2026.01.31
- 【マレーシア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第123回「オンライン・セーフティ法の施行」
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◇マレーシア
マレーシアでは、2026年1月1日に、オンライン上の安全強化を目的としたオンライン・セーフティ法(「OSA」)が施行されました。主要な点につき、以下にて解説いたします。
1. 適用対象
OSAは以下を適用対象としています。
・ユーザー間のコミュニケーションを可能にするためにインターネット接続サービスを利用するアプリケーション・サービス
・コンテンツを提供するためにインターネット接続サービスを利用するコンテンツ・アプリケーション・サービス
・あらゆるネットワーク・サービス
そして、こうしたサービスをマレーシア国内において提供している限り、マレーシア国外のサービス提供者にも、OSAは域外適用されます。
ただし、OSAはアプリケーション・サービス及びコンテンツ・アプリケーション・サービスの「プライベート・メッセージ機能」(ユーザーが、自ら決定した特定かつ限定された数の受信者に対してコンテンツを送信することを可能にする機能)には適用されないこととされています。
2. サービス提供者の義務
前項のサービスを提供する者のうち、アプリケーション・サービス提供者としてライセンスを受けている者(「LASP」)及びコンテンツ・アプリケーション・サービス提供者としてライセンスを受けている者(「LCASP」)については、特に、ユーザーを保護するために、以下を含む広い義務が課せられています。
・マレーシア通信マルチメディア委員会(「MCMC」)が発行するコードに定められた、有害コンテンツへの接触リスクを低減するための措置を実施する義務(コードに定められた措置よりも効果的であることがMCMCの満足する形で証明された措置でも代替可能)
・有害コンテンツへの接触リスクを低減するために実施されている措置の説明、及び自らのサービスの利用規約を含むガイドラインを、ユーザーに対して公表する義務
・他のユーザーに特定されたり、所在を把握されたり、又はコミュニケーションされたりすることを防止又は制限することを含めた、ユーザーが自らのオンライン安全を管理できるようにするためのツール及び設定を提供する義務
・LASP及びLCASPのサービス上にある有害コンテンツを通報するための仕組みを提供する義務
・ユーザーが、オンライン・セーフティに関する懸念を提起し、LASP及びLCASPのサービスにおけるオンライン・セーフティについての情報を一定期間内に取得し、問い合わせを行えるよう、常に容易に利用でき返答できる仕組みを提供する義務
・MCMCが発行するコードに定められた、児童による安全なサービス利用を確保するための措置を実施する義務(コードに定められた措置よりも効果的であることがMCMCの満足する形で証明された措置でも代替可能)
➣こうした措置には、児童であるユーザーに関する、有害コンテンツであることが疑われるコンテンツへのアクセス防止、成人との通信制限、サービス利用を延長させる機能の制限、成人による個人情報の閲覧制限等が含まれる必要があるとされています。
・優先有害コンテンツを自らのサービス上で閲覧不能とするための仕組みを構築する義務
・自らの義務遵守状況に関するオンライン・セーフティ計画を作成し、MCMCに提出するとともに、当該計画を自らのサービス上で公開する義務
3. 有害コンテンツの通報
ユーザーは、LASP及びLCASPのサービス上のものであるか否かを問わず、オンライン上の有害コンテンツについてMCMCに通報することができます。
MCMCが合理的な根拠を持って、通報の対象となったコンテンツが有害コンテンツ(優先有害コンテンツを含む)だと判断した場合、MCMCは、当該コンテンツを閲覧不能とするための措置を一定期間内に取るよう、書面による指示を行うことができます。
4. 有害コンテンツの通報
上記で言及されている「有害コンテンツ」は、以下のとおり定義されています。
・児童性的虐待に関するコンテンツ
・金融詐欺に関するコンテンツ
・わいせつなコンテンツ
・不適切なコンテンツ
・脅迫的、虐待的、又は侮辱的な表現、通信、又は行為によって、嫌がらせ、苦痛、恐怖、又は不安を引き起こすおそれのあるコンテンツ
・暴力又はテロリズムを扇動するおそれのあるコンテンツ
・児童に自傷行為を誘発するおそれのあるコンテンツ
・公衆の間に悪意又は敵意を助長するおそれのあるコンテンツ
・危険ドラッグの使用又は販売を促進するコンテンツ
このうち、児童性的虐待に関するコンテンツ及び金融詐欺に関するコンテンツが、「優先有害コンテンツ」と定義されています。
5. まとめ
上記のとおり、OSAは、マレーシア国内で利用可能なサービスを提供しているのであれば、マレーシア国外のサービス提供者にも適用されます。そのため、日本企業であっても、マレーシア国内でサービスを提供しているのであればOSAの適用対象として規制を受けることとなります。OSAは内容が包括的であることから、MCMCによってガイドラインやコードが発出されることが想定されており、また2025年末にも複数の下位規則が発出されています。そのため、MCMC等が発出するこうした下位のルールについて、十分留意しておくことが必要です。
本記事掲載URL
https://www.morihamada.com/ja/insights/newsletters/131421
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- 【掲載元情報】
- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 制作





