国別情報一覧

HOME > 国別情報一覧 > 中国 > 詳細

国別情報一覧

2018.04.20

中国中国【中国】陳弁護士の法律事件簿㉟「法定代表者変更時の注意事項」
【中国】陳弁護士の法律事件㉟
法定代表者変更時の注意事項
 
 
ある外商企業(外資企業)の法定代表者である王さんは董事長を務めていた。
2018年1月31日に董事長の任期が満了し、2018年2月1日に当該会社は定款の規定により董事会を開催し、李さんを新しい董事長及び法定代表者候補として選定し、任期を2018年2月1日から2021年1月31日までとし、法に従い董事会決議を下した。
当該会社は2018年2月28日に工商登記機関にて法定代表者変更登記手続を行った。法定代表者変更登記手続について、当該会社は下記の二つの質問を提起した。
 
1、2018年2月1日まで法定代表者として登記されていた者(王さん)は2018年2月1日から2018年2月28日までに引き続き会社を代表することができるか?
 
2、変更登記手続が行われる前に、新しい法定代表者(李さん)は会社を代表することができるか?
 
 
『分析』
 
 
会社の法定代表者は対内的には管理において中心的な役割を担い、対外的には会社の意思決定を行う。法定代表者が会社の名義で対外的に実施する行為は会社の行為とみなされ、会社が相応の法的責任を負う。従って、法定代表者の変更及び登記手続を行うことは、会社における管理上無視できないことである。
 
まず、会社が定款に従い法定代表者を任命することは、会社の意思自治を体現するものである。これに対して、法律は過度な干渉を加えない。
従って、会社が法令、定款に合致する規定に従い任命する法定代表者は、任命書又は委任状の効力が生じる日から、法定代表者としての身分を有し、会社の意思決定を行うことができる。
 
会社が新しい法定代表者について工商登記機関にて変更登記手続を行ったか否かを問わず、有効な任命書又は委任状がある限り、対内的に法定代表者変更という法律効果が発生し、新しい法定代表者(李さん)は就任日から会社を代表する。法定代表者の任命・解任について会社と株主の意見が食い違う場合は、有効な任命・解任決議に準じて決定する。
 
次に、法律では、法定代表者の登記・変更について規定を明確にしている。『企業法人法定代表者登記管理規定(1999改正)』第3条には、「企業法人の法定代表者は企業登記機関にて許可登記が行われた上で、法定代表者としての資格を
取得する。」と規定している。『会社法』第13条には、「会社の法定代表者を変更する場合は、変更登記手続を行う。」と規定している。『会社登記管理条例(2016改正)』第30条には、「会社は法定代表者を変更する場合、変更決議又は決定を下す日から30日以内に変更登記を申請する。」と規定している。
 
前述の規定から見て、会社は法定代表者について登記機関にて登記手続を行う。法定代表者を変更する場合は、法に従い変更登記手続を行う。
工商登記の公示力を守るために、仮に会社が新しい法定代表者(李さん)を任命したとしても、工商登記機関にて変更登記を行わない場合は、既に法定代表者として登記された者(王さん)が対外的に依然として会社の法定代表者である。会社以外の第三者が会社に対して係争を起こす場合は、工商登記に準じた代表者を当事者にする。 
 
以上のことから、法定代表者としての効力は対内的な効力と対外的な効力に分けられ、対内的な効力と対外的な効力の効力発生日が異なる。工商変更登記を行わないと、法定代表者の変更は対外的に効力が生じない。
紛争を回避するために、法定代表者の変更が発生した後、会社はタイムリーに工商登記機関にて変更手続を行うべきである。前任の法定代表者と後任の法定代表者のタイムラグを短縮するために、法定代表者を変更する前に、工商登記機関へ必要資料や手続などを確認し、事前準備を行うべきと考えられる。
 

以上


※「陳弁護士の法律事件簿」の過去記事は、 「国別情報一覧」 よりご確認ください。

【本レポート、メールマガジン「陳弁護士の法律事件簿」配信希望などに関するお問い合わせ】
 GPパートナーズ法律事務所 (japanese_group@gaopenglaw.com)まで
 会社名(屋号)、担当者様お名前、電話番号、メールアドレスに、問い合わせ内容を添えてメール願います。

 
【掲載元情報】
GPパートナーズ法律事務所 パートナー弁護士 陳 文偉
[略歴]
上海復旦大学卒業後、1992年日本に留学。
1995年から1999年まで九州大学法学部にて国際経済法を専修。
日本滞在中から日系企業に対し中国に関する法律相談や法務セミナーを実施。
1999年帰国後、活動の中心を上海とし現地の日系企業に対し法律サービスを提供。
中国における会社設立・M&A・清算、PL問題、労働訴訟等、日系企業の法的課題を多く解決。
[所属]
中華全国弁護士協会会員、中華全国弁護士協会経済法務専門委員会委員

前のページへ戻る

  • セミナー&商談会のご案内
  • アジアUPDATE
  • 国別情報一覧

PAGETOP