2018.06.13
- その他のアジア【アジア】弁護士法人ブリッジルーツ「外国人雇用時の法的留意点と労務管理実務」 第1回/全3回
- 【アジア】弁護士法人ブリッジルーツ「外国人雇用時の法的留意点と労務管理実務」 第1回
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近年、人口減少や人材の定着率の低下による人手不足も影響し、外国人の雇用を検討する企業が増えています。本レポートでは、外国人雇用時に知っておくべき法的留意点と労務管理実務について全3回シリーズで提供して参ります。
1.外国人雇用の現状
近年、日本企業で外国人労働者が活躍するようになってきた。厚生労働省が2017年1月27日発表した外国人雇用の届出状況によると、2016年10月末時点において、日本で働く外国人は108万3769人となり、初めて100万人を超えた。前年同期比19.4%増加し、4年連続で過去最高を更新した。
なぜ外国人労働者が急増したかについて、ポジティブな理由としては、日本企業が、グローバル化された世界経済の舞台で競争力を高めるために、国際的人材を獲得する必要が生じたことが挙げられる。一方、ネガティブな理由としては、人口減少、少子高齢化に伴う労働力不足問題の深刻化によって、外国人労働者への依存が急速に高まっていることが挙げられよう。
経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、日本政府は、専門的、技術的分野の高度人材と言われる外国人労働者の受け入れを積極的に推進している。一方で、2017年11月1日から施行された新しい技能実習制度は、技能実習生の実習期間を最大5年間まで延長したが、監理団体に対しては許可制が採用された。また、実習実施者である受け入れ企業に対しても届出制が採用されたことから、日本政府は、技能実習生を中心とする単純労働者についても積極的に受け入れたい半面、様々な国内事情に鑑み、慎重に対応している姿勢がうかがえる。
原則的には、積極的に外国人材を受け入れるという日本政府の方針の下で、地理的優位性のある九州は、国家戦略特区として指定された福岡市を始め、様々な地域で外国人労働者数の増加が予想される。
2.外国人雇用を成功に導くポイント
外国人を雇用する前に、外国人雇用時のメリット及びデメリットを総合的に検討した上で、外国人の雇用を決定することが推奨される。確かに、外国人材を通して、海外市場進出への活用、国際的競争力の創出及び維持、高度技術・技能の確保、多角的な知見の導入による企業活性化や労働力不足の解消等、様々な面において企業に利点をもたらすことが期待できる。他方、社内体制の整備に要するコスト、文化・習慣の相違を原因とする摩擦発生のリスクや不法就労・犯罪の増加リスクが生じるというデメリットも併存しているため、慎重に検討する必要があるだろう。
外国人労働者を採用した後、外国人労働者に対する①労務管理、②在留資格の管理、及び③生活支援及び異文化への配慮の三つの面から、社内のコンプライアンス制度を整えると、外国人雇用を成功させることができると思われる。
外国人雇用を成功に導くには、3つのポイント(図1)があり、次回以降で解説する。
【関連情報】
・弁護士法人ブリッジルーツ「外国人雇用時の法的留意点と労務管理実務」 第2回/全3回
・弁護士法人ブリッジルーツ「外国人雇用時の法的留意点と労務管理実務」 第3回/全3回
- 【掲載元情報】
- 弁護士法人ブリッジルーツ 中国人弁護士 厳逸文