル認証を取得することが義務付けられるようになりました。輸入食品については、2026年10月17日に猶予期間が満了します。食料品はハラル認証が必要な製品であり、ハラル認証がない食品の流通は厳しく制限されます。

ハラル認証にあたっては、日本のハラル認証機関がインドネシアと相互承認を結んでいるか確認が必要です。相互承認のない日本のハラル認証はインドネシア国内の流通では意味を持たないため、インドネシア国内で再度認証取得が必要になります。また、豚肉由来成分やアルコールを含む製品は、パッケージに「非ハラル」表示が必要になります。

6.関税とEPAの活用

インドネシアの基本輸入関税率は、以下のとおりです。
 最必需品:0~0%
 必需品: 10~40%
 一般品: 50~70%
 贅沢品: 上限200%

品目分類は、ASEAN統一関税品目分類コードに併せて8桁とされています。関税率表は定期的に改訂されています。輸入関税は従価税が基本で、CIF価格が課税基準とされます。また、輸入時に約11%のVATが課されます。なお、インドネシアへの輸出にあたり、デリバリー条件をDDP(Deliveryed Duty Paid)とするのは慎重であるべきです。DDPでは売主が輸入者として扱われる必要があり、売主にNIBやAPIの取得が必要となったり、売主にVATが課されるリスクが生じます。

また、日本・インドネシアEPA(IJEPA)や日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)を利用することで、現地関税の減免余地があります。原産地証明書の添付が必要となるため、この点も事前に調査の上、余裕をもった準備しておくことが大切です。

 
※ 出典
1.
https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/trade_02.html
2.
https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/trade_05.html
3.
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/trade_02/pdfs/idn2E010_imp_admin.pdf
4.
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/trade_02/pdfs/idn2B010_imp_hinmoku.pdf
5.
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04J-120401.html
6.
https://www.jetro.go.jp/world/qa/J-250801.html
7.
https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/trade_03.html
8.
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/trade_03/pdfs/idn3G010_tainichiyunyutekiyouzeiritsu.pdf
9.
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/idn/foods/pdf/law_halal_idn_2021-748.pdf
10.
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-031209.html
11.
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/yusyutu_shinsei_asia.html#indonesia
12.
https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/foods/exportguide/
                                             以上
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。
【掲載元情報】
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル  制作

前のページへ戻る

  • セミナー&商談会のご案内
  • アジアUPDATE
  • 国別情報一覧

PAGETOP