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2019.04.25

その他のアジア【トルコ】第6回「トルコ通貨価値保護令の改正について」
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/《トルコ編》第6回「トルコ通貨価値保護令の改正について」
◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。
 
《トルコ編》 第6回::「トルコ通貨価値保護令の改正について」

1.はじめに
 トルコの銀行・企業の外貨建債務の負担を緩和し、トルコリラ安を防止する政策の一環として、昨年、トルコ通貨価値保護令(法令(Decree)32号)の改正が行われ、外貨建借入の規制等に関する規定が置かれました。
 そこで本稿では、トルコ通貨価値保護令による規制を概観した後、今回の改正内容の概要についてご紹介致します。
 
2.トルコ通貨価値保護令
 トルコ通貨価値保護令は、その名のとおり、トルコリラの通貨価値の保護を目的として、外国為替及び外貨建て金融商品に関する取引、トルコリラ及びトルコリラ建て金融商品に関する取引、貴金属・宝石・貴重品に関する取引、貿易取引、貿易外取引、資本移動等に関する規制を置いています。
また、資本移動のうち、対内直接投資については、12条において外国直接投資法(法4875号)の定めによる旨が規定されています(外国直接投資法の概要は、「トルコにおける外資規制及び投資インセンティブについて」をご参照ください)。
トルコ通貨価値保護令は、第7章まであり、各章の目次及び概略は、以下のとおりです。

 
  目次 概略
第1章 総則 目的、適用範囲、定義等
第2章 トルコの通貨、外国為替、貴金属類 トルコの通貨、外国為替、貴金属類等に関する規制
第3章 貿易取引 貿易取引に対する規制
第4章 貿易外取引 貿易外取引に対する規制
第5章 資本移動 資本移動に対する規制
(※対内直接投資を除く)
第6章 諸手続等 所轄官庁の権限等
第7章 雑則 他の法令と適用関係等














 今回の改正は、トルコ居住者による外貨建借入について規制を加えるものですが、トルコ通貨価値保護令の諸規定のうち、主として、第5章:資本移動の規定のうち17条を海外からの借入に関する規制に改正すると共に、17A条(国内におけるの借入)の規定を新設するものです。なお、トルコ通貨価値保護令における「トルコ居住者」とは、「トルコ国内に法的な住所を有する自然人及び法人」とされています。
 
3.改正の概要
⑴ 定義規定の追加
 定義規定には、「外貨収入」(”Foreign currency income”)及び「外貨建債務残高」("Loan balance”)の2つが加わりました。
外貨収入とは、輸出、中継ぎ貿易、関連する法令によって輸出とみなされる販売・輸送、及び、外貨獲得を伴うサービス・事業活動からの収入と定義されています。
 また、外貨建債務残高とはトルコ国内及び海外からの外貨建現金借入による未払いの債務総額と定義されています。
 
⑵ 外貨建借入の制限
ア 自然人による外貨建借入
 トルコ居住者である自然人は、今回の改正前は、一定の要件の下でトルコ国内又は海外から外貨建てでの借入を行うことができました。しかし、今回の改正によっていずれも行うことができなくなりました。
 また、トルコ居住者である自然人は、従前は、商業目的で利用する等の場合には、トルコ国内又は海外から、外国為替のインデックスに連動する条件による借入(Foreign exchange indexed loan)を行うことができましたが、かかる借入を行うこともできなくなりました。
 
イ 法人による外貨建借入
(a) 法人が外貨収入を有しない場合
 トルコ居住者である法人が外貨収入を有しない場合、原則として、トルコ国内又は海外から外貨建てでの借入を行うことができません。
 もっとも、以下のいずれかに該当する場合には、例外的に外貨建借入を行うことができます。

 ①借入法人が公共団体、銀行、リース会社、ファクタリング会社等である場合
 ②新規借入時点において借入法人の外貨建債務残高が1500万米ドル以上の場合
 ③一定の要件を満たした上で、投資インセンティブ証明書に基づき外貨建借入を行う場合
 ④所轄官庁により承認された国防調達プロジェクトを行う等一定の要件を満たす法人が外貨建借入を行う場合
 ⑤借入法人が官民パートナーシップ・プロジェクトの実施責任者である場合
 ⑥借入法人が直近3会計年度内に外貨収入を得ておらず、かつ、外貨建借入の額以上の外貨収入を得る見込み   
   がある場合で、⑴当該潜在的な外貨収入並びに⑵外貨建借入及び潜在的外貨収入の関連性を書面で証明でき
     る場合
 ⑦所轄官庁により定められた指針の範囲内で借入法人が外貨建借入を行う場合
     また、外貨収入を有しない法人の外貨建借入がトルコ国内で行われる場合は、上記に加えて、以下の2ついずれ  
   かの要件を満たす場合にも、例外的に外貨建借入を行うことができます。
   ⑧外国銀行のトルコ支店において担保として保有されている外貨、及び、OECD加盟国の中央政府/中央銀行が
      発行し又は保証する外貨建証券の価額を超えない範囲内の金額で借入法人が外貨建借入を行う場合
   ⑨一定の要件を満たす機械及び装置の購入のために外貨建借入を行う場合

 加えて、トルコ居住者である法人は、国内外を問わず外国為替のインデックスに連動する条件による借入(Foreign exchange indexed loan)を行うことができなくなりました。
 
(b) 法人が外貨収入を有する場合
 トルコ居住者である法人が外貨収入を有する場合、当該法人はトルコ国内又は海外から外貨建借入を行うことができます。
 但し、外貨建借入を行う日における借入法人の外貨建債務残高が1500万米ドル未満の場合は、外貨建債務残高及び新たな外貨建借入額の合計が、直近3会計年度の外貨収入合計を下回っていなければなりません。この要件が満たされているか否かは、中継銀行がチェックを行います。要件を満たしていないことが明らかになった場合は、直近3会計年度の外貨収入合計を上回る部分の外貨建借入は取り消されるか又はトルコリラ建ての借入に転換されます。また、外貨収入を有する法人が、前述(a)の①~⑨に該当する場合は、この規制は適用されません。
 なお、トルコ居住者である法人が外貨収入を有する場合であっても、外国為替のインデックスに連動する条件による借入(Foreign exchange indexed loan)を行うことができなくなった点は、前述(a)と同様です。
 
4.改正に伴う経過措置(既存の外貨建借入への影響)
 冒頭にも述べたように、トルコ通貨価値保護令が昨年の5月2日に施行されています。
 そして、これより以前に組まれたトルコ国内又は海外からの外貨建借入で、施行日において借入法人の外貨建債務残高が1500万米ドル未満の場合は、改正による一定の要件を満たす場合でない限り、施行後に更新することはできません。逆に言えば、借入法人の外貨建債務残高が1500万米ドル未満であっても、施行前であれば、外貨建借入の更新を行うという対応が可能です。
 また、外国為替のインデックスに連動する条件による借入(Foreign exchange indexed loan)についても、改正による一定の要件を満たす場合でない限り、施行後に更新することはできません。
 
以上
 
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。
 
第7回に続きます。

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第5回「トルコにおける紛争解決について」
7回「トルコ汚職防止関連法について」
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【掲載元情報】
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル  作成

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