2013.02.28
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿③「経済補償金(退職金)の算定基準について」- 陳弁護士の法律事件簿 第3回
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2012年11月、李さんの労働契約期間満了に伴い、労働契約が終了した。
李さんは、企業が経済補償金(退職金)を支払う際、自分の出張期間の食事代、宿泊・交通費の補助手当及び冬季暖房補助手当、夏季高温手当を経済補償金の基準賃金に算定していないとして、仲裁機構に対し仲裁を申請した。
しかし、仲裁機構は、李さんの食事代、冬季暖房補助手当及び夏季高温手当の基準賃金算定に対しては、請求を棄却した。
『分析』
中国「労働契約法実施条例」の規定によると、経済補償金の算定基準となる月給は労働者の取得すべき賃金に基づき算定し、時給又は出来高賃金、及びボーナス、手当などの現金収入を含むとしている。
国家統計局「賃金総額構成に関する規定」は、賃金総額について、会社が一定期間において当該企業の従業員に対し直接支払う労働報酬総額を指すとしている。
賃金、ボーナス、残業代など明らかに賃金収入に属する項目以外に、従業員の特殊な又は規定外の労働を補償する手当及び従業員の賃金レベルが物価の高騰又は変化による影響を受けないことを保証するために支払う各種補助手当も、賃金総額に含まれると明確に規定している。
同時に、当該規定は賃金収入から一部の項目を排除している。主な排除項目は、以下の通りである。
1、労働保険及び従業員福利に関する各費用。
2、離職、定年退職、辞職者の待遇に関する各支出。
3、労働保護に関する各支出。
4、原稿料、講演料及びその他の専門業務報酬。
5、出張食費補助手当、食事代補助手当、転勤による旅費及び手当。
6、本企業の株式及び債券を購入した従業員に支払う配当金(出資金配当を含む)と利息。
7、従業員が労働契約を解除する時に、企業が支払う医療補助手当、生活補助手当など。
8、計画生育一人っ子補助金。
本件において、李さんが経済補償金基準に算定するよう要求した項目中、食事代補助手当は法律規定によると、明らかに賃金収入に属さない。
また、冬季暖房補助手当、夏季高温手当は、福利費用に属するため、賃金総額の算定のときに排除され、経済補償金の範囲に含まれないものとされている。
企業の「出張費規定」に記載され、一定の待遇を享受すべきだが実際に享受していない従業員に対し支払う補助手当、例えば宿泊費自己負担に対する補助手当、寝台を利用できるが実際は二等座席を利用した時に支払われる補助手当などは、従業員の特殊な又は規定外の労働を補償する条件を満たしているため、賃金収入と見なされ、賃金総額に含めて経済補償金の算定対象となる。

- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





