2013.02.07
中国【中国】陳弁護士の法律事件簿②「従業員に対する自宅待機処分の運用」- 陳弁護士の法律事件簿 第2回
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杜さんは1999年10月に上海市C社に入社し、2009年に無固定期限労働契約を締結した。2011年9月、杜さんは上司の自分の業績に対する評価に不満を抱き、上司と衝突し、事務室内の石油缶を倒したため、C社は直ちに公安機関に通報した。
当日、上海市公安局は放火罪の疑いで杜さんを勾留したが調査の結果、杜さんの行為が犯罪にならないと認定し、釈放した。
12月7日、杜さんはC社に戻って仕事を続けようとしたが、C社は杜さんに自宅待機して会社からの通知を待つよう要求した。
12月19日、C社は規則に基づき、杜さんに「従業員処分意見通知書」を送付し、2011年12月5日から2012年12月4日まで、杜さんに対して停職、職場を離れ自宅待機処分とし、且つ賃金、福利など相応の調整も行うと決定した。
杜さんはこれを不服とし、労働仲裁部門に仲裁を提起した。裁判所は一審、二審を経て、C社が杜さんに下した自宅待機処分を取り消した。
『分析』
一審判決を下した上海浦東新区人民法院、終審判決を下した上海市第一中級人民法院はいずれも、自宅待機とは、従業員が雇用企業との労働関係を維持する前提において、元の職場を離れ、雇用企業の別途指示を待つという特殊状態を指すと判断した。
国務院が1993年に公布した「国有企業過剰従業員配置規定」には、企業は過剰従業員に対して自宅待機や配置転換訓練を実施することができ、訓練期間の賃金待遇は企業が自主的に確定できるという規定がある。自宅待機という制度は、生産経営に困難がある企業が職場の合理的な手配を通じて、資源配置の最適化を実現するためのものであり、生産経営に困難がある企業に対する救済措置でもあり、雇用企業の労働者に対する処分の形式ではない。
上述の事件において、杜さんの行為が深刻な規律違反のため、C社は関連の規則に基づき、労働契約変更について杜さんと協議する方法で降格、減給などの処分を行うことができ、更に杜さんとの労働契約を解除することもできるが、自宅待機を処分の形式としてはならない。
そのため、自宅待機を、従業員が規律に違反したことの処分方式とする場合は、裁判所に支持されない。但し、会社に、合理的な理由(例えば、会社組織構成に変更が発生し、一時的に仕事を手配できないなど)があり従業員に一時的に自宅待機を要求する場合は、上述の判決の趣旨と矛盾しない。

- 【掲載元情報】
- GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
- [略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員





