2018.08.23
- その他のアジア【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第34回『ミャンマー 新会社法、外資会社への卸売業・小売業解禁に関するアップデート』
- 【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第34回
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1.ミャンマー①:ミャンマー新会社法が8月1日付けで施行
本レター第88号(2018年7月)においてお伝えしたとおり、ミャンマー新会社法(Myanmar Companies Law)(「新会社法」)は、2018年8月1日付けで施行されました。投資企業管理局(「DICA」)が従前よりアナウンスしてきたとおり、新たな電子登録システム(Myanmar Companies Online(MyCo)eletric registry system)も同日付けで稼働を開始しましたが、想定以上のアクセスが集中したため初日からダウンし、同月6日になってようやく復旧しています。復旧後はシステム自体は問題なく稼働しているようですが、同システムの利用に関する十分なインストラクションがDICAからなされていないこともあり、安定的な運用が確立するまでにはもう少し時間がかかりそうです。
(ご参考)
本レター第88号(2018年7月号)
http://www.mhmjapan.com/content/files/00031764/20180720-022852.pdf
2.ミャンマー②:外資会社への卸売業・小売業解禁に関するアップデート
(1) 経緯
本レター第85号(2018年5月)でお伝えしたとおり、ミャンマー商業省(Ministry of Commerce)は、2018年5月9日付けNotification No.25/2018(「本Notification」)において、卸売業・小売業を外資会社に解禁しました。本Notificationでは、一定の最低投資額の要件が定められるとともに、所定の手続により商業省の登録を受ける必要がある旨が定められましたが、その具体的な内容については大部分が不明確なままでした。
商業省は、2018年7月26日付けNews Bulletin No. 2/2018において、本Notificationに基づく卸売業・小売業の実施に関する登録手続について明確化するStandard Operating Procedure(「SOP」)を公表しました。また、同日付けNews Bulletin No. 3/2018にて、外資会社による卸売業・小売業の実施が優先的に認められる品目リスト(「優先品目リスト」)を公表しました。
(2) SOPによる本Notificationの明確化
SOPにおいて明確化された事項のうち、主たるものは以下のとおりです。
a.商業省への申請手続について
商業省への登録に際しては、同省が定める所定の様式に基づき申請書類を作成する必要があります。また、上記申請書類は、商業省の貿易局(Department of Trade)を窓口として提出すべき旨が明らかにされました。
b.最低投資金額の要件について
本Notificationに定める最低投資金額の要件に関しては、その具体的内容について明記されておらず、払込みの時期や方法についても明らかではありませんでした。SOPは、当該要件について、登録から3年以内に、所定の最低投資金額を、ミャンマー国外から段階的に送金することで足りることを明らかにしました。そして、登録の日から30日以内に、所定の最低投資金額の50%以上に相当する送金が行われたことを証する送金証明(Credit Advice)を商業省に提出する必要があることが示されました。
c.事業計画に記載すべき内容について
商業省への申請書類に添付すべき事業計画については、将来5年間に関する、①最低投資金額の払込みの時期及び金額を含む資金計画、②販売・管理に関する計画、③営業所・店舗の所在地及び面積、並びに④雇用創出、技術移転、消費者への影響を含むミャンマーへの影響、といった項目を盛り込む必要がある旨が明記されました。
(3) 優先品目リスト
優先品目リストは、外資会社による卸売業・小売業が優先的に認められる品目の一覧として商業省が公表したものであり、消費財、食料品、建築資材及び機材、電気製品等を含む24品目から構成されています。その法的な位置付けは明確にされておらず、優先品目リストに記載のない品目についても外資会社が取扱い可能かどうかは別途商業省に確認が必要なところです。
(4) 今後の見通し
本Notificationは、2018年5月の公表後も、地元企業の反発を受けて廃止が検討されているといったネガティブな現地報道がなされるなど、その内容が不明確であったこともあり、実際に商業省が外資による卸売業・小売業への参入を認めるのかどうかについては疑問が持たれてきました。今般公表されたSOPは、具体的な手続要件を明確にすることにより、商業省として卸売業・小売業への外資参入を認める姿勢を明らかに示したものと評価できるように思われ、今後外資による参入に向けた動きが活発化することが期待されます。
(ご参考)
本レター第85号(2018年5月号外)
http://www.mhmjapan.com/content/files/00031369/20180516-043759.pdf
- 【掲載元情報】
- 森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ 制作