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2018.06.26

その他のアジア【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第32回『マレーシア GST税率変更-GST税率を0%に引き下げ、SST再導入の動き-』
【アジア】森・濱田松本法律事務所 アジアニュース/第32回
このたび、森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループでは、東南・南アジア各国のリーガルニュースを集めたニュースレター、MHM Asian Legal Insights87号(20186月号)を作成いたしました。今後の皆様の東南・南アジアにおける業務展開の一助となれば幸いに存じます。

マレーシアでは、2018年5月9日の総選挙で物品・サービス税(GST)の廃止を公約として掲げていた野党が勝利しました。これに伴い、マハティール首相は、2018年5月16日、GSTの税率を従来の6%から0%に引き下げるThe Goods and Services Tax (Rate of Tax) (Amendment) Order 2018(「Order」)を公布しました。Orderは2018年6月1日から発効しています。以下、Orderによる税率変更に伴う主な留意点をご紹介します。
 
(1) GSTスキームの存続
 
Orderは、GSTの税率を0%に変更するものであり、GST課税の根拠となるGoods and Services Tax Act 2014(「GST Act」)自体が廃止されたわけではなく、GSTの枠組み自体は変わらず残ります。そのため、物の販売やサービスの提供を行う場合にはタックス・インボイスを税率0%として発行する必要があり、またGST申告書の提出手続自体も引き続き行う必要があります。
 
(2) 変更日をまたぐ取引の取り扱い
 
Orderにより、2018年6月1日から、GSTの税率は0%に変更となりました。このように税率が変更になった場合の取扱いはGST Actの66条及び67条に定められており、6月1日以前に物が引き渡され又はサービスが提供されている場合には、タックス・インボイスの発行が6月1日以降となっても、GSTの税率は6%のままであるとされています。
 
(3) SSTの再導入
 
政府は、GSTの税率を0%とする一方で、かつて導入されていた売上・サービス税(SST)を2018年9月1日から再導入することを発表しました。GSTは、物の販売やサービスの提供に関する付加価値が課税対象となっているため、何段階もある取引においては各段階において課税が生じることとされています。これに対し、SSTは、課税対象となる物・サービスを特定し、物の製造・輸入業者やサービス提供者による物の販売・サービスの提供の段階でのみ課税が生じる一段階での課税となります。政府はSST再導入の時期については9月1日からと明言したものの、再導入後の税率等については検討中と述べるにとどめています。
 
以上のように、GSTについては税率が0%とされましたが、GST自体が廃止されたわけではなく、また再導入されるSSTについても未確定な部分が多いなど、不透明な状況が続いています。今後マレーシアにおいて、物の販売やサービスの提供にどのような課税が生じるのかについては、引き続き政府の動向を注視する必要があります。
【掲載元情報】
森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ  制作

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