2025.12.02
- 【日本】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/第33回/「シンガポール側での留意点」(日本から海外への輸出シリーズ②)

- 【日本】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/第33回/「シンガポール側での留意点」(日本から海外への輸出シリーズ②)
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◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。
「日本からの輸出」基礎編 −日本側での留意点−
1.総論
日本からシンガポールに輸出をする場合、輸入地であるシンガポールの輸入規制が適用されます。そこで、対シンガポール輸出をしようとする場合、シンガポールの輸入規制に留意し、輸入禁止・規制品目の該非を適切に調査・確認する必要があります。
シンガポールでは、⑴輸入禁止品目、⑵輸入管理品目、⑶輸出入管理品目及び⑷輸出入・輸送管理品目という類型が規定されています。
輸出入の管理の対象となる品目は、各監督官庁により、事前登録、ライセンス取得及び各種証明書などが要求されています。
⑵ 輸出入管理品目への該当性の確認
輸出入管理品目への該当性については、シンガポール税関のウェブサイトにて検索が可能です。
調べたい品目名又はコード等を入力し検索すると、管理品目及び監督機関の情報等を確認することができます。
⑶ 監督官庁
ア シンガポール税関(Singapore Customs)
・主な業務内容:関税、貿易関連手続き等
・貿易手続き等に関する窓口:輸出入政策および輸出入手続きは、シンガポール税関(Singapore Customs)が窓口となります。
イ 輸出入が禁止又は管理される品目
・当該各品目につきそれぞれ監督官庁が異なります。
・なお、管理品目を輸出入する場合、当該監督官庁から事前にライセンスを取得することが義務付けられています。
2.輸入品目規制
⑴輸入禁止品目、⑵輸入管理品目、⑶輸出入管理品目及び⑷輸出入・輸送管理品目という各類型が規定されています。
⑴ 主な輸入禁止品目
各監督官庁が輸入禁止品目を定めています。
・チューインガム(歯科治療・薬用チューインガムを除く)
・ピストル型/リボルバー型のライター、爆竹
・絶滅危惧種の野生動物とその製品等
・スキャニングレシーバ、軍用通信機器、無線通信ジャミング装置、猥褻な物品等
・噛みたばこ、たばこ類似品(電子たばこ、加熱式たばこ)等
・薬物乱用規制の第4付表に記載されている規制薬物
⑵ 主な輸入管理品目
各監督官庁が輸入管理品目を定めています。
・紛争ダイヤモンド(キンバリー・プロセス証明制度)
・デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)等のマスター製造機械、複製機器
・加工食品・食卓用器具、青果物、コメ等
・切り花、植物、昆虫、微生物等
・人獣共通感染症病原体、特定の毒素
・出版物・録音メディア、電気通信・情報通信関連サービス
・楽用機械(コインやディスクで稼動するもの。ピンボール台、シューティング・ギャラリーなどを含む
・ケシの種子(kaskas / poppy seeds)
・石油、可燃性物質(flammable materials)
・スロットマシン
・砂、砂利、花崗岩など建設資材
・治療用製品(治療用チューインガムを含む)
・医療機器、細胞・組織・遺伝子治療製品
・中国漢方薬
・臨床研究に使用される医療用・治療用製品
・規制薬物および向精神薬
・オーラルデンタルガム
・「毒物」として指定された物質
・電動アシスト自転車
・電動パーソナルモビリティ機器
⑶ 主な輸出入管理品目
各監督官庁が輸入管理品目を定めています。
・紛争ダイヤモンド(キンバリー・プロセス証明制度)
・観賞魚
・魚介類、コメ
・有害物質、オゾン層破壊物質等
・放射線照射装置(照射装置、X線、レーザー、超音波、MRI、電子レンジ、紫外線光源)、放射性物質
・デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)等のマスター製造機械、複製機器
・化学兵器協約に規定される化学物質
⑷ 主な輸出入・輸送管理品目
各監督官庁が輸出入・輸送管理品目を定めています。
・動物、ワシントン条約で規制対象となる動植物
・肉・同製品、畜産・畜産物
・武器、爆薬
・規制薬物
・バーゼル条約規定物質
・治療・診断を目的としたヒト・動物の血液、酵母菌
3.輸入地域規制
北朝鮮、イラン、リビア、ソマリア、シリアからの輸入禁止品目が規定されています。
4.輸入関連法
⑴ 1960年税関法(Customs Act 1960)
輸出入及び手続等を定めた法律です。
⑵ 1995年輸出入規制法(Regulation of Imports and Exports Act 1995)
シンガポール税関が所管する輸出入禁止措置などの決定の根拠となる法律です。
⑶ その他関連法・規制
その他の関連法・規制として以下があります。
・化学兵器(禁止)法(Chemical Weapons (Prohibition) Act)
・物品・サービス税法(Goods and Services Tax Act)
・自由貿易地区法(Free Trade Zones Act)
・戦略物資(管理)法(Strategic Goods (Control) Act)
※ シンガポールで輸出入が管理されている品目については、個別に定められた法律や規制に則った輸出入手続きが必要です。
5.その他
⑴ 輸出入許可申請
シンガポールでは「ネットワークド・トレード・プラットフォーム(The Networked Trade Platform:NTP)」及び「トレードネット(TradeNet)」と呼ばれるシステムが導入されており、輸出入や貨物の積み替えに関する申告及び支払い等の手続きが電子化されています。
⑵ 小口通関制度
ア 少額免税制度
①非管理品目(管理品目に該当しない品目)が航空便で搬入される場合でCIF価格が400シンガポールドル以下のもの、②貿易見本品及び贈答品等でCIF価格が400シンガポールドル以下のもの及び③非課税品目・非管理品目でCIF総額が400シンガポールドルを超えない国際郵便小包によるものについては、輸入許可及び財・サービス税納付が免除される等の少額免税制度があります。
イ 簡易通関制度
個人が携行品として、少量のタバコ類・酒類、少額の商業目的の荷物・貿易見本品等を持ち込む場合、簡略化された輸入申告フォームによる簡易通関ができます。
その他、個別の法令により、旅行者が、一定の服用量を超えないこと及び医師の処方箋を所持していること等の条件を満たした場合の医薬品、個人使用目的の常識的な範囲内の化粧品、一定量の食品を、携行品として持ち込むことが認められています。
⑶ ワシントン条約
シンガポールは、1986年11月にワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora:CITES)に批准し、加盟国となっています。
ワシントン条約に基づき、CITESリストに掲載されたあらゆる動植物の輸入には「CITES輸入許可」を事前に監督官庁より取得しなければならない等の規制が定められています。
なお、CITESリストに掲載されていないあらゆる野生動植物を商業目的で輸出入・再輸出する事業者は、規定された申告及び証明書の提出が必要とされる場合があります。
※ 出典(シンガポール税関及びJETROウェブサイト)- https://www.customs.gov.sg/
https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/trade_02.html
https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/trade_05.html
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04S-140203.html
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。第3回 応用編②「対タイ輸出におけるタイ側での留意点」に続きます。 - https://www.customs.gov.sg/
- 【掲載元情報】
- 弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 制作





